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奥武蔵飯能 コワタ350m~観音ケ岳410m~スカリ山435m

 コワタ(深沢山西峰)三角点
  

【日付】2020年11月14日(土曜日)
【メンバー】 礒田武志: 1名 (新型コロナいまだ感染拡大中 新座市感染者累計132人)
【行動日程】      
【交通】
(往 路)北朝霞08:05-08:15新秋津/秋津08:23-08:26所沢08:28-08:52飯能08:54-09:05武蔵横手
(復 路)武蔵横手14:19-14:30飯能14:32-15:07秋津/新秋津15:24-15:35北朝霞/朝霞台15:43-15:45志木

【コースタイム】
武蔵横手駅09:10→09:24長念寺前→9:28階段→9:52愛宕山(白子愛宕山)→10:14水晶山→10:38コワタ(深沢山西峰)→10:48深沢山(深沢山東峰)→11:03沢山峠→11:23土山(土山の峰(西大峰))→11:42グリーンライン→11:55観音ケ岳(昼食)12:23→12:31スカリ山→12:42グリーンライン→12:52愛宕山→12:52北向地蔵山→13:23五常の滝受付前→13:50武蔵横手駅
[歩行時間(休憩を含む)]  約4時間40分

【コメント】
1. 目的
新型コロナ感染第2波のさなかにあるので県外に出かけず、日本山名総覧18000の山にある埼玉県の山201峰のうち奥武蔵 毛呂山町・飯能市にある未踏・記録漏れのコワタ、観音ケ岳とスカリ山を武蔵横手駅から周回する。

2. 天気・気温・体調・装備
2.1. 天気・気温
天気予報では、本州付近は大陸の高気圧に覆われ関東は青空が広がるという。飯能市の天気予報では晴、最高20℃、最低9℃、降水確率0%、風は北西後北の風であった。測定された最高気温は21℃で終日快晴、朝のうちは風がやや強かった。なお東京の日没時刻は16:35である。里山を散歩するには最適の気象であった

2.2. 体調
往路では志木駅から北朝霞駅まで歩いて、下山後の武蔵横手駅でセルフチェックしたがどこも気になるところはなかった。

2.3. 装備
一般的ハイキング装備・足拵え/トレッキングシューズ・水(1L、予備を含め)持参・帽子・薮用手袋、もちろん昼食

3. コース
3.1. 見どころ
展望がある山頂は愛宕山(白子愛宕山)、観音ケ岳、スカリ山である。とはいえ木の隙間に覗く程度で360度は望むべくもない。救済信心の深い方には武蔵観音の長念寺、愛宕山(白子愛宕山)の愛宕神社、北向地蔵を見落とさないようにしたい。五常の滝の五常は論語由来とのこと、孔子を尊敬されている方には絶好の場所であろう。三角点マニアにはもちろんコワタ(深沢山西峰)313.1mとスカリ山434.9mが大切と思う。紅葉を期待したがわずか染め始めであった。杉檜の植林の中、ところどころにある栗・クヌギ・楢の黄葉を見て落ち葉を踏みしめて秋の里山を楽しめた。

3.2. 安全・ハザード
3.2.1 道迷い
まずは情報が錯そうとしている愛宕山登山口である。国道には長念寺参道が2ケ所、畑に登る小階段と曲がり角の作業道階段の4ケ所があり、いずれも長念寺墓所脇の徒歩道に収束している。道迷いとは言えないがどこから入ってもいいので色々の情報があったわけだ。どこから登るかと迷い、不安に思うことはない。
送電線鉄塔近くの愛宕山・水晶山道標から始まりスカリ山まで道標が多数ある。ただ古くて方向板が脱落しているものもあり、その場合は方位・方向を確かめて進むことも大切だ。愛宕山登山口からグリーンラインまでは東電の鉄塔巡視路のように思われる。鉄塔を示す黄杭も現在地確認に役立った。もちろん、ところどころの峰には地名を記したピンクテープを巻いた木が立っている。確認しながら進むことができた。また行政境界、森林所有境界の巡視を示す小杭も頼りになる。広い尾根の落ち葉道や一旦尾根を外す踏み跡の場合、次の小杭を確認できるのでホッとできた。問題は里山であるため国土地理院電子地図に記入されてない分岐や交差点があることだ。この場合、手作り道標や方向を記入したテープ、目印赤ビニールテープなどを見つけて望む方向を確認することだ。
道迷いの可能性が高いのは深沢山西峰分岐だけ、しかも逆コース(沢山峠から水晶山)場合だと思う。東峰は尾根が4分しており、ルートは一旦西峰へ向かう南西尾根へ下り、左(南)側の樹に巻いてある目印赤テープのところで巻き道に入り南尾根に向かう。巻き道にはトラロープが張ってあるのでここまで下って来れれば踏み跡を見失うことはない。決して東尾根に入らぬことだ。順コースの場合は踏み跡を素直に辿れば迷うことはなかった。

3.2.2. 薮・倒木
愛宕神社と水晶山との間のコルに立つ鉄塔の周りには棘のあるキイチゴ薮がある。踏み跡にせり出している枝は少なく薮の距離も短いが手袋・長袖シャツ・長ズボンで肌を守る必要があった。

3.2.3. 岩場・急坂
落石を心配するような岩場道は無かった。ただ愛宕神社から鉄塔への下りはザレ場で小砂利に乗って尻もちをついた。ゆっくりと用心して歩むべきであった。危険と思える急坂・巻き道は深沢山東峰南尾根である。急斜面で直登箇所には太いロープがある。西峰分岐への巻き道には谷側に細い目印トラロープがあるだけであった。滑った足跡もついていた。巻き道の山側には鉛筆ほどの太さの樹が疎らに生えているだけで頼りにならない。礒田は木を選んで適当な場所から南西尾根へ直登した。

3.2.3. 寒暑 体調不良
秋の快適な天候で快調であった。

3.2.4. 害虫など
なし

4. 歩いてみての感想
武蔵横手駅から周回して、「日本山名総覧18000の山」にある埼玉県の山201峰のうちのコタラ、観音ケ岳とスカリ山の頂上を踏むことができて満足している。愛宕山登山口から土山までしっかりした踏み跡を歩けたのは予想外であった。この間、展望には恵まれなかったが一人のハイカーにも会うこともなく静寂の杉檜林の中を楽しめたのはうれしかった。この落ち葉道は北向地蔵から五常の滝を経て武蔵横手駅に至る林道よりハイカーに優しいと思う。
登ってみて気が付いたのだが観音ケ岳とスカリ山には約20年前に登っている。やはり登山したら短くてもよいが記録を残すべきと気づかされた。

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 (写真 礒田武志)

 
 
 6. 記録
6.1. 武蔵横手駅駅から長念寺前を経て愛宕山(白子愛宕山)まで
多数のハイカーが屯していた武蔵横手駅から西に向かったのは私だけであった。空は雲一つない快晴であるが北風がやや強い。歩道脇に立てられた幟がはためいている。車が疾走する国道をあづま橋へ向かう。あづま橋の向こうにお結びのような愛宕山が聳えている。あずま橋を渡るのは10月25日以来だ。ひと月の流れが秋が深めている。入間川右岸側の道は旧国道のたたずまいであった。今は住民の方が庭や車の手入れをされているのが見えるだけの落ち着いた静かな集落の道であった。民家の垣根に赤い実を弾いたマユミやニシキギを、庭の熟柿がたわわに下がるの見て改めて秋を感じた。しらこ橋に出て約1月前に踏んだ屋船山や天覚山の尾根を望んで今日の未知ルートが心配になった。再び国道に出て左右から疾走する自動車の切れ目を待ち横断して北側の歩道に移った。目の前に長念寺の屋根が見える。道なりに歩いて長念寺の参道前に至った。石柱や由緒看板を読むと曹洞宗で武蔵観音が祭られているようだ。境内をハイキング姿で横断するのは憚られるので国道を進む。すると再び「葷酒山門に入るを許さず」の石柱がある階段参道に出会った。階段の上に小さなお堂が見える。国道をさらに進むと害獣防止ネットが掛かった畑に登る小階段があった。ここも通過しカーブを過ぎて地形図の破線に該当する坂道を見つけた。階段坂を登ると左右は黄葉した栗の畑になる。栗畑の間の芝地に踏み跡が寺の方に続いている。収穫後なのだろう。畑に栗の毬も実も全くない。落ち葉だけであった。北への曲がり角に、なんと長念寺からも、途中の階段からも踏跡が来ている。どこから登ってもここに着くことができたのだ。曲がり角には「害獣(猪・鹿)駆除用くくり罠注意」のポスターがあり、その杭の下に罠と思われるワイヤーロープがあった。墓地の脇の芝生上の踏み跡をすこし登り再び栗畑の中を道なりに進んだ。道は高圧送電線鉄塔の下へ向かう。鉄塔の周りは綺麗に除草、鉄塔を囲むネットフェンス内は草も小木もぼうぼう、人が刈ったのか鹿が食べたのかどちらだろうか。まるで奈良のようだ。鉄塔前の道標に従って愛宕山・水晶山へ向かう杉檜植林に入る。林道入口には害獣侵入防止のため高圧電線ゲートが設けてあった。危険注意とのこと慎重にゲートを跨いだ。すぐが東電黄杭が立つ分岐である。広い水平林道に分かれて杉檜植林尾根に登る。踏み跡は細いがしっかり、巡視路であろう。林床はヒサカキ・椿・常緑樫の短木やコウヤボウキ等の潅木で覆われている。道脇のヒイラギに花がなく葉ばっかりだ。里では白い花が咲いていたのに。目の前が明るくなると道は急になった。上には白子集落の方を向いた社が建っている。

6.2. 愛宕山(白子愛宕山)から水晶山まで
愛宕山山頂には愛宕神社だけでなく立派な愛宕山山頂標があった。また白子愛宕山由来看板もあり読んでみたが創建は意外に新しい。もともとは天覚山を愛宕山と呼んでいたがいつの時代からかここが愛宕山と呼ばれるようになったとのことだ。愛宕神社から武蔵横手(白子)の方向を見る通せる。草木が茂り武蔵横手駅などは認めることはできなかったが天覚山の尾根筋は大きく見えた。道標に従ってコルへ向かう。複数の送電線鉄塔が行く先の目印になる。途中に立っていた東電黄杭には吾野線23号と書いてあった。コルまでは急なザレ道の降下で、小石に乗って尻もちをついてしまった。立ち上がりそれからは慎重に下る。鉄塔近くから、棘のあるキイチゴなどの小薮の中に踏み跡が入っていた。直ぐに手袋して左右の棘枝を分け鉄塔の先へ抜けた。コルから登り返す。赤銅に輝くオオセンチコガネが今朝もお出ましになっていた。やはり鹿が増えて糞が豊富なのに違いない。瘤に登りついて送電線を下から見上げた。強い風で檜や杉が大きく揺れている。梢同士がぶっつかり、こすれあう音が周りから聞こえ続ける。道脇に赤い実を着けたフユイチゴが出てきた。裏年か、異常気象のせいなのか、今年の里山散歩で実を見ることができなかったがここで今年初めて見つけた。平坦な尾根のアップダウンをする。周りは檜林で大きな山名板・標がなければ水晶山とはわからない頂上に着いた。

6.3. 水晶山からコタラ(深沢山西峰)まで
杉檜林の中の水晶山山頂からはどこも見えない。展望がない。ここには愛宕山にあったような大きな道標や山名標もない。寂しいが踏み跡はしっかり着いていた。杉檜林の中を登ると尾西の谷側から尾根まで林相が広葉樹に代わる。これまで静かだったがヒヨドリの鳴き交わしが聞こえ始めた。どうも細い尾根では崩落を防ぐため広葉樹を活用しているようにも思えた。深沢山へ近づくにつれ尾根が急になる。とうとうロープを張った急斜面の登りになった。ロープ上端で今度は急斜面を左に巻いた細い踏み跡になる。谷側に細いトラロープが張られているがなんとも頼りない。掴める木が消えたところで谷側へ滑った足跡があった。そこで掴める木が続く急斜面を少し直登して深沢山南西尾根に乗った。左下に巻き道出口すなわち分岐の目印テープと道標があった。テープには深沢山西峰と書いてあるのでまずはそれにしたがって細尾根についた踏み跡をを下る。緩やかな傾斜の尾根で途中には露岩もあるが邪魔にはならない。尾根末端にコタラ(深沢山西峰)の三角点が見えた。

6.4. コタラ(深沢山西峰)から沢山峠まで
コタラ(深沢山西峰)には三角点がある。傍には手書きで4と書いた4等三角点の地理院の白細杭が刺してある。正誤は分からないが三角点マニアは面白いことをする。傍らの樹の幹には手作りの小さな深沢山西峰と山名板が貼り付けてあった。ここは尾根末端の一寸した空き地だが木々に囲まれて展望はない。三角点を撫でて往路を登り返した。すぐに分岐に帰り着く。赤テープに書かれた矢印(南尾根へ向かう巻き道を指す)も大切である。逆コースだとここが肝心だ。目印から左を見て、巻き道トラロープが見えたら道迷いはない。さて分岐から東峰頂上への傾斜は急だが踏み跡がはっきり、足場もスッキリであった。大きな山名板・標が立つ深沢山(東峰)に到着した。やはり展望がない。林床の常緑樹も幾分高くなったようだ。山頂から傾斜緩やかな尾根を認めたがこれは東に向かう。逆コースの場合山頂でよく方位・方向を確認する必要がある。そんな心配はさておいて北北東へ踏み跡を辿る。まずは下って広い尾根筋をアップダウンする。植林林床の常緑雑木に丈が高くなり暗めの山道にかわる。分岐に出会った。目印には武蔵横手駅と方向が書いてある。この分岐は地形図には記載がない。里山には作業道や昔道もあるので当然かと思った。歩いてゆくと毛呂山町の黒白杭が出てきた。ここが飯能市との市町村境界点であろう。現在地を確認した。コルに下って再び地形図に書いてない分岐に着いた。道標にはユガテ土山と書いてある。土山へ向かう。なんと又して分岐があり、ここには青杭が打ってある。この10分足らずで3つ目だ。どっちに行くべきかちょっと迷ったが見つけた赤テープに従って登ることにする。どうにか沢山峠に到着できた。

6.5. 沢山峠から土山まで
沢山峠と書いてなかったらまたして無名の分岐かと思ってしまったに違いない。幹に巻いた赤テープに行く先方向が記してある。地形図にある一般道は広い巻き道、尾根筋の細い踏み跡が土山への登り道である。尾根筋を選ぶ。急な登りがほんの僅かあり登り着いたら平坦な尾根となる。進むと木に巻かれた赤テープに「ノッチョウネ」と書いてある。後期高齢者の遠中眼鏡でははっきりとは読み取れない。当地の方の呼び名かなと思うがノッチョウネは平たい尾根でミネではない。5分も歩くと西大峰(土山の峰)と書いた赤テープを巻いた木に出会った。山名板もある。ここが土山の最高点なのであろうと思った。

6.6. 土山からグリーンラインまで
西大峰(土山の峰)も植林に埋もれて展望がない。頂上で東西に尾根が分かれているので道迷い危険個所とマークしてきたが北東へ向かう踏み跡は広くはっきりしていて迷いようがなかった。分岐に下りついた。地形図を見ていて面白いことに気づいた。国土地理院電子地図で拡大率が違うとここは三叉路であったり十字路であったり、記載違いがあるのだ。これからの地図読み判断にこの知識を生かせて行こう。沢山峠以来、再び一般ハイキング道に出た。数人のトレイルランナーが列になって走り過ぎていった。道標も「ユガテ・北向地蔵・五常の滝」と知名な地名になっている。地図読みしている前を男性が1人北向地蔵の方へ歩きすぎた。一般道を外して薮尾根をわざと歩いてみることにする。薄い踏み跡を登ると頂上からは広くなりそのまま踏み跡を下ると再び一般ハイキング道に出た。分岐で巻き道の方が広いが狭い道を直進してみた。グリーンラインに出る。懐かしい舗装した広い林道だ。

6.7.グリーンラインを通って観音ケ岳 
グリーンラインへの出口には東電の黄色杭が刺してありそれには奥秩父線と書いてある。頭上に送電線が空を横断している。ここと北向地蔵の間にある平坦な尾根が観音ケ岳と書いてあったネット記録があった。ひとまずグリーンラインを西へ進んでスカリ山に登って南東に引き返そうと決めた。林道道標「毛ー25」とある大きな看板を眺めてる間にも林道をバイク、自転車、トレラン、ハイカーが過ぎて行く。スカリ山への分岐についてしまった。道標はスカリ山・桂木観音と書いてある。一段上の尾根筋にあるスカリ山入口との大きな目印も目立つ。細くて岩っぽい小尾根で小石のザレもあるが、多数のハイカーに踏まれているせいで足を滑らせるような事もない。頂上尾根の端に登りつくと目前にトラロープや黄テープで囲まれている岩があった。ハイカーの安全目的とはどうも違うと感じた。頂上に到達したがスカリ山との山名板がない。北西の武甲山から北北東に榛名山、東北東の平野にかけて部分展望がある。ひと眺めした後、正午になったので風が当たらない場所にシートを敷いてザックから行動食と魔法瓶のコンソメスープを取り出した。食べている最中に白い小犬を連れた夫婦が登ってきて一休みした後、西へ下って行った。その後、20分の間に目の前を何人もハイカーが通過していく。昼食後、スカリ山入口の方へ引き返して岩まで来てみたが、どうにも心残りがする。引き返して頂上に着て楢の樹を見上げたら観音ケ岳という山名板が2枚もあった。なんとここが観音ケ岳、するとハイカーの皆さんが行く西にスカリ山があるに違いないとコルに下って登り返した。案の定、到達した山頂には三角点と白い国土地理院尾細杭が立っていた。

6.8. スカリ山から愛宕山を経て北向地蔵
スカリ山山頂には三角点、山名板と展望のためのベンチがある。展望ベンチでは男女が知り合いの噂話をしていた。観音ケ岳の展望とあまり変わらなく目立つ武甲山や奥武蔵・前秩父の山々の姿はこちらの方が麗しかった。三角点を撫で安心と満足した気持ちで往路を下ることができた。スカリ山入口からグリーンラインを辿り、Fake観音ケ岳を確かめるため車道から尾根へ踏み込み、わずかな標高差の踏み跡を登った。平ったい頂上には愛宕山との山名板があった。20年前も見たような気がする。頂上から下るとグリーンライン側斜面が伐採されており植林の端のの切り株の上で男性が昼食中であった。声をかけられたので挨拶を返す。グリーンラインに下るとそこは北向地蔵前の十字路であった。

6.9. 北向地蔵から五常の滝受付前を経て武蔵横手駅
北向地蔵に手を合わせて由来の看板を読んだ。勧請したのが予想外に新しいのには驚いた。地蔵が立つところは六道分岐か、道標の方向板をよく読んで武蔵横手駅・五常の滝近道を選ぶ。杉檜林の中の広い道の入口にはロープが張ってありバイク・自転車乗り入れ禁止とポスターに書いてある。跨いで林道を下った。道には斜面から流れ落ちる水を排水する溝が間隔をあけて幾つも切ってある。バンプにもなっていた。沢沿い車道林道に出る。沢の水面にはアメンボや黄色の檜の鱗葉が変化を加えていた。「害獣駆除で注意」とのポスターが左手に、正面には赤鬼を刻んだ道標が立つ鎌北湖への分岐三叉路に出た。目前を白い自家用車が通過していった。車道を道なりに下っていくと左手の谷に小社がいくつも並んでいるのが見えた。谷の奥が五常の滝に違いない。狭い道で2台の車の追い越しを道脇に出て避けた後、五常の滝の由来看板を読み、入山料と書いてある五常の滝受付前を通り過ぎた。駐車場には2~3台の自家用車が停まり、柵の外には見たこともない小さな丈のホトトギスの群落があった。色が違うのでチャボホトトギスではないと思うが…。杉ヒノキ植林で囲まれた単調な車1台分幅の林道を下る。時間を置いて車数台に追い越されながら下り続ける。ようやく植林が途切れて左手に広い緑地のあるコテージ風建物が現れた。集落に下り一般道(車道)に、ついで国道に出ることができた。国道出口には今日一日お世話になった東電の黄色杭が刺さっている。武蔵横手駅のすぐ東側だが目前を飯能行きの電車が発車していった。誰もいない武蔵横手駅に帰ってきてホームのベンチで一口の祝杯を上げて周回ハイクを締めた。

(記:礒田武志)