【日付】2021年04月22~24日(土曜日)
【メンバー】 CL:久曽神皐浩、礒田武志: 2名
【行動日程】
【交通】
04月22日
(往 路)志木07:24-07:26朝霞台/北朝霞07:30-07:37武蔵浦和07:42-07:49大宮はくたか553号08:17-10:10糸魚川-糸魚川駅アルプス口(糸魚川タクシー)10:15-笹倉橋(焼山温泉前)-林道除雪終点
04月24日
(復 路)笹倉温泉(糸魚川バス)11:20-11:55糸魚川総合病院11:56-12:07糸魚川駅アルプス口12:11-糸魚川はくたか562号12:47-14:27大宮14:4-14:52武蔵浦和15:03-15:10北朝霞/朝霞台15:14-15:16志木
【コースタイム】
04月22日
林道除雪終点11:16-11:27林道分岐で迷い込んで引き返す11:48-12:10鉄板橋-12:40曲がり角-13:08標高点746テント場 [歩行時間(休憩を含む)]
01時間52分
04月23日
テント5:50-6:15昼闇谷への降下点-6:26谷底から高台への登り口-6:34高台-6:56谷-8:40主稜線コル-9:57鉢山10:25-11:14コル-12:27林道-14:10昼闇谷左岸降下点-昼闇谷-14:35昼闇山北尾根近く-14:52テント [歩行時間(休憩を含む)] 09時間02分
04月24日
テント場5:59-7:30残雪末端-8:08笹倉橋・焼山温泉8:52-9:19笹倉温泉 [歩行時間(休憩を含む)] 02時間20分
【コメント】
1. 動機・目的
鉢山は、2011年5月19~22日に山スキーで有名な昼闇山に久曾神さんとテント山行した時に眺めて、アイスクライミングをしない自分には見るだけの山と思っていた。ところが久曾神さんから2020年残雪期に鉢山に登ろうと計画書が送られてきた。読めば雪壁が薮に変われば登頂の可能性があるとあった。残念なことに昨年(2020年)4月7日にコロナ禍の緊急事態宣言(第2回)発出でやむなく中止となった。
2021年初めになって改定された計画書が送られてきた。残雪期の4月は1日にコロナの蔓延防止等重点措置が発出されたものの頚城のテント山行なら支障はない。2011年を思い出せば昼闇谷の両側に春の紅葉と呼ばれるブナ林の美しい芽吹き、谷や昼闇山を埋める残雪、焼山や火打岳、海谷三山、雨飾山や北アルプスや鉾ケ岳と新田山、夕食に摘まんだコゴミや蕗の薹、そして鶯やツツドリなどのさえずりなど感動が重なり涙が出る。これらを再び体験したいものだ。
雪壁や岩稜で登れるとは思えなかった未踏の鉢山を踏破できるという期待も高まる。ついでに久曾神さん調査の前烏帽子岳にも登ってみたい。
コロナ禍の中、コロナ太りし、筋力が衰えたので76歳にもなると少しでも回復しないと先の登山人生が短くなる。
2. 天気・気温・体調・装備 無理をしない
2.1.天気
22日は本州付近が高気圧に覆われ日中は晴れて糸魚川市も晴で融雪、乾燥、なだれ、霜注意報が出ていた。気温は最高17℃、最低8℃で高めの予報であった。降水確率0%で南の風日中北の弱い風だという。
23日の糸魚川市は晴で気温は最高17℃、最低7℃で標高800mのテント場はこれらより5~6℃低いと思えばよかろう。風は南南東、2m~1/s、午後には北北東から東北東、5~3m/sと枝を揺るがす風が吹くと予報であった。幸運にも山中で強風に会わなかった。
24日の糸魚川市は晴後曇、最高16℃、最低9℃、風は弱風との予報であった。体感的には笹倉温泉の方が糸魚川より暖かいと思った。
2.2体調
晴天と残雪のせいで紫外線が非常に強かった。毎日、日焼け止めを顔と首筋にたっぷり塗って出発したが、唇にヘルペス様が腫れや痛みが下山後に発生した。幸運なことに杉花粉の飛散が少なく、目のかゆみ、くしゃみや咳に悩むことはなかった。
2.3.テント山行装備
2.3.1.行動用
一般的残雪期登山装備で十分である。残雪の急斜面を上下し、また巻くのにピッケル(アイスアックス)を使った。手袋、ピッケルバンドも必要である。なお新雪ではないのでワカンを持参しなかった。もちろん10本歯アイゼン(クランポン)、膝までのスノースパッツで雪の上、薮の稜線も歩いた。陽射しが強いので帽子をかぶり、目を保護するサングラスは不可欠である。もちろん長袖シャツ・長ズボンで薮に備えた。
ところで久曾神さんはGPSにウエイポイントを事前に入れ、また歩いて来たトラックログと複雑な地形である昼闇山と鉢山との間のコルから昼闇谷まで、現在地を照合確認しつつ先行してくださった。それでもルート外れがある。すぐにルート回復できたのはGPSの成果であった。もう一つ、スマホで日本山岳ガイド協会の登山届アプリ「コンパス」で登山開始と下山の報告を行って自宅に通知されていた。無携帯の礒田では不可能だがスマホを持っておられる方にはとても有効な手段と思う。新座山の会でも採用してはどうか。
2.3.2.テント泊用
共同装備のテントは久曾神さんに準備していただいた。感謝! 個人装備としては、テント場の標高が746mと低く、天気予報でも例年より高気温とあったが用心して氷点下用の寝袋を持参した。銀マット、インフレーションマット、シュラーフカバーに薄手ダウンジャケット上下、ダウンソックス(テントシューズ兼用)を使用したので寒さを感じなかった。ただ睡眠用キャップを忘れたので禿げ頭だけに寒かった。
調理・食事装備は一般テント泊用である。もちろん最近流行のキャンピングツールや豪華食でないのは残念だ。さて前回の経験からテント場東の小沢で雪解け水を調達できると分かっていたので2.5Lの水袋(プラティパス)を2つ持参して2泊分の水を1回で汲んだ。
3. コース
3.1. 見どころ
風景・展望 鉢山からは360度、頚城の山々が見える
三角点マニア 鉢山に三角点がある。
信心 農道、林道、山中は全くの無宗教であった。
遺跡・歴史的建造物 人工物は堰堤や暗渠用水施設だけである。
温泉 糸魚川バスのバス停は笹倉温泉(営業中)、焼山温泉(休業中)の中にある。糸魚川駅アルプス口から片道\740。自家用車利用が一般的
山スキー 昼闇山は山スキーのメッカ、谷にも尾根にも至るところにシュプールがあった。
自然・動植物 アケビ平から昼闇山北尾根裾までの杉植林を過ぎるとブナを主役にした広葉樹の疎林であった。雪解けした林床にはユキツバキやマンサクなどの小木や笹が薮を作っている。残雪が消えれば人が入れなくなるに違いない。ブナ疎林の春の紅葉を期待していたがほんの1週間ほど早すぎたようだ。今回のテント場近くは残雪で覆われていたので杉植林地ではコゴミも蕗の薹も全く見当たらなかった。暗渠用水路・鉄板橋まで下ると路傍にふんだんに伸びていた。3日間で鶯、アオバト、ツツドリ、キジバト、エゾムシクイ(ヒリキーキ)、ホオジロ、キビタキ(チョットコーイ)、ルリビタキ(ルリビタキキタヨー)、ミソサザイと、分からない鳥のピーという声が聞こえた。鉢山への雪の上にはカモシカ、ウサギに熊の足跡が残っていた。熊については鉢山下山時、昼闇山北尾根末端で久曾神さんが目撃した。少し遅れて昼闇谷から登りついた礒田は残念にも見逃した。
3.2. 安全・ハザード
3.2.1 道迷い
・焼山温泉からの林道には4か所ほど分岐がある。残雪に覆われているとつい明瞭な方へ進んでしまう。今回、西尾野川へ下る林道に迷い込んだ。等高線標高520mの広場が分岐で右手目前から林道が延びている。新田山やアケビ平に延びる林道は左手にあったのにだ。林道を少し下って沢を越して間違いに気づいた。左手の小尾根に上がって対岸に水平林道があると確認して沢を越そうとしたが雪解け水がとうとうと流れているので来た道を広場に引き返した。広場から新田山分岐を過ぎてアケビ平へ林道を歩むと小橋に暗渠用水桝がある。先ほどの尾根は林道と合流していた。遠回りして残念。前回は鉄板橋の先まで除雪してあったとチラリと思い出す。橋を渡り右折して林道を進む。次の等高線標高580mの分岐を西尾野川方向下る林道を前回は少し歩いてみたが今回は迷うことなく直進した。等高線標高650mの分岐に出会う前にテント場標高点746へ杉植林の中に入った。この650m分岐は前回に道迷いしたポイントである。
・鉢山東のコルから昼闇谷降下点のある台地に取り付く谷までの地形がすこし複雑だ。下りは地図読みだけでは現在地やルートを確認できなかった。まずは岩峰1408を左手(北西)に見て尾根を越して小谷に入る。この小谷を下り続けると昼闇谷に出会わない。標高1300mで西の小尾根を越して次の小谷に移る必要がある。ここでやはり間違えた。先行する久曾神さんがGPSの登りトラックログを見て進行方向を正した。GPS活用が不可欠である。
3.2.2. 薮・倒木
雪解けして残雪が薄くなった林道にはこの冬の大雪で折れた杉の倒木や大枝があった。邪魔なのだがアイゼンを着けても無理なく跨ぎ越すことができた。林や谷の斜面には残雪の下から跳ね上がる若木もあったが注意して踏めば問題なかった。
昼闇谷右岸の上端沿い、鉢山の稜線三分の一と頂上に薮がある。
・昼闇谷右岸の上端沿いの薮は崖を避けてできるだけ傾斜が緩く、上端近くまで雪が続いている斜面に取り付くのに利用した。登りは雪斜面を登り、薮に生えている木を掴んで上端に達することができた。
・鉢山の稜線三分の一の薮は2つに分かれていた。いずれにも要所に古い鋸目や踏み跡を思わせる隙間があり昔から歩く人がいたとうかがわせた。ただ狭い尾根を塞ぐミネブナが二か所はあったと記憶する。また2番目の薮は短いが岩場に続く。この岩場に雪がつくと壁になり登頂を諦めることになるのだろう。薮になっていて幸せと感謝しながら登ったが疲れた。
・前山から平坦な残雪を踏んで最後に頂上の小薮に着いた。三角点がこの中にある。薮を漕いで体をねじ込めばよい。三角点の周りは狭いながら空き地になっている。
3.2.3. 岩場・急斜面・残雪・融雪
ルートにある岩場はコルから鉢山に至る細尾根にしかない。アイゼンを着けて岩を薮の木を掴んで登り降りする。鋸目もあるのでそれを探し活用すれば無理をしなくて済む。
滑落を懸念させる残雪斜面は昼闇谷の両岸である。標高差は20~50m程度で台地から谷底へ下り、谷底から台地へ登る。アイゼンの爪や歯を利かせ、ピッケルの石突を雪に刺してバランスと確保を行って行動する。礒田はアイゼンがすこしでも滑ると2度踏み3度踏みをしてしまう。久曾神さんの足跡を見ていると滑ってもその先に次の足が出てスタスタ進んでいる。そうしたいができなかった。前烏帽子岳へ林道を歩く時も同じだった。急斜面に切られた林道の残雪は斜面の角度通り斜めに延々と続いている。林道の下は深い谷だ。急斜面を巻き続けるのと同じことになる。先行する久曾神さんの足跡を辿って行くのだが谷側に滑落しないようびくびくしながらでははるかに遅れてしまった。
融雪による水流によって昼闇谷をはじめ谷を埋めた雪が落ちて穴ができ始めていた。踏み抜いて転落しないように雪橋を選んで注意して渡った。上流になるほど穴が小さくなり数も減る。
糸魚川市には雪崩注意報が出ていたが昼闇谷で崖からはがれ落ちたデブリが一ヶ所あったくらいで残雪の斜面にはどこにも亀裂がなかった。雪俵は二三ケ所あった。鉢山の薮尾根では雪庇が崩れ中間に雪堤が残っていた。雨飾山の方からドロドロと雪崩の音が届いてきたが近場の山々の谷に雪崩が下った茶色の流れは見えなかった。
3.2.3. 暑さ・寒さ
放射冷却で夜明け前の冷え込みが強いかと思ったがテントの壁も凍らず、テント内に納めていた登山靴の紐も柔らかだった。前回、昼闇山からテントに帰って来た時、テント内が真夏のように暑かったので今回も同じかと思ったが耐えられる暑さであった。ただしテントからシートを引っ張り出して杉林の中の日影でしばらく過ごした。
4. 歩いてみての感想
・コロナ緊急事態宣言の合間に、2011年には思いもしなかった残雪期の鉢山に登ることができたので十二分に満足している。
・雪橋がないと前烏帽子岳にアプローチできないことも分かった。長い残雪林道を辿るのは急斜面の巻きに弱い礒田には無理である。
・アイゼンを着装して雪斜面、岩、薮を歩くことができて、GPSで現在地を確認して迷い込みをなくすれば誰で鉢山にピストンできる。一つで条件が外れるようだと止めた方が良い。
・鉢山山頂の薮を少し出ると頚城の山から北アルプス、鉾ケ岳に日本海まで360度の展望がある。懐かしい焼山に会えた時には目が潤んだ。
・なんどか利用した焼山温泉が休業とは寂しかった。地元の方が焼山温泉スキー場のゲレンデで立派なコゴミをレジ袋に2つほど満たされていたのに驚いた。雪国の春の訪れを感じる。
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