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富山県上市町馬場島 中山(1255.2m)
 馬場島発電所からみた剱連峰
  

【山行目的】 剱岳・剱岳北方稜線を展望する
【山行期間】 2022年11月12日(土)
【参加者】 L:(久曾神) 礒田 (合計2名)
【往 路】 朝日町宮崎 民宿 岬8:12→8:53道の駅9:26→10:28馬場島 中山登山口駐車場
【コース及びコースタイム】中山登山口駐車場10:39→10:43中山登山口10:45→11:58五本杉の平→12:21中山12:58→13:14鞍部クズバ山分岐→13:49東小糸谷登山口→13:49立山川河原→14:04馬場島荘→14:12中山登山口駐車場【所要時間 3:33】
【復 路】中山登山口駐車場14:29→15:33黒部宇奈月温泉駅16:47
【コメント】

1. 動機
 登山ガイドには馬場島の中山は初級と記されている。馬場島からは大猫山、剱岳北方稜線の猫又山から剱岳までなどを登ったが中山はこれまで無視してきた。なぜそんな中山に敢えて登るのか? 久曾神さんの提案であるのが第一の理由ではある。中山から眺める北アルプスは絶景だという。新田次郎の著作であったかもしれないが剱岳に測量隊が初登頂する前に中山頂上から偵察したと読んだ気がする。手術後のリハビリもかねて、もう登れないかもしれない剱岳の思い出を辿りたい。あの時の剱岳はこうだった、その時はああだったと・・・。

2. 朝日町の民宿 岬から馬場島馬場島手前の中山登山口駐車場まで
 民宿岬の玄関には小瓶3本に詰めたヒスイの小石がある。海岸で拾ったものという。そこで朝食をとった後、出発前に民宿岬のすぐ裏のヒスイ海岸へ出かけた。小溝と狭い道路、一筋の黒松林を横断すると宮崎漁港から親不知に孤を描いて続く浜となる。波打ち際に点々と規則的に人が並ぶ。ヒスイ拾いではなくフクラギ狙いと釣り人に教えていただいた。今朝は岸近くに魚群がいないとのことで残念である。
 民宿岬を出発してまずは富山県の地域振興券(富山県休もうキャンペーンクーポン)を活用するために道の駅KOKO黒部に久曾神さんの運転で赴いた。開店は9時、「こられっと」の特産品土産売り場で昆布巻きを3本買ってどうにか¥3000分を使い切って外に出た。低い展望台に登ってKOKO黒部から見える山々を同定盤と照合した。
 道の駅KOKO黒部の駐車場を出てナビに従って馬場島に向かう。これまでは上市駅から旭タクシーで馬場島に向かったことを思い出す。魚津から早月川の谷に入り、楢類の黄葉で覆われた山腹を注視した。前回と違い本日は楢枯れが見当たらなかった。まずは馬場島発電所上流で停車して写真撮影、剱岳北方稜線と大猫山にも再会できた。これで人生思い出は十分。ところで中山登山口駐車場は幾つもある。しかも広い。家族の森中央管理センター(地形図)近くの中山駐車場に到着して駐車中の車が多いのに吃驚した。隣にムキタケを採って山から帰ってきた二人連れも駐車していた。やはり地元では秋の中山は色々大人気なのだ。上市町ホームペ―ジでは「駐車場:中山登山口、橋を渡った左側に駐車場がある」とある。大きな駐車場は2か所もあった。大駐車場は中山登山口とはほんの僅かしか離れていない。

3. 中山登山口駐車場から中山頂上まで 立山杉の大木を数えながら
 大駐車場からすこし下り、橋を渡ると左に中山登山口の標識杭が立つ。その奥にも数台の車が止まっていた。中山遊歩道ルートマップ看板を見ると「11月7日に東小糸谷の橋を撤去しました」とのポスターが貼ってあった。上市町ホームページの写真ではかなりの水量の沢に太い丸太がかかっていた。その丸太橋がないのなら徒渉もしなくてはならない。「どのくらいの深さか」との不安が募る。
 手入れの行き届いた坂道は階段から始まりそれが続く。坂道は九十九折で要所に立派な立山杉が立っていた。登りはこれらの立山杉が楽しみである。早川尾根以来の再会になる。最初にあった立山杉をまずは写真記録とし坂道を登る。家族連れを追い越した。薮の後ろに立つ二番目は一番目より大木のようであったのでこれも撮影しておいた。九十九折の坂道を上がるにつれまずは対岸に細蔵山、大猫山、猫又山が見えてくる。さらに標高を稼ぐと次第に剱岳北方稜線が見えて来た。斜面から尾根筋に道が代わる辺りには道脇に生えているゼンマイ群落の黄葉が美しい。足元の落葉にはナラ・カシ類に混じって楓類の葉もあるが既に紅は褪せていた。ぼつぼつ下山する方々とすれ違う。子供連れ、女性の2人、スニーカーの男性グループととりどりであった。三番目の立山杉は大木の集団、四番目、五番目にはもうあまり感激しなくなった。道に裸の根がくねる杉林にも出会う。通り抜けてしばらく歩くとこれまでで最も素晴らしい姿の立山杉に会う。久曾神さんの声掛けでこの杉を背景に写真を撮って頂いた。登ると1100m標が大岩の前に置いてある。ブナ薮の向こうにさらにたくましい杉が立つ。道に境界標杭が埋められ、迷うこともないと思われるが小ケルンまでもある。登山者が多いのが伺える。斜度が減ってくる。立山杉も変形してしまったり枯れかけていたりするものが目についた。
 標高1150mで主稜線へ出ると立山杉の大木が並んでいる。上市町ホームページでは「「五本杉の平」として知られ、大きなものは幹周りが10mを越え、樹齢は千年を越えるといわれる」とある。「巨木」とも書いている。そこにはなにやらスマホ操作中の女性がいた。聞けば「気にいるまで撮影する」とか、立山杉なのか、見え始めた大日岳それとも見え続けている早月尾根なのかは聞きそびれた。五本杉の平のモンスター杉の背後では杉の隙間抜けする子供達を母親が撮影中であった。子供の声が聞こえ隙間から顔を出した。平坦というか緩斜登りというかこの尾根には下界で見慣れた太さの杉、ブナやミズナラなどの疎林とモンスター杉が混じりあっている。モンスターの根の下を潜って、横からそして振り返って眺めてみた。緩やかな登りをゆっくり歩いて林の向こうから声が響く中山の頂上へ向かった。

4.中山の頂上から中山・クズハ山分岐まで
 久曾神さんには少々遅れて中山の頂上に到着した。大勢の方が山頂標の周りに腰かけたり、昼食を摂ったり、歩き回ったり、大声で話し合ったりしている。その一方で三角点(1255.2m)は薮陰にひっそり隠れていた。頂上から展望できる山座の同定看板がある。眼前には早月尾根、それに沿って谷を眼で遡ると剱岳山頂、剱尾根、小窓尾根、マッチ箱ピークなどの展望が広がっている。大猫山や早月尾根は晩秋の気配、ブナクラ乗越から北方稜線が伸びて冠雪した剱岳に繋がり前剱も望めた。青空も素晴らしい。周りのお喋りを聞きながらまずは昼食とした。東小糸谷の徒渉は靴も濡れなかったとの情報を久曾神さんが聞いてきた。食後、既に確認していた東小糸谷ルートの入口から登山道を下る。こちらには立山杉の大木が見当たらずミズナラ、ブナ、杉などの混交林になっていた。さらに下ると広葉樹林帯になる。落葉したブナの枝を透かして剱岳を望む。標高1,000m付近に作られた展望場所からは「ブナクラの谷と大猫山、赤谷山が正面に開けている」とのことであったが木々が視界を邪魔していた。ブナの枝を透かしてクズハ山裾越に剱岳を望められたのはメッケモノであった。東小糸谷へ向かって笹薮の道を下る。コルに中山・クズハ山分岐道標が立っていた。久曾神さんの話ではクズハ山は急峻とのこと、残念ながら未踏で終わりそうだ。

5. 中山・クズハ山分岐から東小糸谷登山口まで
 中山・クズハ山分岐から東小糸谷を下る。沢筋に沿う道は沢の流れを外して設けられていた。倒木が道に被さっていたので木の下を潜る。道が沢を初めて横断する。なるほど丸太が脇によけて積んである。石渡りして対岸に着いた。沢の上流であるせいか水量はわずかであった。よく見ると歩き易い(渡りやすい)ように石が並べて置いてある。小沢の右岸を下る。第二の徒渉点だろう。ここも丸太が岸によけてある。まだ水量も少なく水の上の石を踏んで対岸に渡った。水分が多いせいか沢岸にミソガワソウ(ラショウモンガズラか?)がまだ紫の花を開いていた。水音が大きくなる。第三の徒渉点に着いた。下流になったので沢幅が広がり、合流もしているので幾分水量がある。これまでと同じく岸に丸太が引き上げられ、足運びに役立つように砂袋が石の間に挟んであった。水が少ないこの晩秋においては三つの徒渉点とも丸太橋がなくても濡れずに横断できると結論した。徒渉は杞憂に過ぎなかった。少し下ると立山川川岸が見えるようになる。こちらは左岸である。登山路が平坦な広い道となる。見れば道は車が止まっている広場に繋がっている。列をなして置いてある岩の後ろに東小糸谷登山口があった。

6. 東小糸谷登山口から中山登山口駐車場
 立山川右岸へ橋を渡り砂利道を馬場島へ向かう。空は薄曇りに変わり冷たい風も吹き落ち葉が舞う。作業車が砂煙を立てて立山川沿いに登って行った。中山の北面の斜面は暗く寂寥が滲む。砂利道が舗装道路に変わるが見るものがなく単調に下るのみであった。そこで早月尾根登山口前の神社広場を見て車道から外れてキャンプ場に入ってみた。少々古びた炊事場、トイレなどの横を通る。見えてきた馬場島荘は白ペンキが鮮やかなせいかまるで新装したかのようだ。公営駐車場には車が多数とまり、テント場にはもちろんテントが幾つも立ち、歓声が響き、バーベキューの煙が昇っていた。車道に出て「中部山岳国立公園馬場島野営場」のコンクリート看板に触れた後、馬場島荘の脇を下る。草が茂り人気がない「劔きらめきの森」を覗く。地形図では「家族の森中央管理センター」となっているが看板の名と違う。直ぐにすでに閑散としている中山登山口駐車場に帰り着いた。
 評判通り中山から眺める北アルプスは絶景だった。剱岳の思い出も十二分に辿ることができたし、手術後の回復具合も確認できた。久曾神さんに感謝である。
 名山ハンターの皆様には余計なことかもしれないが、剱岳の頂上に立ちたいだけなら前劔から蟹の横這い・縦這いを通らなくても馬場島から早月尾根を利用して剱岳頂上までを往復されたらと思っている。途中に早月小屋もある。過去に同じ提案をさせていただいいて何人かの方と同行した記憶もある。  (記 礒田)

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  (写真 礒田)