【日 付】 2021年9月23日~25日(日曜日)
【メンバー】 L:(久曽神皐浩)、メンバー 礒田武志、 合計 2名
【行動日程】
【交通】アクセス
09月23日
(往 路)志木6:55⇒7:16小竹向原7:17⇒7:28新宿三丁目→7:40バスタ新宿(高山行濃飛バス)8:15⇒(都内交通渋滞で12:40に遅刻)⇒14:00平湯温泉BT14:40⇒15:27新穂高温泉
09月25日
(復 路)中尾高原口(濃飛バス14:59に乗り遅れ)15:22⇒沼津の親切な男性に車で平湯温泉まで送って頂く)⇒15:50平湯温泉BT16:05⇒(交通渋滞)⇒17:23松本IC⇒20:44(予定20:30)バスタ新宿→新宿三丁目21:00⇒21:29和光市21:30⇒21:39
志木
【コースタイム】
09月23日(祝)
新穂高温泉BS15:48→16:49笠新道入口→17:01ワサビ平小屋(泊)
[歩行時間(休憩を含む)] 1時間13分
09月24日(金)
ワサビ平小屋5:20→5:33笠新道入口→8:02二千mの草付き→9:40乗越2450m9:53→11:53主稜線2800m→12:42デポ地点P2710東12:52
→播隆平2610m→13:51緑ノ笠(2654)13:56→14:41デポ地点→主稜線2700m14:43→15:26笠ケ岳山荘2810m(泊)
[歩行時間(休憩を含む)] 10時間06分
09月25日(土)
笠ヶ岳山荘2810m5:33→5:50笠ケ岳(2898m)5:54→6:47雨具ズボンをはく→8:06雷鳥岩(2508m)→8:20クリヤノ頭分岐→8:41栂の低木を乗り越え→8:56クリヤノ頭(2433m)→9:09クリヤノ頭分岐→10:02水場10:32→13:22錫杖沢1470m→15:14槍見温泉→15:22中尾高原口970m
[歩行時間(休憩を含む)] 09時間49分
なお笠ヶ岳から中尾高原口までのコースタイムは大腿四頭筋の疲労が進んだせいでヨレヨレ下山の失速タイムである。
【コメント】
1. 動機・目的
日本アルプスの高峰にもう一回は登りたいと70歳を過ぎてから思い続けてきた。この二年はコロナ禍で山小屋泊を遠慮してきた。今年も笠ヶ岳付近の寂峰を訪れるという久曾神さんからのお誘いがあった。例年秋に開いてきた東燃総研OB会の総会・懇親会をどうするかを相談する役員会等との問題があり、日程の折り合いがつくか気を揉んでいた。どうにか隙間を選んで同行できることが分かった。今回の珍しい名前の緑ノ笠とクリヤノ頭はもちろん未踏であり、笠ヶ岳から槍見までのクリヤ谷コースは錫杖谷出合から槍見までしか歩いていない。未踏の山の2つと未踏のコースを踏破できれば大きな達成感もあるだろうし、秋空に映える北アルプスを再び訪ねて忘我の境を体験できるかもしれない。2003年07月31日に笠ヶ岳山荘に宿泊、2010年8月28日に錫杖岳に登ってクリヤ谷を上下した。それらの思い出も追認できるだろう。北アルプスの初秋を訪ねて秋を探すのも2003年9月の爺が岳~針の木以来だ。コロナ禍の中、高速バスや山小屋のコロナ対策を見てこれからの利用を考えてみたいし、コロナ太りし、筋力が衰えたのでそれも回復しなければと思う。しかし今回は標高差1500mの上り下り、しかも長距離だ。七六歳の身には大丈夫だろうかと不安も横切る。ともかく初秋の笠ヶ岳付近を満喫したい。
2. 天気・気温・体調・装備
2.1. 天気・気温
気象協会の天気予報によれば
9月23日 秋分の日は高気圧に覆われ東海では晴 高山市 曇のち晴 夏日 最高28℃、最低16℃ 時間12:00~24:00の降水確率10%、西の風後南西の風
9月24日 高山市 注意報 なし 曇のち晴 夏日 最高28℃、最低16℃ 降水確率10% 風 西の風後南西の風
9月25日 高山市 注意報 なし 晴一時雨 最高26℃、最低15℃ 降水確率30%、時間00-06 晴れ 17℃ 降水確率0% 降水量0mm 湿度87% 北西1m/s、時間06-12 晴れ 15℃ 降水確率10% 降水量0mm 湿度86% 北東1m/s、時間12-18 晴のち雨 25℃ 降水確率30% 降水量0mm 湿度% 北東m/s、時間18-24 晴のち雨 19℃ 降水確率20% 降水量0mm 湿度80% 北西1m/s
笠ヶ岳山頂最低気温は1~2℃と推定(高山駅573m 笠ヶ岳2890m 標高差2317mx0.6℃/100m=13.9℃)したが、25日朝の笠ヶ岳山荘前で実測4℃で暖かかった。
23~25日の麓は夏日で、温められて上昇する気流により雲が笠ヶ岳に登ってくるはずなので、場合によっては雷雨の懸念があった。
24日は抜戸岳南東尾根を登る頃から予想通り霧雲が周囲を蔽い、笠ヶ岳への尾根から陽射しが消えた。むしろ熱中症にならなくてすんだといえる。西側の霧がとれ、夕日に照らされて日没頃には笠ヶ岳山頂で東側から登る霧にブロッケン現象が起きて数人でダンスをしながら映る影と後光の動きを楽しめたという。
25日も雲海が広がる早朝に笠ヶ岳山荘を出発しクリヤノ頭を踏みクリヤ谷を下ったが谷の上を白雲が覆ったのは錫杖岳に近づいた頃であった。晴天に恵まれたといえる。
2.2. 体調
日焼け・熱中症 好天が予報されていた24日、25日の朝には顔、首に日焼け止めを塗って出発した。効果があったのか日焼けによる口唇ヘルペス発症がなかった。
新・北アルプス3大急登と言われるほど(ヤマケイアルペンガイド19ー2002版)の笠新道であるから今回は年齢も考えてストックを使ってみた。久曾神さんが計画したコースタイムと比較すると笠ヶ岳山荘までほぼその通りに歩くことができた。しかしながらクリヤ谷の下りでは予想も経験もしたことがないガクガク・ヨレヨレ足となってしまった。段差の上で片足を折って体を支え段差の下で反対の片足で体を支えて着地し足を運ぶというトントン歩行ができない。次第に段差がなくても下るのが難しくなった。計画したコースタイムと比較すると錫杖沢まで3時間に対し1時間13分の遅れ、そこから中尾高原口BSまで1時間30分に対しさらに30分の遅れになった。帰宅後も大腿四頭筋がパンパンに張り2階から階段を下るにも両手で手摺を掴み一段毎に両足をとどめるという緩歩が2日間、片足緩歩で2日間と今まで経験したことのない疲労回復遅れであった。この原因は水不足や糖質不足ではなく、この数年、クリヤ谷コースのような笹薮に覆われ岩段差が続く下りを歩いていなかった運動不足にある。太腿四頭筋等の耐久力そのものも低下したものと思われる。せめて2週間前に累積標高差で2000mを歩いて足慣らしをしておくべきだったと深く反省している。
新型コロナウイルスデルタ型流行で第5波とも言われ発出された緊急事態宣言及び蔓延防止等重点措置が9月30日まで続いていた。新座市の23日の新規感染者数は4人(累計1524人)で感染は収まりつつあるように思えた。しかしワクチン接種も済んだ身であるがブレークスルー感染にならぬよう後期高齢者二年生の私も電車内、人混み、対面になる場合はマスクをかけた。また山小屋のコロナ対策すなわちマスク着用・小声で・入口では消毒剤で手洗い・アクリル板仕切り内で食事・寝具には不織布等に全面的に従った。山小屋といえばわさび平小屋も笠ヶ岳山荘も減数定員制でしかも宿泊は予約が不可欠であった(久曾神さんに感謝)。新型コロナ感染は山小屋の経営と登山者の意欲と懐にに深刻な悪影響を及ぼしている。
2.3. 装備
一般的夏山(北アルプス)装備で十分であった。天気予報により午後に雷雨、朝には0℃近くなると推測されたので雨具とダウン上下を準備した。幸運にも3日間、雨に会わなかった。しかし25日の笠ヶ岳からクリヤ谷降下点までの北向き斜面の笹やハイマツには朝露がしっかりついていた。ズボンの膝下がひどく濡れるので雨具ズボンをはいた。南斜面に移るとクリヤ谷コースは笹薮が濃いものの笹の葉は乾き雨具の必要はなかった。またバリエーションである緑ノ笠、クリヤノ頭を踏むにはハイマツ薮漕があるとのことで手袋と眼鏡紐を準備し、長袖シャツ、長ズボンを着用して薮に備えた。しかし二つの峰とも濃い薮の幅は短く濃密な薮を抜けるとすぐにハイマツの丈も密度も低く心配したほどではなかった。
3. コース
3.1. 見どころ
・風景・展望
笠新道を登っていくと蒲田川をはさんで次第に穂高・槍が展望できるようになる。抜戸岳南西尾根乗越から望む杓子平、笠ヶ岳は圧巻、緑ノ笠も見えるはずだったが判別つかなかった。笠ヶ岳山頂から見る360度 立山~劔、黒部五郎~三俣蓮華、緑ノ笠辺り~杓子平~抜戸~双六、槍~穂高、雷鳥岩、クリヤノ頭~吉見平、乗鞍、御嶽~白山まで、それに笠ヶ岳の影が雲海に。
・三角点マニア
笠ヶ岳山頂に三角点がある
・バリーエーションマニア
緑ノ笠 降下点は笠ヶ岳テント場東の2710m峰の東西にある。今回は記録、トラックログにあるように東側の3本のガレーのうち最も傾斜の緩やかそうなガレーを選んで下った。霧で斜面も播隆平も隠されて上から見通せなかったのでトラックログにあるように岩を避けハイマツ薮をよけてジグザグに下った。復路は久曾神さんに従って播隆平から稜線に続く草付きを選んでほぼまっすぐに登った。降下点から一本西のガレーになる。なお、2710峰の西を上下したネット情報もある。
クリヤノ頭登山口 クリヤノ頭の南西尾根を巻く登山路が南東に下り始める箇所に岩が道に覗いている。この辺りの米栂薮の枝下を四つん這いになって潜り込むとハイマツ薮になる。この薮もまずはハイマツ根本を潜り気味に登り立ち上がるとハイマツの丈が肩から腰に低くなる。目前に層理になった岩がある。左に回ると登りやすいハイマツ薮となり雨裂や踏み跡が出てきた。
雷鳥岩 久曾神さんはかって南の岩から巻き気味に登ったとのことである。
・遺跡・歴史的建造物
2003年07月31日には笠ヶ岳頂上にはケルンがいくつか立っていた。今回、9月25日にはケルンは見当たらず石垣に囲まれた祠のみが残っていた
ヤマケイオンラインからの引用だが「 長和3年(1674)、円空上人がこの山を開山し、その後、天明2年(1782)に南裔(なんねい)上人が阿弥陀、薬師、不動、大日の四尊の奉納を行った。さらに41年後の文政6年(1823)には、播隆(ばんりゆう)上人が28人の村人とともに、また翌年には一行66名を伴って笠谷から登っている。これは日本山岳史上の壮挙とされている(『濃飛風上記』より」)。
・自然・動植物
夏をにぎわせた草花はすでに散って実を結び、アキノキリンソウの花が路傍をわずかに飾っているに過ぎなかった。よく見ればブナーミズナラの林床の灌木や斜面のダケカンバには初秋の風情が漂い始めている。杓子平、播隆平やそれらに落ち込む斜面はすでに黄色の草原や草付きに変わり、ナナカマドやクロマメノキなどの紅を交えて青空や霧の流れを絵葉書的景色にしていた。初秋の俯瞰を楽しむ。また結実を探すのも楽しい。クロマメノキ、スノキ、ウスゴ、ムシカリ、それにベニバナハナイチなどをの実を見つけることができた。
ハイマツ帯に入るとそこここにホシガラスの食堂があり食べた松毬が散らばっていたが姿をみせたのは1羽だけであった。播隆平では冬羽を交えたライチョウに出会った。薮から突然現れた3羽だけかと思ったら続いて岩陰から3羽が飛び出した。雛も親と大きさが変わらぬほど成長していた。
3.2. 安全・ハザード
3.2.1 道迷い
笠新道は一本道で迷うことがない。迷うとすれば杓子平から抜戸岳の稜線へ登るガレ道であろう。かっての分岐がある。今では岩に白ペンキで○印がついているのでそれを目で追って登って行けば稜線の道標に達する。前回登った笠ヶ岳に近いコースはX印が付いていた。
クリヤ谷コースは笹に蔽われ踏み跡もはっきりせず、倒木や渡渉箇所で踏み跡が途切れているので目印テープを探しながら下った。2002年のヤマケイアルペンガイドでは何の苦労もない下りコースのように書いてあったが…
3.2.2. 薮・倒木
緑ノ笠とクリヤノ頭はハイマツ薮で囲まれている。二つの峰とも肩を越す薮の幅は短くすぐに腰から膝の丈となり、さらにはっきりした踏み跡になった。もちろんいつも先行してくださる久曾神さんのお世話になったのだが。
しかしクリヤ谷コースの笹薮は濃く延々と続く。クリヤノ頭から稜線を少し進んでクリヤ谷へ下るわけだが、草原のガレ岩道から灌木帯に入った途端に笹薮が踏み跡を蔽い隠すようになる。しかも急な斜面をジグザグに笹をかき分け、岩段差が続く踏み跡を目印テープを探しながら下らなければならない。久曾神さんが待つ水場で休憩したがここまでに大腿四頭筋がパンパンに張っていた。水場からは沢に沿い、つかず離れずの笹薮道を下る。傾斜が次第に小さくなっていくものの笹の丈は次第に高くなっていった。さらにシラベや樺の太い倒木が踏み跡を横断し、ヨレヨレの足に一層の負担を強いた。踏み跡が沢に合流し、針葉樹林からブナ林に変わるとようやく笹薮も終わった。今後このまま、クリヤ谷コースの手入れが行われなければ廃道になるのも近いと思われる。
3.2.3. 岩場・急坂
笠新道は新・北アルプス3大急登と言われるほど(ヤマケイアルペンガイド19)の標高差(笠ヶ岳山荘2810m~笠新道入口1370m)がある。整備が行き届いて歩き易い。
抜戸岳から笠ヶ岳に至る稜線から播隆平へ下る急斜面には道はない。霧が立ち込めてカールの谷底まで見通せなかったので下りは傾斜が緩そうな降下点を探して草付きなどしっかりしたところを探し岩場や薮を避け雨裂などを頼りとした。帰りは稜線まで続く草付き斜面を選んで登った。砂利などは思いのほかしっかりして崩れるようなことはなった。
クリヤノ頭から稜線を少し進んでクリヤ谷へ下るわけだが、降下点2380mから水場2080mまで急な斜面を蔽った笹をかき分け、岩段差が続く踏み跡を目印テープを探しながらジグザグに下る。クリヤノ頭往復を除く雷鳥岩~錫杖沢出合までで失速し所要時間が4時間11分もかかった。久曾神さんの計画では3時間30分だから想定外の遅れで迷惑をかけた。下山後読み返したヤマケイアルペンガイドの歩程1時間40分は短すぎて首を傾げた。笹が覆った岩礫段差繰り返し道で両足の大腿四頭筋に疲労がたまり、片足で体を支えてバランスを取り下ることができなくなったせいである。新型コロナ禍によってこの2年間、日帰りできる里山しか歩けず、筋肉の老化が進んでしまった。せめて一月以内に足慣らしをしておくべきだったと反省している。
3.2.4. 渡渉
クリヤ谷コースには数か所の渡渉や河原歩きがある。今回は疲れきった足でも川面を石跳びで渡ることができたが増水時には石が水没してしまうと思われる。特に最下流の渡渉箇所は今回でも急流の上、水深があった。大雨の時にクリヤ谷コースを下るのは憚れる。止めた方が良い。
3.2.5. 暑さ・寒さ
24日にわさび平小屋出発時の早朝気温が8℃、槍・穂高から昇る朝日の光も巻雲を通って薄められ杓子平まで灼熱を感じることは無かった。抜戸岳から笠ヶ岳の稜線で日干しになることを心配したが麓から這い上ってくる霧で覆われて汗もかかずに済んだ。
25日の朝の笠ヶ岳山荘の外は4℃で氷結もなく薄着で行動できた。クリヤ谷コースも朝日が当たらない北斜面をまず歩き、南斜面となるクリヤ谷降下点下の岩道草付きでも強い陽射しは無かった。後の灌木帯、低木帯は木陰が続き、亜高山針葉樹林も槍見登山口まで暑さを遮ってくれた・
3.2.6. 衛生動植物
この時期になっても笹薮が現れると目の前をブユが踊った。今夏はアキアカネに食い残しがあったのだろうか。
4. 歩いてみての感想
笠ヶ岳の周りの面白い名を持つ緑ノ笠とクリヤノ頭を久曾神さんについて登ることができた。まずは満足している。北アルプスの高峰にもう一回は登りたいとの夢も笠ヶ岳登頂で叶えられた。また17年前の思い出にこの山行を重ねることができたのも感慨深いものがある。この二年はコロナ禍で山小屋泊を遠慮してきたがわさび平小屋も笠ヶ岳山荘も万全の感染対策が行われむしろ混雑せずサービスも良く快適であった。山小屋泊山行を再開したいものだ。また未踏のクリヤ谷コースの笠ヶ岳から錫杖沢出合までをよろよろながら下って赤線をつなぐことができたのも喜びである。たが二年以上のブランク・運動不足と老化が脚力を衰えさせ急傾斜の下りで大腿四頭筋がパンパンに張れ、バランスもとれず思いもしなかった遅足になり失速したのは真に残念なことであった。今回の山行はこの下り失速の一言で総括できる。
(記 礒田武志)
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