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 奥武蔵 新柵山(アラザクヤマ)490.1m 

 新柵山山頂
  

【日  付】 2020年08月29日(土曜日)

【メンバー】 礒田武志: 1名 コロナ対策

【行動日程】
【交通】
(往 路)志木(東武東上線)09:45-10:10坂戸10:12-10:30越生/越生駅東口[イーグルバス]10:40-10:50ときがわ町役場第2庁舎前(乗換)11:18-11:29馬生  
(復 路)麦原入口(川越観光自動車)15:45-16:10[25分]242円◇越生駅西口/越生(東武越生線)16:17-16:35◇坂戸(東武東上線)16:46-17:10志木

【コースタイム】 馬生11:30(0:03)11:33馬生登山口 (1:01)12:34新柵山(0:32) 13:06林道入口(0:13)13:19日向根バス停(0:19)13:38椚平入口バス停(0:19)13:57泉沢川下降点(椚平入口側)猿岩峠入口(0:23)14:20猿岩峠(0:29)14:49住吉神社(0:43)15:32麦原入口[歩行時間休憩を含む]  約4時間

【コメント】
1. 動機 
新型コロナウイルス再拡大で県外山行を遠慮し、日本山名総覧18000の山にある埼玉県分の山201峰のうち未踏の新柵山を登る

2. 天気・気温・体調・装備
2.1. 天気・気温
ときがわ町の天気予報では晴、猛暑日 最高37℃、最低25℃で、東京の当日測定の最高温度35.0℃、最低温度26.9℃であった

2.2. 体調
日向根集落を下る舗装道路は南東向きのジグザグであるのでわずかな日陰を結んで歩いた。コース全体をネットや過去歩いた歩行時間の1.2倍を目途にゆっくり歩いたが暑さは体にこたえた。バス停や駐車場にある公衆便所の上水道を活用できたのはうれしかった。

2.3. 装備
一般的ハイキング装備・足拵え/トレッキングシューズ、日焼け止め・帽子必携、水1.5L

3. コース
3.1. 見どころ
ときがわ町HPなどを見ると椚平には天然記念物の大杉や秋海棠の群生地などがあるらしい。復路バスの発時刻が気になって割愛してしまった。残念である。

3.2. 安全・ハザード
3.2.1 道迷い
馬生登山口には目立たない小さな道標があるが新柵山とも登山口とも書いてない。バス停から超至近距離であるので行き過ぎないこと。今回新柵山主稜線から下るのに使った林道跡(地形図実線)の降下点には細い枯れ木が重なってまるで進入禁止という雰囲気だった。そこから目を凝らすと林道が下るの姿が浮かんでくる。少し下ると歩きやすくなる。地形図によると日向根集落の中を走るジグザグ車道には実線(歩道)がショートカット(短絡)している。自家用車時代の今ではその多くが薮に覆われているようだった。無駄な努力をせずに車道を日向根バス停あるいは椚平入口バス停まで歩くのが賢明だ。

3.2.2. 薮・倒木
徒歩コースは杉ヒノキ主体の植林の中で薮は全くない。邪魔になる倒木もない。馬生から新柵山までジョロウグモが徒歩道を利用して、いたるところに巣をかけていた。顔や首に糸がかかるのがうっとおしい。気にしなければなんということもないが… 

3.2.3. 岩場・急坂 滑落・転倒/転落
長岩、光岩と道標に書いてあったが徒歩道に岩場は全くない。傾斜の大きい斜面にはジグザグ道が切られており急坂もない。馬生から尾根へ登る途中に崩落で徒歩道が切れている箇所がある。道からほんの少し下って崩落の先へ登り返せば楽に徒歩道に復帰できた。なお馬生登山口から少しの間、徒歩道は洗堀されて溝幅が靴幅くらいしかない。雨降りの時に登り下るのは遠慮したい。

3.2.3. 暑気 体調不良
猛暑日であったので水を充分に飲み、麦藁帽子を被って歩いた。杉・ヒノキ植林の中は日陰で微風も時折通りしのぎやすかったが舗装車道歩きは油照りで太陽の絶好な餌食であった。熱中症・ひどい日焼けを起こすほどの時間と距離でなかったのは幸いと思う。

3.2.4. マムシ
アジサイ街道に轢死した蝮が3匹ほど横たわっていた。草叢から道路に出てくる朝夕には注意が必要だ。

4. 歩いてみての感想
馬生バス停から「日本山名総覧18000の山」にある埼玉県の山201峰の一つ、新柵山を椚平入口バス停まで計画通り縦走することができたは満足、さらに椚平入口バス停から猿岩峠を経て麦原入口までを再び確認できたのも大満足である。このコースは杉ヒノキの植林地の中を歩くので展望に乏しかった。どうにもならぬが残念だ。1月前のヒグラシの合唱はすでにツクツクボウシの合唱に替わり夏が終わりに近づいていることを知らせてもらった。暑さを考えると秋から春にハイキングする低山だとしみじみと思う。もちろん山中で誰にも会わなかった。なおイーグルバスを活用すれば都幾山~新柵山~大築山を1日でピークハントできるのではないか。もちろん自家用車ならゆくりと山行できよう。
     (記:礒田武志)


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     (写真 礒田武志)
 
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 5. 記録
5.1. 馬生バス停から新柵山まで
越生駅東口バス乗り場からイーグルバス(スイカ・パスモ利用可能)に乗りときがわ町役場第2庁舎前バス停に降りる。県道を渡ってBS日向根行きバスを待つ間に待合所で昼食弁当を平らげた。定刻に到着したバスは予想外れで運転手背後の一席しか空いてなかった。座って張り紙を読むとコロナ対策で座らないでほしいと書いてある。幸運にもバス進行に伴い下車する人が続き慈光寺入口バス停に着くころにはガラガラになった。
馬生(バセイ)で下車して猛暑の県道を渡って南へ歩む。目印にした「多武峰神社・金長寺」道標で三叉路を右折する。毬が膨らんだ栗の畑と民家入口道路を過ぎると馬生登山口である小さな側道の坂がすぐそこに出てくる。ここまでバス停から3分ととても近いので通り過ぎないことだ。坂の入口には昔は新册山と書いてあったという小さな立て札がある。確認のために大切にしたいものだ。登りはじめはまともな土の徒歩道だがすぐに狭い洗掘溝が刻まれた土道になる。左右は広葉樹主体の雑木で覆われ、吸蜜や産卵なのかクロアゲハやモンキアゲハが舞っていた。道にジョロウグモが幾重にも巣を張り、その糸が顔に当たりうっとおしい。木の枝を拾って太陽光に輝く糸や巣を払い続けながら登った。左手の雑木薮の先に竹薮に囲まれた廃屋と墓地がある。針葉樹(杉主体)植林に入ると徒歩道は林業作業道になるのか歩きやすくなる。林床を吹き抜ける北から微風、ツクツクボウシの合唱、キジバトが鳴く里山の夏を満喫できた。

15分ほどで支尾根に登りついた。尾根の道を登っていくと北の谷からの踏み跡と合流する。作業道らしく降り口の左右に黄色プラ境界杭が刺さっている。等高線290mあたりに作業道崩落個所があった。道は途切れるが崩落は小さなもので斜面を2~3m下って登り返すと作業道に再び乗ることができる。尾根筋の傾斜が急になると道はジグザグに切ってあり緩やかな登りの繰り返しになる。里から聞こえる正午のチャイムを背に受けて主尾根の歩きやすい道に合流した。標高差190mをゆっくりと登って39分でついたことになる。主尾根の道は幅が広いせいか蜘蛛の巣がほとんどない。糸払いの小枝を放棄した。主尾根の道には黄色プラ杭の他に営林署の赤杭も立っている。計画した降下点までの主尾根は標高470~490~480mのアップダウンがある約2㎞の植林地である。木漏れ陽で明るいが微風がないと汗が噴き出る。作業道らしく巻き気味に設定されているせいか尾根筋から多くのシカ道が交差していた。目前の植林の中に山頂標と赤くペンキがかかった三角点(と思う)が見えた。新柵山490.1mの山頂に予定より12分遅れの到着だ。

5.2. 新柵山から日向根バス停を経て泉谷川下降点まで
新柵山山頂をそのまま休まずに通り過ぎた。北(馬生)ルートに比べて南(日向根)ルートの踏み跡はしっかりしている。平坦だった尾根から下りになったところで堂山でみたものと同じような看板がぶら下がっていた。「10座周回33/50㎞」とは何を意味するのだろう。鞍部の交差点に着いた。東は林道馬生線に、西は八木成へ下る。樅の木に「日本の緑 国有林」との表示が巻きつけてあった。登り返す。徒歩道が踏み跡薄い南西巻き道と濃い西南西尾根道に分かれていた。地形図の破線は南西の一本である。引き返すことも可と西南西尾根道を選んだ。地形図にはない分岐を過ぎて482m峰に到着した。里山登山は難しい。地形図の破線はただの参考という人までいる。482m峰からの道も地形図破線と幾分異なり尾根筋は通らずに東南に巻いている。大岩があるのでそれらを避けているのだろう。徒歩道に岩の邪魔はない。光岩・長岩との道標がある分岐に出た。西の方向に光岩、通り過ぎたのが長岩だったらしい。約2.2㎞のアップダウン主稜線を57分で漫歩してきた。ここが地形図実線の交差点のはず、東へ下る予定地点だ、見ると左に細い枯れ木を重ねて通せんぼしてあるような場所がある。目を凝らすとその先に荒れた道が下っているように見えた。
枯れ木をよけて左(東北東)に下る。雨水で溝ができているが次第に林道らしくなった。左に草の茂った作業道を見て右に道なりに大曲する。植林の切れ目から民家が見え地形図通りと一安心した。自家用車が停まっている民家脇から舗装道路が始まった。ここが日向根集落の新柵山登山口かもしれない。広い舗装車道だが地形図では細い実線である。「杉と白樫」という道標が出てきた。脇道に立て札が見える。近寄ってみると「杉と白樫」の説明であった。脇道は林道馬生線と思われるので踏み跡を辿ったが民家に突き当たった。行きどまりから引き返して油照りのくねくね曲がる車道をショートカットの入り口を探しながら下る。お堂の傍に川越ナンバーの自家用車が停まっていた。稲荷の大杉がすぐそこにあるのかと思いながら車道を急ぐ。車道のところどころに手摺のついた階段があるがその下は民家か薮だ。ようやく見通しのきく降下点からショートカットをして下の車道に出ることができた。日向根集落は車道も歩道も複雑だ。自家用車が普及したのショートカットは廃れて薮に埋もれたのであろう。気がつけば杉ヒノキ植林が消えて広葉樹が混じる雑木林となりツクツクボウシの合唱がミンミンゼミとアブラゼミの混声合唱に替わっていた。日向根行きバスの終点である日向根バス停に着いた。周りにはなにもない。下り続けて椚平バス停・公衆便所を過ぎ、くぬぎ村への道路を右手に分けて大木戸前の椚平入口バス停に到着した。主尾根降下点から標高差255mをなんと37分もかかったことになる。大木戸から林道を下って泉沢川上流へ向かう。右の向尾根集落への道を分ける三叉路に自家用車1台が駐車し、泉沢川上流側は「この先進入禁止」のコーンが道をふさいでいた。製材所を過ぎた地点には前回と同じく通行止めのロープが張ってあった。椚平入口からの約1kmの坂道をよろよろと19分かけて歩いて泉沢川降下点に着いた。猛暑はこたえる。8月2日は14分で歩けたのに…

5.3. 泉谷川下降点から猿岩峠と住吉神社を経て麦原入口バス停まで
道標「大築山」に従い小橋へ下る。8月2日に比べると沢水が枯れて大岩の片方、橋が流失した側は干上がっていた。橋の上流には流れに足を漬けて折り畳み椅子に座り、本を読みながら納涼をされている方がいらっしゃった。邪魔をしないように素早く遠ざかった。雑木林がヒノキの植林に替わると看板も民有林から県有林になる。ヒノキの林を登って猿岩峠に到着した。標高差90mを23分もかかっている。前回の1.5倍だ。麦原入口に予定時刻までに到着できるか心配になり、休憩を水飲みだけにしてツクツクボウシの合唱を背に林道に降下した。目印の「越生町月例ハイキング」ポスターと道標を再確認して砂利道に立った。路面が砂利から簡易舗装へ、道幅も広くなり城山分岐を経てアジサイ山公園入口、宝勝院分岐を通り過ぎ住吉神社前に来た。
住吉神社からは約40分で麦原入口バス停に着くことができる。ようやく気持ちに余裕が出てきた。バス待ち時間を念頭に麦原川を見ながらアジサイ街道を歩む。麦原川には渓流釣りの男性が1人、川遊びの家族連れが麦原弁財天で1組、芹ケ沢入口近くで1組と盛夏を楽しむ人たちがいた。河畔のタマアジサイは色が失せかけ、木々に纏い付くセンニンソウの白のみが目立つように夏が進んでいた。驚いたことにアジサイ街道の路上にマムシの死骸が計3匹あった。すでに干からびていたが車に轢かれたものだ。用心に越したことはない。麦原入口バス停に着いて梅畑の端に腰を下ろし風を入れているとランニングスーツの乙女が3人連れで到着した。この暑いのにと思ったがおバカなのはお互い様であろう。

(記:礒田武志)