【コメント】
3年ぶりの上高地は、時期がいつもよりも遅いせいか木々が以前よりもうっそ
うとしている感じだ。大正池はほとんど見えない。梓川の清流はそのままだ、
川底の石がキラキラ輝いている。
目の前には雲がかかった穂高連峰が在った。やはり自然は本物がよい。日差し
はきついが、風が心地よい。今日のお宿は徳沢なので気分はのんびりだったが、
歩きは早かった。
翌日は予報どおりの晴れである。いつもの単調な遊歩道を左手に前穂高を見な
がら歩いていく。今日の夕方までには、あそこと同じ高さの上にいるのかと思
うと高揚感と疲労感を感じる。横尾からけっこう揺れる槍沢の橋を渡ると幾分
山道らしくなり、ツガの樹林帯の中を横尾谷へ入る。
しばらくして広い川原に出る、いつも迎えてくれる屏風岩がよく見える。屏風
岩を見ながら行くと本谷橋に出、橋の下の沢は、今日もいい音をたて流れてお
り気分爽快で実に好ましい所である。ここから樹林帯の急登が始まり、涸沢へ
向かっての苦しい上りだ、木の間越に今 日登る北穂高が見えた。涸沢に出た
ところで休んでいたら、2匹のタカネヒカゲが飛んでいたが、全然羽を休めな
いので観賞できなかった。今回の山旅ではクモマベニヒカゲにも会えた。涸沢
ヒュッテが見え、その背後にはカールと奥穂、前 穂の姿が見えたが、樹林帯
を抜けた途端に太陽がカッーと来て軽い熱中症らしき状態になり、やっとのお
もいで涸沢小屋に着いた。
ここで、冷たい水とカレーライスをペロリと食べ終わる頃には体調も戻った。
小屋の右端から北穂沢へ入る。ミソガワソウが多い。
すぐガレ場で、その上のハイマツやお花畑を縫うジグザク道は昼飯後の重い身
にはきつい。太陽は容赦なく照りつけ、風もない。
左手に南稜が近づき、鎖、鉄ハシゴを登って行く。左手には雄大な穂高連峰、
右には横尾尾根越しに常念が見え、眼下にはカールと屏風岩の頭が広がってい
る。重い身体を一歩ずつ運んでいく。
頂上らしきものには、なかなか近づけない。
もう脚が上がらないと思っていたら奥穂−北穂の分岐点に出、少し降りて上か
ら覆いかぶさるような大岩を横切って、ガレ場を登りきれば頂上だった。
北穂小屋はすぐ下にあった。3100bの高所にある小屋は常念の方面、東側にテ
ラスが設けてあり、早速、生ビールを頂く、うまい!至福の時である。
左手には槍ヶ岳とそこから続く大キレット、正面には常念、右には北峰、奥穂、
前穂が見渡せ最高のパノラマだ。滝谷を恐る恐る覗き込む。足元ががくがくし、
吸い込まれそうな気分になったのであわててテラスに戻って飲みなおす。小屋
の食事はポークソティが2枚も付いていて最高だった。水はすべて天水だ。
下山日は、登って来た道をそのまま下りた。
横尾からは温泉に入りたいので急ぎに急いだ。暑い山だったが夏山を満喫した。
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