福島県南会津町(旧舘岩村)
黒峠山1315.8m・割佐倉山1304.5m・真米山1145.7m
|
|
【日付】2021年03月24~26日(金曜日)
【メンバー】 CL:久曾神さん、メンバー:礒田武志 合計2名
【行動日程】
【交通】
03月24日
(往路)志木06:00-06:02朝霞台/北朝霞06:08-06:15武蔵浦和06:24-06:36大宮やまびこ203号(仙台行)07:05-08:03 新白河(トヨタレンタリース)08:26-11:02道の駅番屋付近三角点843.8林道広場
(復路)道の駅番屋付近三角点843.8林道広場⇒15:33R352⇒15:46舘岩郵便局前左折⇒15:51山楽前16:00⇒16:03舘岩郵便局前R352右折⇒16:06町道鱒沢線⇒16:06道路が残雪に(三角点峰1033.3の西南西、真米山北東標高点1001真東)⇒16:27R352左折⇒16:29舘岩郵便局前左折⇒16:27R352左折⇒16:29舘岩郵便局前左折⇒16:37湯ノ花温泉民宿「山楽」
03月25日
(往路)湯ノ花温泉民宿「山楽」7:50⇒8:00舘岩郵便局前右折R352⇒8:03町道鱒沢線に右折⇒8:06町道鱒沢線の下見した駐車場G733m
(復路)町道鱒沢線の下見した駐車場G733m14:20→G761m⇒14:26町道鱒沢線左折R352⇒14:27舘岩郵便局前左折⇒14:31真米山登山口鳥居前/神社14:48⇒14:51舘岩小学校付近残雪捨て場⇒14:56湯ノ花温泉民宿「山楽」
03月26日
(往路)湯ノ花温泉民宿「山楽」7:51⇒7:57舘岩小学校付近残雪捨て場
(復路)舘岩小学校付近残雪捨て場12:10→12:17湯端の湯12:45⇒13:20道の駅番屋⇒気温5~6℃⇒14:20下郷道の駅⇒2℃⇒14:55ENEOS(目的地4.4㎞)⇒15:06新白河トヨタレンタリース15:06→新白河なすの278号15:50⇒16:51大宮15:58⇒17:10武蔵浦和17:24⇒17:32北朝霞/朝霞台17:36⇒17:38志木
【コースタイム】
03月24日 林道広場11:13~11:42標高点973~13:19黒峠山13:45~14:54標高点973~15:14林道広場 [歩行時間(休憩を含む)] 4時間01分
03月25日 駐車場所8:22~8:43取り付き~10:28主尾根の前衛峰1230~10:43標高点1251峰~11:29割佐倉山12:01~12:33標高点1251峰~12:40主尾根の前衛峰1230~13:45取り付き~13:59駐車場所
[歩行実時間(休憩を含む)] 5時間37分
03月26日
雪捨て場8:01~8:09林道松戸原線終点~8:30三角点829.0m付近~8:51標高点877~9:58真米山10:15~11:00標高点877~11:17三角点829.0m付近~11:29林道松戸原線終点~11:36雪捨て場
[歩行実時間(休憩を含む)] 3時間35分
【コメント】
1. 動機・目的
久曾神さんのお誘いで毎年残雪期の山々を歩いてきた。しかし新型コロナ危機のせいで2020年は計画だけですべて中止になった。新座山の会、その他の山の会の団体登山もなくなり、残ったのはコロナ太りと体力の衰えだけであった。新型コロナとの付き合い方が明らかになった今、2021年計画に同行しうるとお誘いを受けることとなった
残雪期最初の山々は福島県南会津町(旧舘岩村)にあり、すべて礒田には未踏の三角点峰である。薮山であるが残雪を利用してぜひ頂上を踏んで見たいと思っていた。
2. 天気・気温・体調・装備 無理をしない
2.1. 天気・気温
03/24~25の南会津町の天気予報は晴れから曇り、風も3m以下、例年になく気温が高く4月並みとのことであった。
2.2. 体調
この冬も手足の血管に血が行き渡らず霜焼けや爪の伸び低下など寒さの影響があったが、春の気温が例年より高く、すでに回復した。天気予報によると寒波の恐れはないので凍傷の不安はない。もちろん新規コロナウイルス流行中であるから混雑する乗換、電車内、未知の方と対面になる場合は不織布マスクをかけた。
2.3. 個人装備
残雪期山行装備(アイゼン、ピッケル)、常備薬(日焼け止めなど)、アタックザック、帽子、手袋、スパッツ、サングラス、ヘッドライト、雨具、笛、地図、磁石、魔法瓶(湯)、現金、保険証、ジパング会員証、労山会員証、3日分の行動食、水、GPSL
3. コース
3.1. 見どころ
・風景・展望 3山とも薮や樹間の梢を通して近場の尾根、遠くの雪山が尾根越しに見える。見下ろす麓の里も風情がある。山座が同定できればもっと満足度が上がったかもしれないと思う。
・三角点 3山とも山頂に三角点がある。マニアにとっては垂涎の宝物であろう。
・宗教的施設・構造物 山中ではなにも見つからなかった。
・遺跡・歴史的建造物 これもない。
・温泉 湯ノ花温泉 今回は湯端の湯に。民宿「山楽」に2泊したので2日分の入浴券、三日目は入浴券\200を「山楽」で購入して利用した。
・自然・動植物 春が訪れたばかりでマンサクの花を麓近くで楽しんだだけであった。イワウチワもようやく小さな花芽を覗かせたばかりであった。林道で越冬したタテハチョウの仲間が落ち葉の上を舞っていた。
「この冬の降雪は平年並み、ただドカ雪が何回かあり、舘岩地区で屋根が壊れた等の被害があった。3月になって例年にない暖かさが続いたうえに先日の大雨で雪が解けたので残雪は少ない」とのことである。
「山に野生動物が増えている。鹿、猪(イノブタ)、熊、猿が里に下りて害を及ぼしている」とも。なお4月から渓流釣が解禁になるとのことであった。
3.2. 安全・ハザード
3.2.1 道迷い
黒峠山、割佐倉山の下りで、1回ずつ尾根分岐で往路から外れた。いずれも麓近くの広い緩斜面から脇尾根へ移る急斜面の入り口である。トラックログが参考になる。黒峠山では、間違えたことに気づいて往路に谷を巻いて帰り、割佐倉山では主尾根をそのまま下った。この尾根には赤ビニールテープの目印があったところを見るとこちらがノーマルルートなのかもしれない。
3.2.2. 薮・倒木
三山ともに邪魔になる倒木はなかった。残雪が少なかったためいたるところで薮が出ていた。幸いなことに体を跳ね返すような密薮や視界を遮るような高い薮はなかった。
3.2.3. 岩場
割佐倉山の標高点1251付近から三角点1304の細尾根に二か所ほど岩があった。往路は岩を下るので薮を掴み足場を選んで下った。復路の登りは、礒田は岩に登り、久曾神さんは西斜面を巻いた。ホールドに使える岩角や小木があるので注意して往復すればよい。
3.2.4. 雪崩
気象予報では、南会津町に雪崩注意報がでていた。しかし三山とも残雪はすくなく雪崩の兆候もなかった。それでも雪堤を歩くときは崩落を起こさぬよう注意して進んだ。
3.2.5. 寒さ
最低気温こそ霜が降りる温度であったが、登山口に着くころには四月なみの暖かさとなった。雪も柔らかくなり壺足で歩いた。アイゼンを着けたのも黒峠山登りの一部だけであった。ヤッケやオーバーパンツ(雨具ズボン)も早々に脱いでザックに収納した。割佐倉山、真米山には、アイゼンはケースに入れたままで往復した・
4. 歩いてみての感想
・南会津町の薮山三つを登ることができたのでまずは満足している。町道鱒沢線にレンタカーで通れないほどの雪が残っていたため当初計画の土倉山を諦めて、代わりの真米山となったが満足に変わりはない。
・残雪を満喫できなかったのは残念である。残雪は山の上より里の方が多いというこの春の不思議を目にした。川が澄んでいたのもそのせいかしらとも思う。
・大嵐山、湯ノ倉山、荒海山、枯木山、田代山、帝釈山、台倉高山などに山の会の皆様とこれまで登ってきたがまだまだ会津には山また山がある。
(記:礒田武志)
|
サムネイルをクリックすると、拡大写真のページを開きます
(写真 礒田武志)
|
3月24日 黒峠山 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
3月25日 割佐倉山 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
3月26日 真米山 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
5. 記録
5.1. 03月24日
5.1.1. 林道広場から黒峠山まで
晴天のもと林道広場からアイゼンをつけて出発した。林道はこの先から雪が残っている。4輪駆動車と思われる轍跡が砂利や残雪の上についている。残雪に完全に覆われた戸倉沢に架かる小橋を渡る。戸倉沢には雪解け水が流れ下っている。橋の先で雪道は十字路となる。杉植林尾根へ延びる道を選ぶ。尾根道もさらに分岐して巻道まである。雪の覆われた作業道がジグザグとなる。どうも曲がり角には分岐があるようだが残雪ではっきりしない。植林と雑木の境から麓まで見下ろす。薮山と聞いていたがここまでは道があった。道が分岐して尾根へ延びる。尾根では雪が消えてなくなってしまう。アイゼンを外して足軽になった。尾根が細くなりに赤プラ杭が刺さる緩やかな落葉登りとなる。薮も薄い。標高点973を過ぎて笹薮が現れたが昼食休憩とした。食後に緩やかな尾根を登る。北側に支尾根が幾つも現れる。間の谷は残雪で一面が白い。標高1000mを越し、ブナ・ミズナラ林の中の残雪を拾って登る。木の枝、幹、林床の薮を透かして遠くの尾根、高い山がみえるが山また山で同定ができない。振り返って北東を見ると高杖スキー場そして七ケ岳があった。特徴があって判別しやすい。林床にイワウチワが目立つ。雪の下から出たばかりでまだ葉が寝ていた。尾根が南西から真南へ向きをかえる。尾根の斜度が大きくなり、大木が道を塞ぎ、所々に鬱陶しい薮もある。ミズナラに巻いた錆びた鉄ワイヤーを見つけた。伐採が行われたのは昔のことだと語っているようだ。緩やかな登りになると左右を見る余裕が出る。重なる尾根の向こうに白銀の山脈があるが名前がわからない。残念だ。黒峠山山頂1315.8mに着いた。先に到着していた久曾神さんに迎えられる。周りを見まわすが立ち木、薮と残雪のせいか地形図ほど平坦には思えない。薮に残雪が覆いかぶさっているせいか三角点は身を隠していた。
5.1.2. 黒峠山から林道広場まで
黒峠山から南を見ると木々の向こうに聳える山が見える。土倉山か。西に大嵐山、南東の針葉樹の影にあるのは荒海山と久曾神さん、麓の番屋の先には高杖スキー場、その先に七ケ岳が見える。展望のあるのは広葉樹が葉を広げる前の今に限られるようだ。しばらく休んだ後、北へ往路を下った。尾根が落葉高木の林になる。標高1170m付近で、往路で気になっていたオオウラジロノキの実を落ち葉の中から拾い上げてみた。皺ひとつないが固い。晩秋から雪に埋もれていたのだろうが。尾根分岐に帰って来て南から北東へ向かう。緩い下り尾根道を下って標高約1080mの尾根分岐を北尾根へ迷い込んだ。すぐに南東に谷間の雪斜面を久曾神さんの先導で巻いて登ってきた北東尾根に復帰した。北尾根を下っても作業道に出られたかもしれないと下山後2人で感想を述べあった。落ち葉尾根道から残雪斜面に下る。標高点973を過ぎると残雪ばかりになる。雪が随分柔らかくなって靴が沈む。電光作業道を下って戸倉沢の橋に着いた。林道の雪、枯草と砂利を踏んで広場に停めた車に帰着した。
5.2. 03月25日
5.2.1. 駐車場所から割佐倉山
駐車場所からまずは標高点738を目指して出発した。すこし雲があるが今日も好天だ。町道の残雪には昨日下見の時と変わらず轍跡が南に延びている。町道を覆う残雪は所々しかないが乗用車で越すのは無理であった。鱒沢を南方向に見ると正面に頂上部が険しく大きい山がある。町道を南へ歩き、標高点738付近で東の尾根筋を見上げる。ネットで見つけた標高点1251へアプローチする尾根取り付きを浅い谷、尾根、深い谷と地形図と照合しながら探す。深い谷を左に過ぎて南東へ延びる尾根の末端に向かう。「さて東正面の山は割佐倉山か」と見上げるがどの峰も同じように思える。稜線に残雪が全く見えない。林道の残雪上の轍は南奥へ進んでいた。 西の対岸に徒歩道らしい残雪ラインが見えている。東は谷の切れ込みか、大きな谷の南尾根か、広めの平地があるか現在地を地図読みで一生懸命照合確認した。無駄な努力であった。久曾神さんの新しいスマホアプリは取り付きポイントと現在位置を一目で確認できるよう表示していた。
尾根に取り付く。地形図とは違って取り付きから等高線標高差40mが急傾斜薮斜面である。雪で寝ていた細木が立って邪魔をする。急傾斜を過ぎると尾根は薮めいた広葉樹疎林となる。薮が膝や腰を叩く。踏み跡があるが人よりは獣が通った跡のようだ。等高線850mを過ぎた踏み跡の上にイタチの仲間の縄張り糞があった。鹿の踏み跡と思えるのに意外に日詰跡や落し物が少ない。健脚の久曾神さんが待つ薮中の休憩ポイントG931mに着いた。ミズナラの根元にイワウチワがある。花はまだない。休憩ポイントから標高差50mを登って尾根に残雪がようやく現れた。標高差20mの急斜面をハーハーしながら登ると南側の尾根と合流する。平坦な尾根の残雪斜面を登ることができた。ミズナラの枝先、さらに向かいの尾根の先に白銀の山々が見えるようになった。標高1130mから急登に、急傾斜の斑残雪尾根をまた喘ぎながら登る。10分も登ると緩やかな登りになり、まずは久曾神さんが待つ主尾根の前衛の峰1230に着いた。主尾根南端の前衛峰1230から見える山や尾根続きの雪山は何だろう。ところで久曾神さんはここが割佐倉山と勘違いしていた。北の三角点峰1304が割佐倉山と確認しあってP1230から北東へまず下り尾根を進む。
この尾根の林床は細木と灌木の薮で北東の割佐倉山までつながっている。しかもアップダウンがある。木の間を通して見えるのはどの峰なのか。登りついて割佐倉山山頂と期待したが目印はなにもない。GPSで標高を確認したら標高点1251峰であった。近いはずだ。下り細尾根の細ブナ薮にある岩段差を2つも越えてようやく雪堤を歩むことができた。P1230を過ぎると笹薮があり尾根に太い檜や五葉松が立つ。北東に高杖スキー場が見えると久曾神さんがピッケルで指す。どうにか追いついて割佐倉山山頂1304.5mに到着した。三角点がちゃんとあった。
5.2.2. 割佐倉山から駐車場まで
休憩中、里から正午のチャイムが届いた。割佐倉山の南東に土倉山、南西に大嵐山があるはずだと南を見ながら下る。様子が分かった復路はルート選択も余裕がでてきた。2か所の岩段差も久曾神さんは岩を巻き、礒田は岩に登った。P1230、標高点1250峰、P1230とアップダウンを終えて尾根分岐に帰ってきた。北西へ下るとミズナラ尾根になる。一休みして尾根を西へ直進した。往路は北西から20mの急斜面を登ってこの尾根に来たのだ。西に下ると点々とある赤ビニールテープの目印を見つけた。昔の伐採作業に使われた錆びた鉄ワイヤーがミズナラの皮にめり込んでいた。こちらの尾根の方が林床の薮も薄く傾斜も緩い。尾根の左(南)に花を開いたマンサクが並木になっていた。標高810m付近から尾根は緩い裾状となっている。どこでも歩けるせいか目印がない。ただ杉が一塊の林を作っている。雪解け水の流れに沿って下り町道についた。振り返って目印の杉林を探すが落葉樹に囲まれてはっきりとは見えなかった。鱒沢に沿った等高線750mがある辺りの杉林なのだが。少し北側へ降りていた久曾神さんと合流して町道鱒沢線を北に帰る。道路上の残雪に我々以外の足跡が残っていた。北へ歩みつつ、下ってきた尾根を振り返る。すこし歩いて右側に草地を見つけて登り口はここからだったと思い出す。小沢にかかる小橋を渡る。小沢には雪解け水が泡を作り浮かべながら流れていた。東を見上げて「今日も好天だった。あれは割佐倉山だろう」と感謝して、春の訪れはないかと足元に目を配る。見下ろした水溜まりに蛙の卵塊が幾つもあるのを発見し、季節の便りだなと思いながら車に向かう。落葉松林の風倒木が小沢を塞ぎ、その奥に作業小屋らしい建物がある。町道鱒沢線は何に使われているのだろうか。車を停めた場所に帰りついた。ヒオドシ(蝶)が車の周りに何頭も舞っていた。
5.3. 03月26日
5.3.1 雪捨て場から真米山まで
予報と違って陽射しを感じる薄曇りである、車を停めた雪捨て場広場を出発して舘岩小学校を見ながら林道松戸原線に向かう。林道松戸原線起点を右折して道なりに登ると綺麗に積み上げた山から崩れた短い丸太が林道を塞ぐように散らばっていた。椎茸の榾木らしい。林道終点には古びた大アンテナが2本立っている。アンテナ2本の間の残雪に踏み込んで谷を登り始めた。谷は正面と右に尾根があり右尾根が高い。谷筋の軟雪急斜面を登る。いつものように久曾神さんはスタスタと登るが礒田は足跡を辿っても追いつけない。登りついた尾根筋には残雪がなく高木林で落ち葉の作業道があった。道は左(東)から右へ登って来ている。尾根の合流点過ぎに新しめのアンテナ設備がやはり2か所ある。三角点829.0mがあるはずだが見つからない。尾根の東側の所々に雪堤があった。雪を拾って歩く。予報通り北西風が尾根を吹き曝し、風の通り道では落葉が舞う。ところで山には残雪がほとんどないのに見下ろす麓の平地が一面の雪で白い。不思議な雪解けだ。さて真米山山頂まで平坦な尾根が続くと期待していたがアップダウンがあり裏切られた。尾根の瘤を登り下りする。帰りの登り返しを思う。靄っている薮尾根を下って登る。標高点877の瘤について東西の麓を木の間から見下ろす。こちらも白いパッチが広がり、その間を車が行き来している。緩やかな登り尾根筋に入った。平坦な尾根には麓の畑と同じように雪が一面に広がる。南を見るとブナ林の向こうにすこし大きめの山体が見える。真米山か。登った瘤から薮尾根の向こうに真米山らしい山が見えた。ブナ薮尾根を進む。ブナの根元にはイワウチワの群落があり、茎を立て、葉を広げ始めて、赤くて小さな花芽をようやく覗かせている。5分も登ると真米山1145.7mの山頂に着く。尾根は南へ続いているがここに三角点があった。
5.6. 真米山から雪捨て場まで
今日は靄がかかっているせいもあり真米山山頂から樹間や枝を通して遠望することはできない。南の方向には五葉松が隠している山がある。土倉山か大嵐山か。真南なら大嵐山だが距離がはっきりしない。一休みした後、山頂から北へ尾根を下り往路を辿る。尾根分岐の瘤を北に下ってアップダウンに入る。薮尾根も下りは思ったより楽であった。三角点829.0のアンテナ施設から北東へ作業道を辿る。作業道は西へ左折し尾根から谷へ入っている。残雪の下にある作業道を探して下る。案の定、作業道を見失ったが往路の足跡を辿って麓のアンテナの間から林道に出た。除雪された林道を下る。椎茸榾木の山の近くで散歩中の高齢婦人2人と言葉を交わした。この方たちが3日間の山中で初めて出会った人である。林道松戸原線起点を左折して雪捨て場まで帰りついた。
(記:礒田武志)
|