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奥武蔵飯能 柏木山303m~大高谷山325m

 柏木山山頂休憩中の人達
  

【日  付】 2020年10月13日(火曜日)

【メンバー】 礒田武志: 1名 (新座市 新型コロナ累積感染者97人)
【行動日程】      
【交通】
(往 路)北朝霞09:37→09:47新秋津/秋津09:59-10:09小手指10:11-10:27飯能  
(復 路)飯能16:05-16:37秋津/新秋津16:54-17:05北朝霞/朝霞台17:10-17:11志木

【コースタイム】  飯能駅10:29-10:58大河原交差点ー林道入口見つからず墓地入口階段11:19-ジャンダルム11:39-12:11柏木山303m12:33-13:13大高谷山登山口ー13:40大高谷山325.0mー14:00大高谷山登山口ー14:23苅生赤根峠入口ー14:42赤根ケ峠ー15:11茜台自然広場駐車場ー15:38大河原交差点ー16:01飯能駅(所要時間05:32 [歩行実時間(休憩を含む)]  約5時間30分

【コメント】
1. 目的
新型コロナ感染第2波のさなかにあるので県外に出かけず、日本山名総覧18000の山にある埼玉県の山201峰のうち未踏の柏木山と大高谷山を縦走する。柏木山は展望のきく里山で一般ハイキングに、大高谷山はマニアックなハイキングに向いている。

2. 天気・気温・体調・装備
2.1. 天気・気温
飯能市の13日の天気予報は、曇のち雨 西の風後北東の風 気温の測定値は最高26℃の夏日であった。なお東京の日没時刻は17:08である。

2.2. 体調
往路復路の飯能駅でセルフチェックしたが町歩き・街道歩き・里山歩きでの支障はなかった。

2.3. 装備
一般的ハイキング装備・足拵え/トレッキングシューズ・水1L・行動食・帽子・日焼け止め・防虫スプレー・薮用手袋

3. コース
3.1. 見どころ
柏木山の山頂からの展望は気持ちが良い。背後は飯能くすの樹ゴルフ場を隔てる林で360度の展望と言えないのが残念である。このコースには面白い手作りの道標、コース案内、ベンチやオブジェが要所にある。それらを見て歩くのも楽しい。また小さな峰に大げさにジャンダルムなどと書いた山名板も立っている。それらも冷やかしながら歩めば足も疲れない。
大高谷山は展望が全くない里山だがやはり面白いニホンカモシカクラブの道標があった。

3.2. 安全・ハザード
3.2.1 道迷い
ネット情報によると飯能清掃センター向かいの谷に地形図実線の登山路があることになっていた。現地に着いて柏木山登山口と登山路を探したが見つからない。尾根に登る階段を見つけて取り付いた。急傾斜の尾根に薄い踏み跡があるものの歩きにくい。この階段を登山口とするより茜台自然広場駐車場から茜台自然広場を通って谷を登る方が道も広く手入れが行き届いていて歩きやすい。また道標も多数あり道迷いもない。

大高谷山登山口の目印はネット情報通り苅生の白い貯水槽である。そのわずか手前に登山口があり道標もある。杖が沢山置いてあった。手作りの登山地図看板も参考になる。傾斜に違いがあるコースが3つあるがいずれも踏み跡がはっきりついておりまず迷うことは無かろう。なお国土地理院の電子地図(地形図)は改定されていないのか当てにならないところもあると肝に銘じておくべきである。

3.2.2. 薮・倒木
柏木山コースに倒木はない。大高谷山男坂に道を塞ぐナラの倒木があった。子供たちのハイキングのためにわざと残してあるような気がする。

3.2.3. 岩場・急坂
岩場やガレ場は全くない。現地で散歩されていた高齢の方から大高谷山男坂が急と聞いたがそれほどでもない。階段やトラロープが設けてあった。

3.2.3. 暑気 体調不良
夏日であったが杉植林の中を歩くので暑さが体にこたえることはなかった。

3.2.4. 害虫など
蜂や蚊に会うことはなかった。道脇や斜面の薮にヤマウルシなどのかぶれる樹木も見かけなかった。

4. 歩いてみての感想
計画通り、飯能駅から往復して、「日本山名総覧18000の山」にある埼玉県の山201峰のうちの柏木山と大高谷山を踏破できて満足している。また秋の草花を楽しむこともできた。火曜日にかかわらず柏木山の山頂では幾つもあるテーブル・ベンチがハイカーで満員であったのには驚いた。もちろん年配の方がほとんどだったが。それに引き換え柏木山山頂から大高谷山を経て赤根峠までは一人のハイカーにも会うことはなかった。登山地図の影響は大きいようだ。静寂を求めるなら大高谷山がよい。

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 (写真 礒田武志)
 
 6. 記録
6.1. 飯能駅から墓地階段まで
青空が広がる飯能駅から西へ町中を駅の建物・線路に沿って進む。左の鉄道線路末端に別れを告げて材木通へ入る。突き当たりになる割岩通の末端は車が入れないようになっていた。河川工事だとのことだ。子ども図書館前を過ぎて「われいわ橋」に到着する。どんな工事かと橋の上から入間川を覗くと河原には2、3張りの小型テントがあり、工事の形跡はなかった。橋を渡って民家の間を縫って進むと畑地が現れた。道なりに歩むと変則三差路になる。右先にある岩根橋を確認して→材木屋前を地形図通りに北へ向かう。再び道なりとなる。歩道が上下に分かれていた。直進歩道は龍涯山、下の徒歩道は吾妻峡・多峯主山と道標がある。おかしいなと首をひねりながら直進路を選んだ。路傍に小さな龍涯山の道標があった。なんと別れた歩道と復縁しているではないか。どうもここが大河原交差点らしいがすぐ先にも頻繁に車が通る広い道がある。この広い道は電子地図に記載ない。コンパスを見て方位を確認の上横断した。大沢橋・大沢川を過ぎ金蔵寺の看板を見て地形図の記号と照らし合わせる。予定のコースを外れていなかった。八耳堂でも、北側の小路分岐と小路合流も地形図通りと安心した。飯能清掃センターの看板の前で入間~上名栗道路に突き当たる。この道も地形図にはない。道路を渡り山側に移ると左手山側の道路法面の上、柵の向こうを男性が歩いているが見えた。こちらは山裾の道を進んでネット情報にあった登山口になる林道入口を探す。地形図では谷についているがどうにも見つけられない。少し引き返すと尾根に登る小さな階段があった。

6.2. 墓地階段から柏木山まで
階段を登ると杉植林の中に墓地があった。行き止まりかと墓地上まで歩いてみると尾根斜面に薄い踏み跡が続いている、右手の沢の縁まで行って見下ろしたが沢の中に林道はありそうにない。そこで杉林の中の踏み跡を辿っていると頭上でカケスが騒いだ。人が通ることは珍しいに違いない。林床にはヒサカキ等が育っているが邪魔にはならなかった。踏み跡を登り詰めるとなんと尾根に広い登山道がある。道は素直に稜線を上がってきているようだ。どこに登山口があるのだろうか? 地形図地図読みでは不可能だ。

尾根道は楢などの広葉樹林に挟まれている。登りが急になると常緑樫の根が階段状に露出している。手入れをして根を階段に代えているのではと思えるくらいだ。階段から基準点のペナントがある小ピークへ登りついた。手作り山頂標もありジャンダルムと書いてある。「ジャンダルム、冗談でしょ」と思うが傍には手書きのルート図や丸太のベンチがある。腰を下ろしていると階段から男女二人連れがお喋りをしながら登ってきた。未知の登山口から楽々到達したに違いない。腰を上げて尾根道を辿るとまたして基準点のペナント、次は飯能南アルプスジャンダルム、ここにも手作りベンチやテーブルがあった。南アルプスにジャンダルムがあったかと記憶を辿る。

すぐに飯能くすの樹ゴルフ場のネットフェンスが始まった。興醒めだが境界を着かず離れず歩むと目の下の谷にはっきりした登山路が見えた。合流点道標によると道は茜台自然園から来ている。3分も歩くと分岐に出た。道標によるとフェンスに沿って柏木山に向かう道と高ドッキ・シダの道とに別れている。柏木山に向かう道を選ぶと地形図の破線三叉路に出た。道標に従って、杉植林尾根のよく踏まれた道に乗る。登りになって男女2人連れにおいて行かれてしまった。しょうがない。こちらは後期高齢者だ。登りついた小峰は富士見の丘と名づけられている。刈払いされているが今日は雲霞靄で富士の影はなかった。柏木山山頂を目指して登っていると足下に赤銅色に輝くオオセンチコガネがいた。鹿や猪が増えて糞もどこかにたっぷりとあるのだろう。杉林の隙間から峰に休憩中の人達の姿が薄曇りの空を背景に見えた。柏木山の山頂303mだろう。

6.3. 柏木山から大高山登山口まで
独創的な山頂標がぶら下がる柏木山に到着した。そこそこの広さがある山頂にいくつも手作りテーブルとベンチがある。昼時のせいかベンチはほぼ満員であった。展望の良い地面に座って調理中のグループもいる。空いたベンチをウロウロ探していると本日3つ目の基準点を見つけた。こんなに数多くあるのも民公入り乱れる里山だからと一人納得する。どうにか端っこのベンチを確保して昼食(行動食)を摂ることができた。一息ついて南側を展望すると平野が広がる。やはり雲霞靄で遠く見えない。南西側は山が続く。背後の北側は飯能くすの樹ゴルフ場になる。境界の林で隠蔽されていた。

NHKのチコちゃんのオブジェにお別れをしてトラロープがぶら下がる坂を下り、苅生(大高谷山)への分岐に出た。ここからゴルフ場フェンスに沿って細くなった道を苅生へ向かう。のっけから蜘蛛の糸が顔に纏い付く。今日最初に私が通るということか。杉の森の中、フェンス沿いの踏み跡を蜘蛛の糸を払いながら下る。ヒヨドリの声が響くだけの静かな道だ。細尾根を急降下すると目前に大きな貯水槽が出てきた。その右に細い踏み跡が林道へ続いている。

林道に降りた時、ちょうど里から登って来られたダブルストックの後期高齢男性と出会った。一息つかれてよもやま話をしてくださった。「大高谷山は急なのでこの歳では登りたくない」とのことであった。別れて榎坂林道開削記念碑の前に立つ。広くて立派な林道で地形図実線とは思えない。山裾を巻くと道脇のヤマハッカの紫花の向こうに孟宗竹林が現れた。集落が近い。林道の右手に次郎長山脈大政山登山口があった。名前にびっくりした。林道に並行した一般道と民家が見える。2分も歩くと林道は一般道と合流する。一般道をランナーが走り下って行ったのを見て道を遡行するとネット情報にあった白い貯水タンクが見えてきた。タンクの手前の白札は登山口道標だろうか。榎坂林道開削記念碑前では薄日が射し青空も見えたが谷間になった苅生の上空は灰色の雲に覆われていた。

6.4. 大高谷山登山口から姫坂コースを通って大高谷山まで
大高谷山登山口道標と確認できた。杖がたくさん立ててある。用水路近くに手作りの大高谷山ルート図看板が立っていた。読めば「女、お姉、男との3ルートがあり山頂まで30分」とある。湿っぽい踏み跡に入って少し登ると左にとても小さな道標が見えてきた。左折して沢を踏む。道標を読むとここは姫坂で尾根から流れた水が洗ってできた道のようだ。ルート図看板に姫はなかったが踏み込むと4分で尾根に登りつ着いた。なるほど姫だ。尾根を登るとすぐにおねえ坂と合流し「大高谷山へ20分」の案内標が出てきた。次は「大高谷山へ15分」の道標と「大高山ルート図」だ。尾根を直登するのかと思ったが踏み跡は斜面を巻いている。巻き道入口に印象的なニホンカモシカクラブ道標が立っていた。巻き道は直ぐに尾根道と合流する。右からは男道、左は大高谷山山頂である。2分ほど登ると白い三角点木柱が見えた。

6.5. 大高谷山から男坂コースを通って大高山登山口まで
三角点にまず近寄って次に山頂標で大高谷山325mと確認した。これで埼玉県の未踏の2山を歩いたことになる。山頂は植林の中で展望は全くない。カモシカの顔のオブジェの下に小高谷山への道標があり、手作りルート図によると小高谷山はここから30分と歩程を記してある。往復1時間もかかるならどこかで雨に合いそうな空模様である。諦めて下ることにした。頂上から1分ほどで男坂への下り口に着いた。姫坂より急な男坂には階段やロープが設けてある。登山路を大きな楢の倒木がふさいでいる。邪魔な幹を切って通りやすくできるのだが、わざと残して冒険を味わうようにしている感じがした。坂の途中の踊り場にはベンチと道標があり「苅生まで10分急坂注意」と看板もある。短い急坂を下りついて女坂道と合流した。ここには大高谷山への道標がある。女坂(お姉坂?)がノーマルルートなのだろう。その下1分のところが6姫坂分岐であった。

6.6. 大高山登山口から赤根ケ峠を経て茜台自然広場駐車場まで
苅生の大高谷山登山口に帰着した。車道への出口には獣除けネットを張った畑がありネットの上から秋らしく独活の花が覗いていた。下山後は里を見回す余裕がある。重苦しい曇天の下、車道脇を東へ急ぐ。柏木山から下ってきた林道との合流点を過ぎて地形図を読みながら苅生から赤根峠へ行く道の入口はどこ、この階段はどう、ここでもなさそうと配る目にイヌサフランのピンク行列が映った。北の山に向かうこの広い道が苅生赤根峠入口それらしいと注意してみると角に高ドッケ柏木山との道標があった。赤根峠とはどこにも書いてないが進んでみることにした。広い畑地の西奥に鳥居を見つけ地形図と照合して赤根峠への道に間違いないと確信した。突き当りが柏木山赤根峠分岐になる。ここには道標があった。右の農道へ曲がる。民家の軒先には秋海棠、山道にはシラヤマギクやヤマハッカが咲いている。放棄された畑なのだろうか早めに開花したチャとその上にセイタカアワダチソウ、ススキが薮になっていた。用水路をまたいで針葉樹植林へに入ると湿った土道の脇に赤根ケ峠道標があった。地形図表示の赤根峠ではない。暗い植林地を6~7分登っただろうか赤根ケ峠に到着した。

赤根ケ峠道標は倒れたままになっていたが赤根ケ峠説明大看板は少し汚れていたが立っていた。なにか作業音が聞こえる。それに近寄るように進むと今度は西川材説明大看板が立っていた。徒歩道の右手は大きな工場になり、その裏手に沿って狭い尾根を歩む。周りは楢とヒサカキの林である。測量中の3人と出会った後、ハイキングの男性グループの2人、3人とすれ違った。飯能くすの樹ゴルフ場フェンスに再会し、往路に合流した。あの広い道との三叉路である。道標には茜台自然広場600mとある。茜台自然広場はどこ?ともかく坂へ下る。よく手入れされた徒歩道の脇から伸びたフユイチゴの茂みが足下に続くが今年は花や実が全くない。雨が近いのかアマガエルの声が2ケ所から聞こえた。ミゾソバの紅白の花を愛でて広場に出た。ここが茜台自然広場、向うの尾根はなにか見た覚えがある。頭上の雲が黒くなったが東には青空もある。広場の端に出て朝の男性はこの歩道を歩いていたのだと気がついた。広い車道に下ると駐車場もある。そこから歩道が茜台自然広場へ延び、車からこちらに歩いてくる男性もいた。

6.7. 茜台自然広場駐車場から飯能駅
茜台自然広場駐車場の前は入間~上名栗道路だった。道路の法面を黄色に染めるセイタカアワダチソウの茂みを見上げて下っていると北西から黒雲が押し寄せてポツリポツリと雨粒が路面を叩き始めた。折り畳み傘を拡げて歩む。右折して飯能駅に向かう。歩むにつれ雨雲から抜け出て傘を畳んで右手に持った。曇り空のもと往路を辿る。気づかなかった桑の坊主株が並う畑やフジウツギの濃紫の花、龍涯山登山口、大沢川橋ではシラカシの結実(数本あるのに結実しているいるのはこの木だけ)、クサギの実を見て復路も充実感に満たされた。
 
(記:礒田武志)