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奥武蔵 大築山(オオヅクヤマ)(466m)

 大築山
  

【日  付】 2020年08月02日(日曜日)

【メンバー】 礒田武志: 1名(新型コロナ再拡大対策)

【交通】
(往 路)志木(東武東上線)快速急行小川町行に09:18⇒09:37坂戸越生線09:39⇒09:58越生/越生駅西口川越観光自動車黒山線10:20⇒10:35麦原入口  
(復 路)梅園小学校前川越観光自動車15:48⇒16:02越生駅西口/越生16:17⇒16:35坂戸川越特急16:42⇒17:03朝霞台17:04⇒17:05志木

【コースタイム】 麦原入口10:36→10:39取ケ谷戸橋を渡って南に行ってしまって引き返す取ケ谷戸橋10:59→11:33住吉神社→11:37宝勝院分岐→11:50城山分岐→12:19猿岩峠(昼食)12:33→12:57椚平側猿岩峠登山口→12:57椚平入口12:59→13:13椚平側猿岩峠登山口→13:28猿岩峠→13:43大築山466m→14:00小築山→14:21舗装林道→14:25二十二夜塔→14:29宝勝院→14:33あじさい街道→14:37住吉神社→15:16麦原入口→15:21産直販売所15:26→15:31梅園小学校入口
[歩行時間(休憩を含む)]  4時間55分

【コメント】
1. 動機・目的 
日本山名総覧18000の山にある埼玉県の山201峰のうち、登り残していた大築山(オオヅクヤマ、越生では城山)を住吉神社をキーに周回して頂と城跡を確認することにした。当初はときがわ町馬生から新柵山を登って椚平入口から大築山へと計画したが所要時間が分らない。改めてネット検索したところ越生町のハイキング「6月あじさいと城山コース」があることがわかった。このコースは小築山と上谷(かみやつ)の大楠を結んでいる。大楠は6月に越生城山(地形図にある城山)と雨乞山をまとめて訪れた時に立ち寄った

ということで新柵山は次の機会に回して、越生町のハイキングコースの一部を逆に歩き、下見に猿岩峠から椚平入口までを往復することにした。初めてのコースで歩程ネットデータ、高度差、水平距離から所要時間を計算したがその通りに歩くことができるかを確かめたかった。

2. 天気・気温・体調・装備
2.1. 天気・気温
低温・降雨の続いた長梅雨も終わり関東甲信越の梅雨明けは8月1日と報ぜられ夏がはじまった。南の高気圧から湿った空気が入ってくるので霞と積雲が青空を覆っていた。8月2日は東京で最高温度31.5℃、最低温度21.8℃と里山歩きには暑い。

2.2. 体調
日陰を選んでゆっくり歩いたので少し汗ばむ程度で済んだ。なお、新規コロナウイルス再拡大中であるから、通勤・通学の方々がお休みでかつ逆コースになるように日曜日を選び駅前の人込み、電車内、バスなど対面になる場合はマスクをかけ、退陣距離が取れる行動中は外した。

2.3. 装備
ハイキング用で十分である。ハイキングコースといっても小築山の下りは梅雨の長雨で露出した粘土面、洗掘溝に溜まった泥と落ち葉で滑りやすい。トレッキングシューズが必要だ。その他はスニーカーでも安全だろう。舗装された車道脇を歩くので夏日を避ける帽子と日焼け止めは不可欠である。熱中症予防に備えて水を1.5Lほど背負って喉が渇く前に口に含んだ。ブユ、蚊、虻の姿はないので防虫剤は不要であった。

3. コース
3.1. 見どころ 見どころは写真で
猿岩峠の北近くにある越せん岩展望台からの向尾根集落、大築山城跡、椚平入口の大木戸は欠かせない。麦原のアジサイ山、住吉神社、宝勝院なども余裕があれば足を進めるとよい。

3.2. 安全・ハザード
3.2.1 道迷い
麦原入口バス停近くの取ケ谷戸橋を渡って南へ直進し黒山線県道まで歩くという間抜け間違いをしてしまった。あじさい街道が右折しているとは地形図で再確認するまで気がつかなかった。引き返してみると車道の北側壁にあじさい街道と大きく記してある。20分もロスしてがっくりした。
大築山(城山)は麦原地区のハイキング名所であるので住吉神社西、宝勝院入口などのあじさい街道分岐に城山に導く道標が立っている。猿岩峠へは舗装車道を直進してアジサイ山(あじさい街道にはもう一つアジサイ山がある)を左に見て道なりに進むと分岐に出る。ここにも城山へ行く方向を示す道標がある。素直に右折して橋を渡り舗装林道を道なりに進むといい。舗装林道が狭くなり、ついで簡易舗装が消えて砂利林道となる。すぐに砂利林道が左折(南西へ)する地点に来る。右手(北へ)に道標とハイキングコースの目印、小さな木の橋がある。この小橋を渡ってヒノキ植林の斜面に入る。迷いやすいのはこの2か所の分岐しかない。

猿岩峠~椚平入口往復に迷うところなし。猿岩峠~大築山(城山)~小築山までの徒歩道は山城巡りや城山ハイキングのため尾根道と側道が交差し分岐がいくつもあるが道標もしっかりしている。山城研究欲を出さずに尾根道を選んだので間違わずに小築山山頂に着くことができた。ネット情報に従って道がないという1小築山南東尾根をくだった。何のことはないすぐに東から巻く作業道に出くわしてしまった。道迷いではないが調査不行き届きでと驚いた。作業道は大築山(城山、廓)ハイキング道に合流し、ほぼ地形図の破線通りに麦原まで下ることができた。

3.2.2. 薮・倒木
よく手入れされたヒノキ植林地中の徒歩道で、手足を使うような薮も倒木も全くない。
 
3.2.3. 岩場・急坂 滑落・転倒/転落
越せん岩(見晴台)があるが登山道は岩を外している。大築山(城山)の西尾根が少し石っぽいだけで岩場と言うほどではない。猿岩峠~椚平入口前の泉沢川まで谷側に安全ロープが張ってある。踏み外しを防止するためと思われる。むしろ小築山から麦原へ下るハイキングコースの方が滑落・転倒の注意が必要だ。下りには濡れた粘土面、溝に溜まった泥と落ち葉で滑りやすい。2度ほど足をとられた。

3.2.4 暑気
車が走るあじさい街道を元気な顔をして下ってくるハイカーが数組いた。木陰が続き麦原川を通る微風もあったせいだろう。私も木陰に救われた。里山ハイキングコースは黒木の植林に覆われるので、勿論、日陰と尾根風がふんだんあり暑くはない。

4. 歩いてみての感想
4.1. 日本山名総覧18000の山にある埼玉県の山201峰踏破
取ケ谷戸橋で道を間違えたが計画通り大築山(城山)の頂上を踏み、次の新柵山登山のため偵察として椚平入口までの往復して所要時間を確認することもできた。続いて小築山を経由して住吉神社へ周回し麦原入口バス停に帰還したのでまずは目的達成で満足である。

4.2. 史跡、名所
大築山(城山)の山城跡は埼玉県では有数の規模とのことである。本丸、幾筋かの土塁や空堀の跡も残っていた。本丸跡に歴史と敷地のあらましを記した看板がある。登って読むのもお楽しみであろう。木が茂っているとは言え椚平方面の展望は良い。泉沢川へ下って着いた椚平入口の大木戸は大築山城に往来する街道の関所の門の復元、住吉神社は築城に関係した住民が勧請した神社という。大築山城に縁がある史跡が多い。次は大築山から攻めたという慈光寺に訪れてみたい。
ついでに小杉バス停近くの「うめその梅の駅(越生自然休養村センター)」によってみた。15時過ぎであったので南瓜以外の野菜なし、梅干し、梅酒などの土産物は豊富であった。

4.3. 動植物
4.3.1. 植物
麦原入口から始まる「あじさい街道」は「3㎞にわたって5000株のアジサイが植栽されている」という。6月の満開期はさぞやと思ったが、8月初めの今は来年のために花殻剪定を終えたばかりであった。あまたの株下には七変化の最後の姿が散らばり、感慨に打たれた。麦原川を遡るにつれ、小さな花をいくつもつけているアジサイを見つけて怪訝な思いを抱いた。そこで近寄ってよく見るとタマアジサイであるとわかった。猿岩峠に近づくと左右からタマアジサイが作業道を覆うような場所も出てきた。まだまだアジサイの季節は続く。ただし、コアジサイやツルアジサイを見なかったのは不思議である。

「あじさい街道」の左右の雑草地にはオレンジ色のキツネノカミソリの群落が多い。 一つの群落は新座市営墓園市場坂のように大きいものではないが麦原までここにもそこにもと目を楽しませてくれた。数はなかったが法面に一株2輪ほどのササユリが咲いていた。民家の庭や植え込みを園芸種のユリ、コオニユリやナツズイセン、フロックスなどが飾っていた。再生林地には花期が終わりかけたネムやこれから満開を迎えるクサギも育っていた。「あじさい街道」はアジサイだけでないようだ。

4.3.2. 動物
梅雨が明けて大小の花の上や青空の中に夏型の色鮮やかな蝶が舞っていた。特にアゲハ類が目を奪う。あじさい街道では里のナミアゲハ、キアゲハ、アオスジアゲハから始まって山のクロアゲハ、ナガサキアゲハ、ジャコウアゲハ、モンキアゲハ、オナガアゲハ、カラスアゲハなどが次々に迎えてくれた。シロチョウ、シジミチョウ、イチモンジチョウ、ジャノメチョウ、セセリチョウなどの小型蝶類も足下から舞い上がっていた。孫を連れて虫取りを楽しめそうであった。

夏はじめといえば蝉類である。麦原入口近くではアブラゼミ、ニイニイゼミ、ミンミンゼミの鳴き声がうるさく、あじさい街道を進むにつれミンミンゼミの声が卓越していた。住吉神社近くでツクツクボウシが、ヒノキ植林地に入るとヒグラシがチッと鳴いて逃げ始め、小築山から下るころには大合唱をしていた。しかし、どこにも蝉取りをしている子供の姿はなかった。

繁殖期が終わったのか鳥のさえずりは少ない。ウグイス、ガビチョウなどが里近くで縄張りを主張していた。
(記:礒田武志)

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(写真 礒田武志)
 

6. 記録
6.1越生駅西口から取ケ谷戸橋(20分のロス)
越生駅西口前にある観光案内所に入って越生町NPで紹介されていた月例ハイキングガイドが配架されているかどうかを見て回った。無いようなのでバス乗り場に帰って待機中の川越乗用バスに乗った。コロナ再拡大のためか乗客は少ない。定刻に発車して定刻に麦原入口に到着した。下車して見上げる空は曇り、蒸し暑い上に目の前の県道黒山線は車が左右から続々と走ってゆく。県道を横断し越辺川に架かる天満橋を渡り、何の気なしに取ケ谷戸橋を渡ってしまった。蝉時雨の桜並木や柿の木陰を歩む。ニイニイゼミ・アブラゼミ・ミンミンゼミにはそれぞれ好みの樹種があるのが面白い。山側の狭い斜面にキツネノカミソリが並びクロアゲハが吸蜜に訪れていた。民家の垣根越しにキクイモが黄金の花房を伸ばしていた。夏の花を楽しんでいるうちに県道に出てしまった。曇り空で太陽が姿を隠していたので西へ行くところを南に進んでしまったのだ。コンパスで方位方向を確認し地形図と照合して取ケ谷戸橋に引き返した。20分のロスである。

6.2.取ケ谷戸橋から砂利林道分岐
取ケ谷戸橋の真向かいの車道法面には大きく「あじさい街道」と記してあるし、橋には麦原川との標識もあった。今度はあじさい街道を西へ麦原川に沿って素直に遡った。道沿いのアジサイはすでに花殻摘みをされて坊主である。来年の6月まで麗華を待てとのことであろう。地形図の標高点116には龍穏寺・黒山三滝分岐がある。20年前には黒山三滝からここに歩いて来た。芹ケ沢集落の入口を過ぎると麦原川の岸に弁財天が祭ってある。入口に赤い幟と弁財天由来を記した看板が立っていた。安産祈願と書いてあったが・・・。日が当たる北側の法面にキツネノカミソリの群落がいくつも出てきた。モンキアゲハがキツネノカミソリの花の間を舞っている。麦原川が2つに分かれる場所近くに赤坂集落への分岐がある。堰堤工事の看板が立ち立ち入り禁止となっていた。あじさい街道が北を向くあたりでハイカーが2組下ってきた。このコロナ時世に同じような人がいると驚く。狭い渓流となった麦原川の岸にタマアジサイが並んで花を開きかけ街道の東斜面には咲き遅れたササユリが花弁をいっぱいに開いている。「あじさいの里・ホタルの里・ハイキングの里麦原」という大標識・看板を見て集落に入ると住吉神社の参道入口に着く。右手は木工所のようで板や材木が並んでいる。参道には石門があり奥に社殿があった。
拝礼して車道を進むと麦原案内があり宝勝院城山分岐となる。郵便取扱所前を直進するとまたして宝勝院城山分岐道標がある。こちらは徒歩専用道なのかな。通り過ぎると集落もまばらになり左手がアジサイ山となる。橋の袂の看板には復旧作業中とあるが山から下ってくる観光客がおり斜面にも数人の姿が見えた。橋を渡ると右手に大築山らしい峰が見え、その前は緑濃い森となっていた。道はヒノキなどの高木植林に入って日陰となり涼しく感ぜられる。最後の民家を左手に見て沢が分れていることを確認して城山分岐に着いた。林道は地形図の細い実線と違い幅広く、そのまま直進しているので迷わされないことだ。方位を確認して分岐を右(北)へ曲がった。道なりに進むと道幅が狭くなる場所に出る。簡易舗装道はさらに登っている。道にタマアジサイがかぶさり林業作業道とは思えない箇所もあるが軽トラ車の轍跡は続いている。地形図の幅広道末端を過ぎても簡易舗装は延び、簡易舗装が砂利舗装に代わっても軽トラが通る幅広林業作業道はまだまだ延びている。林道が大きく左折する箇所にハイキングコース分岐がある。右手に踏み跡と小さな橋、道標や目印があるが分岐先も砂利林道は広いので注意が必要であった。

6.3 林道分岐から猿岩峠
城山ハイキングの目印を確認して小橋を渡る。土道に代わり足に優しい登りとなった。植えてあるヒノキの根元からヒグラシが次々飛びたって逃げる。峠まで急斜面だがそれほど標高差はないし直登もない。昔から往来に使われた杣道なのであろう。すこし頑張ればヒノキ植林の尾根を越す光がすぐそこに見えるようになる。到着した尾根の上は猿岩峠で標柱や境界杭が立つ。行動食と充分な水をとって昼食とした。

6.4.猿岩峠~椚平入口往復
腰を上げてヒノキ植林の尾根についている広い巻き道を歩む。指呼の間に越せん岩見晴台に着く。登山道は岩の上に行っていない。足を延ばして岩の上に出て向尾根集落を展望した。中世~戦国時代には山城の見張り台だったかもしれない。登山道にかえってヒノキ植林の中を緩やかに下る。斜面が広葉樹の雑木林に代わると左右からの薮と袖すれ違うようになる。出会った看板には「私有地につき山菜・茸採りは窃盗罪」と恐ろしいことが書いてある。「それほど採れるのか」と驚いた。泉沢川に下りついた。椚平と猿岩峠を結ぶ作業道橋がある。沢の中央にある岩を利用して架かっていたらしいが山側の橋は落ちて川の中に残る曲がった鉄骨2本のみ、林道側の木橋は残っていた。梅雨明けの水量でも片方の靴が濡れるくらいの石飛びで岩の上の橋に登った。大したことはない。泉沢川から林道に上がって先ず取り付きを確認し下流に下った。夏の初めらしい吸水中のカラスアゲハやウバユリの立ち姿を楽しみながらの林道歩きであった。林道出口には通行禁止の綱柵あり「台風19号被害で通行止め」とあった。人気のない製材所を過ぎると古い宿場のような建物群があり坂を登ると椚平入口になる。椚平入口バス停の時刻表をまず見た。バスは休日のみ、平日は乗り合いタクシーしかない。新柵山を歩くときどう利用しようかと考えたが本日はともかく麦原入口まで歩く。復元した鎌倉山荘、これも復元した大木戸を見る。現在の車道ではなくてこの林道の方が古街道ではないか。大木戸の由来を読み、椚平郷土絵地図見てから引き返した。左手に見える青山がこれから登る大築山かな、大築山だよねと思いつつ林道を登って泉沢川を渡る橋に帰った。そのまま往路を辿って猿岩峠に帰着した。

6.5.猿岩峠から大築山、小築山
ヒノキ林を仰いでハイキングコースを歩む。里と違って植林の中は風景の変化が乏しい。尾根が登りにかかると分岐に出くわす。標識を読んで大築山に向う尾根道を選んだ。2分ほど登るとまた分岐があった。標識には「もろどの廓から住吉神社」とあり、標識の向うは猿岩峠方向(先の分岐?)から来た巻き道と交差している。少々錯綜したハイキングコースだ。尾根道を辿ると見晴台があった。木々が育って麓が見下ろせない。横目に眺めて進むと小さな字で大築山と書いた標識をを見つけた。広い山頂部であるのでGPSで標高を確認すると地形図の466mと一致した。展望はない。東に向かうと大築山城跡説明の白看板が薮前に立っていた。ここの方が風景的には山頂らしい。椚平を見下ろすこともできた。戦(いくさ)があった慈光寺はどこだろうか。本丸跡を過ぎると下り道になり土塁や空堀を横切って鞍部目前の分岐に着いた。大築山から麦沢集落に下る道と小築山へ登る道の分かれ目だ。そのまま鞍部を過ぎて小築山に向かう。小築山山頂到着と思ったが正面に幾分高い場所がある。山頂はあちらか。ともかく最も高そうな場所に立った。小築山の山頂部も平坦で広い。ここにも出城があったのではないか。

6.6.小築山から梅園小学校入口バス停
ネット記録にあった小築山南東尾根から麦原集落へ下る。南尾根に迷いこまないようにまずはハイキングルートを北東に向かい南東尾根の東斜面に出た。登山道から離れて南へ曲がる。コンパスで尾根の方位を確かめて踏み跡のない斜面を下る。2分も歩くと斜面の左(東)から地形図にない立派な巻き道が寄ってきているのが見えた。巻き道に移って歩む。尾根にさしかかると下り電光道に変わる。昔の作業道なのだろが水が流れて表面は滑りやすい赤土に変わり、洗堀されてできた溝には落ち葉や軟泥が積もって滑りやすい。「越生ハイキング(ガイド)」の目印がある分岐に合流した。道標も立ち、ハイキングコースの略図もある。大築山(城跡)に直接に向かうコースと小築山を経由するのと2コースがあるのが分った。小築山から北東に尾根からの下り口があるようだ。城山ハイキングの道標に従い住吉神社へ下る。登山路が平坦となり、植林の先の切り戸の間に先に民家が見えた。

杉ヒノキの植林地から舗装道路に出て麦原の集落に入った。小築山の入口を振り返る。見つけやすい。里まで下ると笹薮にウグイス、雑木林に外来の物真似鳥と囀りが響く。民家の石垣下に塩ビ管から流れ出る清水があった。逆コースでは最後の水場だろう。麦原を下って二十二夜塔の分岐に着いた。道の下は手入れの行き届いた柚子畑で草地の緑が鮮やかだ。道標「アジサイ山・宝勝院」に従って曲がる。葉を広げたコンニャクが庭に生えている民家の前を通る。集落に人影はない。蝉が鳴きしきる。蜘蛛の糸にヒグラシがぶら下がって揺れていた。宝勝院前を下り数分であじさい街道にでた。後は日差しを避けて街道を下る。往路では人気がなかった弁財天で家族連れが川遊びを楽しんでいた。

まだ日差しが強い麦原入口バス停に帰ってきた。日陰を探して次の小杉バス停まで歩いたがここにもない。次はどうかと歩くついでに
「うめその梅の駅(越生自然休養村センター)」を覗いた。梅園小学校入口バス停に着くとスタンドの立つ歩道に生垣が日陰を作っている。バスが来るまでここで待つことにした。
(記:礒田武志)