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剱岳北方稜線北端 鋲ヶ岳(861.0m)~烏帽子山(1274.1m)

 鋲ヶ岳山頂東屋からみた後立山連峰。頂上尾根は既に白く化粧
  

【山行目的】 剱岳・後立山遠望、剱岳北方稜線縦走完成、手術後の復調確認
【山行期間】 2022年11月11日(金)
【参加者】 L:(久曾神) 礒田 (合計2名)
【往 路】 大宮6:52はくたか551号→8:57黒部宇奈月温泉駅→9:02JRトレンタ(日産レンタカー内)9:22→10:33嘉例沢森林公園着
【コース及びコースタイム】嘉例沢森林公園キャンプ場駐車場10:40→10:42登山口→10:50稜線分岐→11:02鋲岳11:08→11:17稜線分岐→13:17烏帽子山13:23→13:56僧ヶ岳林道登山口14:08→往路を引き返す→16:27嘉例沢森林公園キャンプ場駐車場【所要時間05:47】
【復 路】嘉例沢森林公園キャンプ場駐車場16:35→18:14民宿 岬 0765-82-2489 富山県下新川郡朝日町宮崎3273 越中宮崎駅徒歩5分

 
【コメント】
 1. 剱岳北方稜線とは
 山と高原地図日本アルプス総図(昭文社)によると、剱岳北方稜線とは剱岳~池ノ谷乗越~三ノ窓~小窓ノ王~小窓~池ノ平山~白ハゲ~赤ハゲ~赤谷山~ブナクラ乗越~猫又山~釜谷山~毛勝山~西谷ノ頭~ウドノ頭~滝倉山~駒ケ岳~僧ヶ岳~烏帽子山~鋲ケ岳に連なる尾根だそうだ。
 北アルプスを剱岳から南へ槍ヶ岳まで南へ縦走した1965年7月当時は剱岳北方稜線という言葉も知らず、有名な山々を踏みたいだけであった。管理職定年になり登山を再開して毛勝三山(毛勝山(北峰・南峰)~釜谷山~猫又山)を2002年5月に竹田L他と踏破した時も残雪の毛勝谷と猫又谷を楽しむのが目的で剱岳北方稜線を縦走しようとは思っていなかった。
 登山仲間の内で剱岳北方稜線が話題になったのは2005年頃であった。竹田Lが妻の初子さんの希望でいわゆる剱岳北方稜線(剱岳~小窓の頭~池の平山)を縦走する計画を立てられた。そのパーティに加えて頂いて2005年9月に早月尾根から剱岳に登り剱岳北方稜線を始めて意識して歩くことができた。ロッククライマーの憧れのチンネ、八峰なども目の前に望み、新座山の会副会長だった高橋重夫さんの温泉小屋にも泊まり、その後、下の廊下を歩いて黒部第4ダムに出た。今から思えば豪華な山行であった。
 2007年10月にはグループ登山(小林L)で宇奈月温泉からの僧ヶ岳登山口まで林道をバスで登り、前僧ヶ岳~僧ヶ岳~北駒ケ岳~駒ケ岳と剱岳北方稜線の北端近くを歩くこともできた。その後は馬場島から大猫山に登り猫又山~ぶなくら乗越~赤谷山と、猫又山から南に剱北方稜線を赤谷山まで繋いだ。2010年8月のことである。この年の9月にはどなたかの希望でいわゆる剱岳北方稜線(剱岳~小窓の頭~池の平山)を礒田がリーダーになり2回目の縦走もした。2011年5月は久曽神さんの残雪期の縦走計画に従い、宇奈月温泉から僧ヶ岳~駒ケ岳~北駒ケ岳~滝倉山~ウドの頭~西谷の頭~毛勝山(北峰・南峰)を繋いで毛勝谷を下った。記録にはサンナビキ山にも行ったとある。雪の急斜面で滑落2回、事故は防ぐことができたが雪山は尾根筋を歩くべきだと痛感した。2014年9月には新座山の会の方々とぶなくら乗越~赤谷山~白萩山~赤ハゲ~白ハゲ~大窓の頭~池の平山(北峰・南峰)を歩いた。地図読みしながら歩き易いところを探して進んだが池の平山取り付きで日没、ビバーク、翌日、雨の中を池の平小屋に入った。大窓付近のハイマツの中の薮道(踏み跡)から斜面に転落1回、右肩を軽く捻挫しただけで済んだのも幸いであった。
 この山行を終えたので剱岳北方稜線も残すところは僧ヶ岳の林道登山口から烏帽子山~鋲ケ岳という北端のみになった。昨年来、久曾神さんから登り残した北端を歩く計画書を頂いていた。烏帽子山~鋲ケ岳は地元の方々には格好のハイキングコースであるが僧ヶ岳の林道登山口~烏帽子山の間は歩く人も少ないらしい。これが今回の山行の赤線病的動機である。

2. 出発前に
2.1.  大人の休日俱楽部・ジパング倶楽部割引
 出発2日前に北朝霞~黒部宇奈月温泉間の往復乗車券・特急券をまずは自宅で「えきねっと」予約しようとしたが「この経路はお取り扱いできません」とのこと、翌日、北朝霞駅の指定券券売機で購入しようとトライしたが同様、仕方がないので片道¥168円を使って「みどりの窓口」がある武蔵浦和駅に出かけた。ジパング倶楽部の手帳に所定の記載をして窓口に提出、無事に30%割引で購入できた。北朝霞駅の「みどりの窓口」がなくなって少々不便になった。JR東日本とJR西日本を跨ぐので大人の休日俱楽部割引適用外になったようだ。複雑、次はどうなるか、努力を要する。

3. 嘉例沢森林公園キャンプ場駐車場を探して
 黒部宇奈月温泉駅改札口を出て東口に向う。ロータリー右手に見えるのがJRトレンタ(日産レンタカー内)である。2度目なので礒田でも間違うことはない。運転免許を返上していない久さんが手続きをして日産の軽自動車で出発した。事前に久さんが調べた嘉例沢森林公園キャンプ場駐車場のマップコードをナビに入力したので実に順調に進んだ。9:44に田籾でナビに従って左折して九十九折の広い舗装道路を道なり進み、三叉路を直進したところ突然ナビが沈黙し、フリーズした上に変則的なUターンを図示した。地形図等と照合したが理解不能であるので田籾まで下って久さんは地元の男性二人に、礒田は上から下って来た軽トラの作業服男性に道を聞いた。いずれも目前にある三叉路の細道を直進しなさいと助言する。助言に従って杉林の細道に入り、九十九折を道なりに登って貰って嘉例沢集落集団離村モニュメント前にようやく到着した。対向車がなくてよかった。地形図破線ショートカット徒歩道との分岐点の位置である。なんとナビ画面のフリーズが解けているではないか。どうも左から延びてくる広い舗装路に乗ったようである。道なりに登ると建物が立つ嘉例沢森林公園キャンプ場駐車場に到着した(帰宅後ログを見たら駐車場は広い道の末端にあるのではなくて地形図破線路上にあった)。車が数台駐車し、キャンプ場で工事・作業中、背後の杉林には登山者の姿がちらりと見えた。車を降りて駐車場入口の方へ歩んでみると看板に「ここは僧ヶ岳県立自然公園」、近くの手作り道標には「鋲ケ岳登山口」と記してあった。

4. 鋲ケ岳登山口から鋲ケ岳
 手作り道標「鋲ケ岳登山口」から杉林の中の手入れ行き届いた道に入る。公的に設置されたと思われる白道標に「現在地鋲ヶ岳・烏帽子山登山口」、さらに階段には「頂上まで30分」標もあった。杉林を抜けると黄葉した高木落葉林に入る。林床も黄葉している。紅葉するカエデ類はすでに落葉して少し色彩が乏しく寂しい。九十九折先に頂上稜線が見えた。頂上稜線を左折(北北西)する。ここが久さんの計画書の稜線分岐としたら別道を登ってきたに違いない、落葉広葉樹に挟まれた稜線を北上して鋲ケ岳頂上へ向かう。尾根分岐道標に出会う。「頂上まで(ほんの)5分」と記してある。直進すれば北からの登山路になるのだろうか。そうすればここが稜線分岐となる。頂上の方へ少し進むと東屋が見えた。東屋の影に三角点があった。鋲岳(861.0m)の山頂だ。東屋の中から北~東方向を望むと谷、尾根の向こうに頂上を白く化粧した後立山連峰が見えた。南~西は黄葉した落葉広葉樹林で視界に山はない。

5. 鋲ケ岳から烏帽子山
 頂上分岐に帰り、徒歩道を烏帽子山へ向かう。徒歩道から木々の枝を透かして見下ろすと黒部の谷底に宇奈月温泉らしい建物群、その向こうには後立山連峰が見えた。いずれも曽遊の場所だ。懐かしい。登って来た徒歩道分岐を過ぎると西に落葉の蓋を浮かべた小池が見えた。道標に「烏帽子山・天池分岐」とある。大きな電波反射板の背後を進み標高876点を西に巻く。面白いことに徒歩道は尾根すれすれの西側面に着いているところが多い。東に登って尾根の「のぞき」から小木・灌木の枝を通して見下ろすと先ほどよりははっきりと宇奈月温泉と後立山連峰が望めた。「のぞき」の道標には標高866mと記してある。嘉例沢森林公園キャンプ場駐車場は約750m、標高差はほんの100mしかなかった。気張って登ったのにとがっくり来た。西側の分岐らしい場所にはロープが張ってあって進入ができなくなっていた。地形図を見ると標高100m下の西斜面に嘉例沢森林公園から延びる実線がある。なるほど。薮沢を下って道迷いした登山者がいたと想像される。尾根に出て鋲ケ岳を振り返った。15分ほど昼食休みを取った後、少し歩いて標高点981を通り過ぎた。「展望台」分岐標高1000m標がある。「富山湾展望 前衛峰迄30分」と手書き看板も立つ。次は「のぞき2」「後立山連峰」と書いた看板だ。雲が湧いてきだしたので素通りする。GPS標高1066mの地点には「現在地1100m」道標があった。
 平日にも関わらず烏帽子山から帰って来た女性2人連れ、男性1人と出会う、広くなった尾根道にも霧が流れてきた。豪雪で押し曲げられたブナなどの小木の間を進む。霧で道の先がぼんやりしていた。標高点1232mがある広い尾根は前衛峰と名付けられているらしい。「山頂(烏帽子山)まで30分」との看板が立つ。東に後立山連峰が霧の流れで見え隠れしていた。霧の中烏帽子山から帰って来た女性1人と鉢合わせをする。女性から「ああ、吃驚した。」と二度も繰り返して言われてしまった。「頂上まで10分」の道標を過ぎるとロープ道になる。標高差はさほどないが大きな段差が小木の間にあった。切り開き道の両脇はヤマソテツの壁も立つ。霧の中、烏帽子山に到達した。「現在地烏帽子山山頂1274m」という道標兼山頂標がある。男性1人が休憩中であった。地元の方には大人気の山と感じられた。

6. 烏帽子山から僧ヶ岳登山口
 僧ヶ岳登山口へ向かって烏帽子山から下る。道幅が狭くなり落ち葉に覆われ小笹はあるが歩き易い踏み跡が延びている。心配することは無かった。コルから小ピークに登り返し再び下って標高点1233mのコルにつく。さらに登り返すとアップダウンが小さくなりオオバコに覆われた広い道に出た。すぐに薄で左右が囲まれ蕗が覆う里道になりそのまま平坦な直線道になる。先行した久曾神さんの声が響く広い舗装道路に出た。本当に立派な舗装道路だ。宇奈月温泉から通行も道の東側は可能なのであろうが西は通行禁止看板がありゲートで封鎖されていた。前回、僧ヶ岳に登った時は途中で林道が崩壊・崩落していたので雪壁を尾根道まで上り詰めた。ここを通ることはできなかったと思い出す。封鎖ゲートの傍の笹薮前に「僧ヶ岳登山口」の目印杭が立っている。前々回の僧ヶ岳山行で取り付いた場所だ。剱岳北方稜線の全線を踏破するという目標を達成した喜びを杭にタッチして確かめた。

7. 僧ヶ岳登山口から嘉例沢森林公園キャンプ場の駐車場
 東の空に青空が出てきた。まずは往路を烏帽子山へ帰る。標高点1233mを過ぎて数分後、峰に秋の日が差し後立山連峰を再び望むことができた。しかし振り返ってもあの剱岳北方稜線の山々は木々や霧・雲に遮られているせいか姿が全くなかった。後ろから熊鈴の音が追っかけて徐々に近づいてきた。烏帽子山頂上で熊鈴を鳴らして来た男性に追いつかれた。僧ヶ岳まで往復した地元の方で荷物も小さい。
 我々が先に出発する。少々冷えてきたが秋の風景や植物に目を入らせながら帰る。霧の往路と違って青空が黄葉したイワカガミに写る。本当に岩鏡なのだ。後立山連峰が雲から現れた。位置から見て栂海新道の稜線に違いないが峰々の名前までは同定できない。前衛峰標識に帰って来た。湿っぽい前衛峰の広い尾根から細尾根に入り風を避けて小休止をとった。暖かいコンソメスープと薄皮餡パンで行動食とする間に熊鈴の方が追い抜いていかれた。健脚である。直ぐに熊鈴の音は小さくなった。休み場には枯れたノギランとまだ緑のショウョウバカマの群落があった。見分けが容易につく。
 休憩後、落葉を踏んで帰る。電波反射板の背後を抜けて分岐に着いた。ここから西斜面を標高差100mほど下って車に帰る。太陽はまだ上空の雲の中、西の空はまだ明るかった。準備してきたヘッドランプを出すほどではない。広葉樹林から杉林へ入り鋲ヶ岳・烏帽子山登山口に出た。嘉例沢森林公園キャンプ場の駐車場に残っていたのは我々の車だけであった。明るい中、ザックを車に積み込んだ。開腹手術後、初めての久さん計画山行で所要時間約6時間弱を歩くことができた。ようやく体力がここまで回復したと満足する。日照時間が長くなったら歩程7~10時間のコースを歩いてみたい。

8. 嘉例沢森林公園キャンプ場の駐車場から朝日町宮崎海岸(ヒスイ海岸)民宿岬まで
 ナビの目的地に民宿岬の電話番号を入力して案内開始にタッチした。不思議なことに登りで画面案内を拒絶したのに今度は田籾を経由するルートを示すではないか。示されたルートに従って九十九折の広い舗装道路を下る。あの細い直進路に入ることなしに田籾に着いた。その後に久さんがナビに表示された到着予想時刻を民宿岬の女将に電話連絡した。日が落ち暗くなったがナビに従って朝日町の宮崎海岸(ヒスイ海岸)にある民宿岬に連絡時刻少し前に無事到着することができた。 (記 礒田)

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