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奥武蔵小川町 御嶽山(297m)~大峰山(293m)

 御嶽山頂上は鳥居正面に日本武大神立像
  

【日  付】 2020年09月22日(火曜日)

【メンバー】 礒田武志: 1名 (新型コロナ第2波いまだ終息せず)
【行動日程】      
【交通】
(往 路)志木(東武東上線)⇒急行小川町行09:29⇒10:20小川町  
(復 路)小川町(東武東上線)⇒快速池袋行き(下赤塚で人身事故ダイヤ混乱)15:08⇒15:53志木

【コースタイム】  小川町駅10:23→11:06八坂神社参道入口→11:36八坂神社→11:49御嶽山(297m)12:16→12:51大峰山(293m)→中峰→南峰(283m)→13:42雀川ダム入口バス停→14:53小川町駅
[歩行実時間(休憩を含む)]  4時間30分

【コメント】
1. 目的
新型コロナ感染第2波のさなかにあるので県外に出かけず、「」日本山名総覧18000の山にある埼玉県の山201峰のうち奥武蔵 比企丘陵にある未踏の御嶽山と大峰山を縦走する。低い里山であるので日溜まりハイキングに向いている。

2. 天気・気温・体調・装備
2.1. 天気・気温
晴天酷暑が続いたがようやく平年並みの夏日の気温に低下した。ただ秋雨前線や台風の影響で雨や曇の日々が繰り返し、22日にようやく晴のち曇りのお散歩山歩き天気となった。小川町の22日の天気予報は最高27℃、最低17℃、18時までの降水確率は0%~10%で北西の風後東の風であった。なお東京の日没時刻は17:38である。

2.2. 体調
往路復路の小川町駅でセルフチェックしたが街道歩き・里山歩きでの支障はなかった。

2.3. 装備
一般的ハイキング装備・足拵え/トレッキングシューズ・念のため熱中症対策に生理的食塩水を調合して1L持参・帽子・日焼け止め・防虫スプレー・薮用手袋

3. コース
3.1. 見どころ
八坂神社は小さな拝殿兼本殿の宮である。踏み跡を南に辿ると石祠がある。ネットで紹介された奥宮かと思う。
御嶽山の山頂には日本武大神の石像や御嶽信仰の秩父青石板碑がいくつもある。
なお秋の茸シーズンであったのでイグチの仲間が何種類も、また紅が鮮やかなタマゴタケも姿を見せていた

3.2. 安全・ハザード
3.2.1 道迷い
八坂神社入口から八坂神社の鳥居近く迄、洗堀された参道(溝道)を辿れば迷うことはない。八坂神社から石祠までは踏み跡がしっかりしているが石祠から御嶽山までの登りは獣道しかなかった。南に直登すれば御嶽山の頂上に出る。頂上から分岐までは明瞭で広い徒歩道が続いている。

分岐から南東へ谷へ向かって下る尾根には境界を示す杭が刺さりテープがいくつか付いていた。それを追い最後に急斜面を降りるとダムの南の沢に出る。ネット情報ではダムの堰堤を通ったとあるがダムの方向にはネットフェンスとゲートがあるので堰堤コースを歩めなかった。沢は分岐している。東へ向かう大峰山側の沢にやはり目印テープが点在していた。この沢は大峰山(主峰・北峰)と中峰の間の尾根に突き上げていた。

大峰山北峰から南峰の間はハッキリした踏み跡がある。南峰から南尾根を下ったが途中で目印が見つからなくなった。地形図破線は西に南尾根の斜面を下っているので分岐を見落としたに違いない。そのまま南尾根を下ったつもりであったが真竹薮林に遮られて南東に導かれ真竹薮を抜けて耕作放棄畑・墓地に出た。

墓地から車道に上がったが、地形図の日影(西側の)神社脇に下りついたと思い込み方位を確認せず、そのまま車道を進んでしまった。北へ進めば予定通りで無駄な歩いをせずに済んだのに。負け惜しみだが雀川ダム入口バス停を確認できたのは儲けものであった。雀川ダム入口バス停から大峰山に登るハイカーは少なからずいるとのこと、登りに雀川ダムコースをとれば間違いはないだろう。

3.2.2. 薮・倒木
大きな倒木は全くない。溝道に横たわる倒木はある。八坂神社まで溝道に並行する踏み跡をあえて歩けば踏み越せる腐木もある。
大峰山南峰から南への踏み跡追跡に失敗して里近くの真竹の薮林に突っ込んだ。この竹薮は濃かったが距離は短い。逆コースなら薮に会うこともなかろう。

3.2.3. 岩場・急坂
小岩はあったが岩場は無かった。細尾根もない。御嶽山と大峰山の間に高度差10~20m位の急斜面下りがあるが掴むことのできる木が生えている。焦らず下ることが転落を防ぐ。八坂神社入口から八坂神社鳥居までの約500mの溝道は水溜りもあり泥もあり滑らないように足運びに注意が必要だ。溝道の東上の杉植林に踏み跡が続いている。右(西)に溝道を見ながらゆっくり登ればよい。最後近くのバラ線フェンスが見えたら溝道に下ることだ。バラ線フェンスを曲げて乗り越えた跡はあるが引き返した方がよかろう。

3.2.3. 暑気 体調不良
猛暑日から夏日になったうえ、杉檜植林の中を歩くので汗はかいたが熱中症の心配はなかった。むしろ御嶽山頂上の木陰で昼食中、微風が通り過ぎると汗をかいた体は寒さを感じた。そろそろウィンドブレーカーが必要かとも思った。県道R30を日影からR254交差点まで歩いたが自動車の騒音・排ガスなどで耳鼻喉がつらいと言っていた。やはり往路のアドニス小川CCの西の鄙びた道を選んだ方がよい。

3.2.4. スズメバチ・薮蚊・蜘蛛の巣
八坂神社入口でオオスズメバチが威嚇飛行をしていた。九月は働きバチが増えてしかも活発になるという。刺激しないようにさっと通り過ぎた。大人数ではどうだろうか。風がない場所では小さな薮蚊が纏い付いてくる。スプレー防虫剤は必携であった。蜘蛛の糸・蜘蛛の巣が連続して顔に当たりくっついて煩わしい。小枝を拾って前を上下に払いながら歩んだ。

4. 歩いてみての感想
小川町駅から往復して、「日本山名総覧18000の山」にある埼玉県の山201峰のうちの御嶽山と大峰山の頂上を踏むことができて満足している。また秋の便りである茸を何種類も見ることができたのは予想外の喜びであった。姿は見なかったが猪のヌタバ、狸の溜糞、鹿か猪かはわからないが蹄跡、イタチ類の糞など獣の痕跡が豊かであった。薮を抜けるのにも獣道を利用した。アドニス小川CCでプレーする人があげる声や八高線の電車やR30を疾走する車の音が聞こえるような里山が動物の楽園となっているとは驚きである。もちろん一人のハイカーにも会うことはかったが。

御嶽山、大峰山、八坂神社と名前はみな、里人の山岳信仰や登山講の山々だったと伺わせる。また途中でみた炭焼き窯の跡も燃料革命の前はここが生業の山だったとも偲ばせる。都市生活者が楽しむためのゴルフ場開発が変えてしまった自然、集落や生活について思いを巡らせるのも里山歩きに大切なことであろう。静かなハイキングを楽しむ里山愛好者向きの縦走コースであった。

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     (写真 礒田武志)
 
 6. 記録
6.1. 小川町駅から八坂神社入口まで
綿雲が浮かぶ晴れ空の下、駅前通り直進した。名物のお茶漬け飯の双葉や女郎鰻の前を通る。なつかしい。交差点で右折して国道R254しばらく歩きR254交差点左折して相生橋の上から都幾川を覗く。真鯉が泳いでいた。直進して左手(東)郵便局が見える三叉路を南西へ曲がる。道なりに進むと高圧送電線下出る。東に広い直線状の空き地がある。未通の計画道路だろう。道南脇に水路ある。人影に驚いて清流を小魚が右往左往して逃げる。水路の向こうはもう緑の里山だ。神社への階段参道前を通るとようやく涼しさを感じて首を伸ばした半開きの曼殊沙華が路傍に並んでいた。秋がようやく来た。標高点99mの手前(東)で左折して細道に入る。お寺参道を確認して右折(西へ)する。コスモスも開花していた。次の三差路を左折して南ヘ向かう。谷間の田圃には刈り取り寸前の黄金の稲広がりその上をウスバキトンボが群遊していた。突き当り右手に八坂神社参道入口がある。ここまでなら小型の車が入る。

6.2. 八坂神社入口から八坂神社奥の院まで
八坂神社参道入口には字が消えてしまった道標がある。道標の向こうの薮に細い徒歩道が見えた。薮にはオオスズメバチが警戒飛行をしていたので急いで参道へ飛び込んだ。参道はまるで溝である。地形図では破線が尾根にある。溝は自然の沢でなくて往時の人たちが歩いた踏み跡が次第に深くなりその上を水が流れて洗堀されてできたのであろう。要所にPEテープが下がり道迷いの心配はないが足下の溝は深く、狭く、湿って滑りやすい。さらに溝を渡って架かる蜘蛛の巣が今日も連続して顔や腕に纏い付き非常に不快であった。見れば洗堀道の上、目の高さに踏跡がある。登ってみたら溝と並行した踏み跡が杉植林の中に延びていた。溝からの取り付きは何か所もあり、目印テープを結んだ竹が刺さっているところさえあった。標杭を設置の方も登ったと思われた。溝道を歩いたり、植林に登ったりして尾根を登る。溝の土手や林にはイグチやアミタケ、ハラタケの仲間がそこここに生えていた。溝上の東(アドニス小川CC側)にバラ線フェンスが続くようになる。分岐には工事中・通行禁止・進入禁止の看板がある。参道に出られず、バラ線フェンスの上を無理やり跨いで通ったにフェンスがへこんでいるところがあった。

分岐には八坂神社道標がある。分岐までに西から合流する道(破線)があったとは気づかず来てしまった。少し進むと鳥居が立つ。直進して八坂神社を巻く道と神社に登る道に分かれる。神社道を選んで斜面を登った。ほんのわずかで明るい杉大木の間にある八坂神社に着いた。まずは八坂神社に参拝し、周りを確かめる。小屋脇に立つ道標も色褪せ褪せ、杉の木の根元には一升瓶の山が落ち葉を被っていた。御神酒の残骸であろう。小屋の南の斜面に着いた踏み跡を登ると石祠(等高線で250m)が立っていた。ここまでは踏み跡がはっきりついている。八坂神社入口から八坂神社奥の院まで水平距離で約800m、標高差120mに過ぎないが思いのほか歩きつらかった。

6.3. 八坂神社奥の院から御嶽山山頂まで
石祠の右斜面を細い木を掴んで標高差約50mをよじ登ると御嶽山297mの頂上広場に出た。神社を巻いた道と合流する。二級基準点の近くには達筆の御嶽山山頂標が檜の幹に着けてあった。広場を一回りしてみると南にはアンテナ、日本武神、半僧坊霊神などいくつもの石碑、西からは参道、そして中央に衣冠束帯の日本武大神の石像がある。どこからか正午を知らせるチャイムが鳴ったのを契機に昼食とした。木陰に座ると微風が汗をかいた体を抜けてすこし寒気を感じる。アドニス小川CCからプレーをする男女の声やバギー?の音が間近に聞こえた。 周りのヒノキ林ではツクツクボウシが合唱して夏の終わりを告げている。微風が途絶えると直ぐに薮蚊が集まる、防虫剤を噴霧してしのいだ。

6.4. 御嶽山山頂から大峰山南峰まで
食後、御嶽山の頂上を南へ出発した。発砲禁止の看板や石碑の脇を通って三叉路まで平坦な尾根道を歩む。この辺りから小川町とときがわ町の行政境界になる。分岐を南東尾根にとりヒノキ楢混合林の緩やかな下りを歩む。踏み跡の右に小さな炭焼き窯跡があった。生産していたのは楢炭だろうか。尾根の末端は結構急な斜面でアドニス小川CC方向から流れ出る小沢に下る。沢の左手上流側には金網フェンスと閉まったゲートがある。谷奥は木々と薮に隠れて暗く堰堤は見えなかった。ネット(2017年)では堰堤を歩いて大峰山から御嶽山に登ったと記してあったがアドニス小川CCの中に当時の登山道があったのだろうか。

降り付いて沢を渡り、二股に分かれた沢のうち大峰山へ北東に延びる沢沿いに登る。この谷にもPEテープや塩化ビニールテープの目印があった。登るに従いヒノキの数が減り、路床には鮮やかな紅のタマゴタケが傘を開いていた。谷にはイノシシ?のヌタと蹄跡もあった。沢が斜面に代わると楢小木林となり黄葉前の鮮やかな黄緑色が目に入った。獣が食べてしまったのか団栗がみつからない。木を掴んで登る。尾根に出た。

薮を抜けると尾根筋に踏み跡があった。傾斜を見て北東に向かうことにした。ほんの少し歩くと分岐があった。さらに踏み跡を北東に進むと頂上らしい場所に着いた。狭い上に木に囲まれて展望もない尾根の端のようだ。GPSが示す高度は297m、山名や特徴を示すものが何もない。ここが大峰山293m?と少し北に歩いてみると下りになる。引き返して頂上に立った。ここは小川町ときがわ町の境界にあるはずだ。

分岐に戻って尾根のすぐのアドニス小川CCの芝生を柵越しに眺めてみた。分岐から南に進む。すぐに踏み跡は東の谷へ下る巻き道となる。大峰山南峰283mも踏んでみたいので巻き道から南尾根にコースを変えた。尾根の上にも踏み跡がある。目の前に突然、一級基準点収納筒が出てきた。この瘤を中峰というのだろう。地形図では東へ下る破線道があるのだがまたして見つからず尾根道を進むと標高点283mの南峰に着いた。山名標などはないが岩がいくつも地面から顔を出している。なぜかしめ縄のように白いPEテープが張ってあった。

6.5. 大峰山南峰から雀川ダム入口バス停まで
中峰で破線路入口が見つからなかったので主稜線の分岐迄帰って巻き道を下ろうかと考えた。手元の地形図では南尾根を標高260m迄下れば破線路に出会うはず、目印テープや杭も見えるしと南尾根を下ることとした。数分下ると踏み跡が薄くなり、そのままだと東の谷へ下るので西へコースを変えて再び踏み跡を辿って尾根に出た。尾根を下ると薮に真竹が混じってきた。薮の隙間から東を見ると竹薮が波打つ谷がある。その方向から自動車が走行する音やドアを閉める音が聞こえた。目印テープも見つからなくなったが里はすぐそこと判断し、南東へ雑木林を尾根筋を急降下した。とうとう前を真竹の薮が塞ぐ。獣が通った隙間に体をねじ込んで真竹薮を抜けた。U字溝を越すと草刈りが済んだ耕作放棄畑になる。墓地とその上にガードレールが見えた。ツルボが混じる草叢を踏んで墓地へ、そして墓参道を登って車道に出た。降りてきた方向を振り返ってみたが薮出口がもうどこか分らない。

道路には日影と記した標識が立っていた。これが思い込みによる道間違いの振出しであった。また曇天になったせいで太陽が身を隠していた。ここでコンパスを使うべきであった。北に行けば約500mで県道R30沿いのナカバヤシ流通センター横に出ることができたのに。墓場上から車道を南に下る。色づいた稲田から雀の群れが飛び立つのを見て故郷を思い出す。車道三差路を左(東へ)へ曲がってすぐに雀川ダム入口バス停スタンドに出くわし道間違いだと宣告された。ネット情報の多くはここから大峰山に登っている。例えば"大峰山・御岳山(埼玉県小川町) -FC2に記載(2017)のコース地図だ。雀川ダム入口BSから西に車道を歩いてヘヤーピンカーブ(破線路登山口は薮)から実線路にはいり220mの谷から南峰に取り付いている。

6.6. 雀川ダム入口バス停から小川町駅まで
雀川ダム入口BSからとぼとぼと歩いて日影分館前を通り県道R30に出た。R30を北上する。雀川橋で雀川を渡る。歩道が右左に代わるので車が疾走する県道を横断する度に緊張した。道脇にはツルノアズキの黄色い花、天日乾燥中の稲束、ネナシカズラなどがあって上り坂を元気づけてくれた。ナカバヤシ配送センターとバス停?ボックスとの脇から出てくる車を見て「ここに出てくる予定だったのに」と深く反省した。ときがわ町から小川町に入り大峰山・御嶽山方向を見るが塀・林・家屋が邪魔して姿がなかった。県道脇の岩上の不動明王前や神社前、アドニス小川CC入口前を通り過ぎる。埼玉伝統工芸会館入口を過ぎて槻川を渡りR254を過ぎて小川町役場で左折し、駅前直進道に入ってようやく小川町駅に帰着することができた。
 
(記:礒田武志)