上越 タカマタギ
気になる山へ再度挑戦
2012年04月08日
【参加者】
CL=AY、YS、TI、NK、MU、SL=MS、ES、KI、(SI)、HY
【記録:コースタイム】
2012/4/7 新座19:45―所沢IC―上里SA―22:05谷川岳PA
2012/4/8 谷川岳PA5:47―越後湯沢IC ―コンビニ―6:27毛渡橋6:56―7:23尾根取り付き口―7:41鉄塔7:54―11:03棒立山(昼食)11:45―12:29タカマタギ12:40―13:16棒立山13:36―15:30鉄塔15:41―16:06毛渡橋16:33―16:48駒子の湯17:38―17:40とんかつ人参亭18:48―越後湯沢IC―赤城高原SA―寄居SA―三芳SA―所沢IC―21:52新座
【動機】
タカマタギ〜日白山、阿能川岳〜小出俣山〜十二社ノ峰、足拍子岳〜荒沢山は谷川岳主稜から外れた山ではあるが第1次登山ブームが終わっても登られて続けてきた憧れの渋いルートだ。これらは雪が積もっている季節に楽しめる薮山である。
中でもタカマタギは雪山初級者でも登頂できるチャンスがあると、窓の外族になって登山を再開した頃に聞いたり、雑誌で読んだりしたことがある。しかし、KTさんが上尾市の奥様グループを連れて何度も登っていると話してくれたので歳をとっても楽々登れると思って優先順位を下げてきた。
新座山の会に加入してAYさんやSNさんと足拍子岳に何度も挑戦するうちに向かいの棒立山からタカマタギに登る話になった。それが発端である。
まず始めは2006年03月13日 悪天候・降雪のせいだったと思うが計画だけで中止になった。 
次は、大雪を避けて2006年5月21日に再挑戦をしようと登山口まで行ったがすでに猛烈な薮が起きていたので撤退して山菜摘みに変更した。
3回目は2007年02月11日に新座山の会の有志多数とテントを担いで上がった。新雪雪崩の恐れがあるとジャンクション尾根ピーク直下で途中撤退、このときの記録は山道52号にIKさんが軽妙な筆で撤退記を書いてくださっている。
4回目はKTさんグループの個人山行で2007年3月21日に出かけた。この時は1ヶ月前よりさらに深い新雪でラッセルしても胸を越える雪の急斜面を登れず撤退した。
5回目は2010年03月21日にAYさんをリーダーに挑戦、ジャンクション尾根の上のコルでテント泊して降雪・強風の夜を過ごしたが、朝になって棒立山から舞い上がる雪煙、足早に通り過ぎていく雪雲に怯えてまた撤退、下山して鉄塔のあたりに来たところで好天になったので臍を噛んだ。
今回はAYさんが新座山の会3月例会で参加者募集、総会・懇親会で小生にも声を掛けてくださったので参加することができた。登頂できるか否かは薮・笹の出具合、積雪の硬さと新雪の厚さ、風の強さに関係する。新雪が薄く、クランポンが心地よく刺さる硬さの積雪で、微風の青空であって欲しいと祈る気持ちで天気予報を見続けてきた。
【記録】
丑三つ時まで歓談して3時間位しか寝てないが、予定通りに起きた女性陣が我々を偵察する足音で目が覚めた。ボーとした頭に喝を入れて寝具をパッキングし、各自準備してきた朝食をとる。食事が済んだ者から改めてパッキングして出発準備を終えた。
2台の車に乗り込んで谷川岳PAを出発する。長い清水トンネルを抜けた土樽PAでは降雪チェーン規制が行われていたがそれほどの雪は無い。湯沢ICで関越高速道を降りて一般道を岩原駅から土樽駅に向かって引き返す。角のセブンイレブンで昼食などを補給した後、岩の湯、フィッシングパーク前を魚野川に沿って進む。すでにスキーシーズンは終わり、レンタルショップや民宿・ホテルには人影がない。路肩に続く除雪堆積も既に融けて低くなっている。が、この数日の寒波のせいか、上をフワリとした新雪が覆っている。薄い雪が道路を刷いているのでゆっくり進む。何度も見慣れた毛渡橋北側林道入口に到着した。
毛渡橋の向こう側に3台の車が見え、人影がこちらに向かって歩いてきている。こちら側には人影のない車が2台、そのうち1台の屋根には薄く雪が積もっていたが他の1台は乾いたままだ。昨日か今朝、すでにタカマタギか平標山に出発したらしい。車の背後の林道入口には進入禁止看板と赤プラコーン、除雪した林道には真新しい轍の跡と足跡が残っていた。林道が除雪してあるのを見るのは今回初めてだ。林道に少し入って新雪の積もり具合を見てみたが冬靴の甲ほども沈まない。ワカン抜きで歩けると内心喜んだ。
昨日の天気予報では、「湯沢の朝は曇り、午後に晴れ、静穏」とのことであった。携帯電話でインターネット山岳天気予報を調べていたメンバーから強風と恐ろしい情報が出た。山の端に懸かる雲の流れは遅いがその背後の山頂はどうなのか心配だ。ここでは雲が切れて、時折、青空からの陽射しまである。
橋の向こうから歩いてきた男女3人連れが我々に先行して林道に入っていった。準備を終えてAYリーダーを先頭に、真新しい車の轍上に残る彼らの足跡を踏んで毛渡橋北側林道入口を出発した。
高速道路下を潜り、上越線路鉄橋下を通る。毛渡沢橋梁は昭和6年にできたレンガ積みのシックな鉄橋で日本の美しい鉄橋ベスト何番かになっていると聞く。一心に歩くメンバーには鉄橋まで注意を払う余裕はなさそうであった。
車の新しい轍がこのあたりでUターンしていた。古い轍はまだ林道奥に伸びているが左右は除雪されて高い雪壁が続くようになった。道標が雪に埋もれて見えなかいが平標新道分岐を過ぎる。
雪壁の上には杉人工林が黒々と立つ。枝には僅かに雪が積もり、時折、雪煙になって落ちていた。杉がこれまでのように雪を纏って真っ白になっていないので積雪は大したことはないと見た。
雪壁角に到着した。除雪した道は左に延びているが、こんな場所に林道の分岐があったとの記憶が無い。通ってきた林道を振り返るとAYさんが雪壁の谷間に小さく見えた。踏み潰された雪壁を登ると雪道が杉人工林の間に続く、見慣れた景色に代わった。雪道は新雪に覆われているが先行者の足跡下は固く、壷足で歩くことができた。足跡から外れると膝まで雪に沈む。車にワカンを残してきたことを悔やんだ。
広葉樹斜面を一つ左に見て、テープ二本がぶら下がる尾根取り付きに到着した。尾根まで約20mの急斜面が目の前にある。太陽に照らされて明るい雪の上に先行者はワカン、スノーシュー跡を残していた。ワカン、スノーシューを担いできたメンバーは、早速、履く。小生はワカンを置いてきたので最後尾に回り、ピッケルを使って壷足跡を踏みながら急斜面を登り、杉人工林に続く平坦な尾根に入って息を継いだ。
尾根の左側斜面は広葉樹自然林、右は杉人工林が谷底まで続く。杉の木を巡りながら緩やかな登りを辿り、杉人口林を抜けると送電線鉄塔に出た。棒立山は前尾根の陰でまだ見えないが、左手の毛渡沢越しに清水ー尾根末端斜面の発電用導水菅と発電所の屋根が見下ろせ、高速道路と魚野川の向こうには荒沢山と足拍子岳がまだ僅かな雲を被っているのが見える。サングラスを掛けて雪の照り返しから目を守ることにした。
鉄塔下で全員、クランポンやスノーシューを履いて左手の棒立沢の雪緩斜面を見下ろしながら進む。ミズナラ林の急斜面が始まった。先行者が踏んだジグザグトレースを登る。感謝の至りだ。隣の尾根の奥に頭を出したのは棒立山かな。ミズナラ林がブナ林に代わり、右手に2007年にテントを張った平地が出てきた。尾根の傾斜がさらに増すが、尾根幅が広いのでジグザグ幅を広げてAYさんを先頭に楽々登る。休憩中の先行パーティー3人に追いついて前に出た。どうもさらに前を歩いている人たちがいるようだ。休んでいる人たちとはこれから何度も前後した。
ジャンクションピーク(等高線で1040m)に向かって高度差450mの急傾斜が始まる。登るにつれ土樽越しに望む荒沢山から足拍子岳への稜線が次第に低くなってくる。雪の具合もこれまでと違ってとても登り易い。
どんどん青空が広がり、気温も高く、毛手袋を外して素手にオーバー手袋だけで十分だ。いよいよジャンクション尾根に近付く。傾斜がさらに厳しくなるが笹薮の上には十分な雪があり、しかも雪崩の前兆のシュルンドが無い。疎らな岳樺の木を目掛けて急斜面をジグザグに踏み跡を辿って登る。ピッケルがよく効いて心地良かった。
先行者が雪庇を崩した穴からジャンクション尾根に登って休憩だ。左手の棒立山がとても近くに見える。振り返って見ると足拍子岳の頂上から遠方は雲が取れ、青空に代わっていた。ジャンクション尾根から毛渡沢を見ると向かいの尾根に射す午前の日差しで新雪にブナの長い影が延びている。棒立山から下る尾根の先には先行2人続いて3人が芥子粒のように見えた。新雪が膝上まで積もっているせいかもどかしいような進度であった。
ジャンクション尾根を発ってコルに下った。コルは前回のテント場所である。終夜の強風・降雪で朝には風下にテント幅の溝ができ、木々は美しい雪氷を纏っていたことを思い出す。
コルからは急傾斜の尾根を休みながら登った。棒立山までは標高差にしてまだ約400mある。新雪の深さはピッケルの柄の長さほどあるが先行者の踏み跡を辿って登るので踏み外さない限り、厳しいラッセル(ショベリング)は必要ないようだ。
先頭を歩いていたはずのAYさんが不調を訴えて最後尾に下がった。AYさんが休んでいる場所にSLMSさんが下って状態を聞いている。CLのAYさんの指示で残りは先行することになった。スノーシューを履いたSIさんを先頭に先行した皆を追いかけて急斜面の電光ラッセル跡を登る。汗が額を濡らし、息が切れたが森林限界を越えた頂上手前でようやく追いついた。
皆と5分ほど小休止して上に向かう。真っ青な空しかない雪面に登りつくとそこが棒立山の頂上末端であった。先にはすでに先行した2グループ、5人が座って思い思いの方角を眺めて休憩していた。頂上にも風は全く無い。
棒立山は地形図の等高線で1420mの国土地理院名が無い峰だ。登ってみると期待した以上の好展望に出会えた。東側には谷川連峰の茂倉岳、武能岳、七ツ小屋山、大源太山に巻機山が白く輝いている。七ツ小屋山から手前にはシシゴヤノ頭から足拍子岳、荒沢山に繋がる尾根が見える。北には飯士山の尖がりも見えるし、その西には苗場山もある。もちろん棒立山からタカマタギに至る尾根の先には平標山から仙ノ倉山、万太郎山、稜線を辿れば谷川岳が展望できる。360°の展望を満喫だ。真っ青の快晴にも感謝し、昼食にした。
集合写真を撮るために立ち上がって登って来た踏み跡を見下ろす。新しいグループが次々に登ってきている。しっかりした踏み跡ができあがっているので足並み軽く近付いていた。姿をみると山スキーヤーが3人ほど混じっている。日白山を越えて田代に下るそうだ。
ところでタカマタギへの尾根筋にはトレースが見えない。タカマタギに続く斜面をすこし下ってみると雪は風で飛ばされ薄くなっている。幾分クラストして歩き良さそうだ。しかし、尾根遠くの南東側には雪庇が覗き、吹き溜まりが残っているように見えた。新雪に嵌ると往復に2時間は必要かも知れないと判断し、体調不良のAYさんは「ここ棒立山で皆がタカマタギをピストンして来るのを待つ」という。
タカマタギに空荷で往復することにしてザックをAYリーダーの元に残し、SLのMSさんを先頭に斜面をタカマタギに向かって出発した。スノーシューを履いたSIさんが偵察を兼ねて先行する。先行グループ2人に見る間に追いついて先頭を進んでいるのが胡麻粒のように見えた。
我々もコルを経て緩やかに伸び上がる尾根の北東斜面を巻気味に進んだ。棒立山を振り返ると最近の風雪で雪庇が発達した尾根がC字型に繋がっていた。予想していたより雪質が良く、SIさんが踏んだトレースのお陰で快調なペースで進む。
タカマタギ山頂への斜面は森林限界を越え、南東側に吹き寄せられた新雪が溜まり、北東側は風と今朝の太陽でクラストして幾分硬い。風紋(シュカブラ)のついた新雪下には雪崩前の溝(シュルンド)が地形に応じて幾つも走っているのが分かる。踏み跡の左右にピッケルを刺すと新雪はほぼ70cmの厚さがあった。
MSさんがメンバーにピッケルの使い方、とくに急斜面での石突きの突き方を指導しているがどうも理解ができてないようだ。今後の教育課題が明確になった。見上げると上空には短いジェット雲があった。上空の天気も良好だ。
急斜面を乗り越してタカマタギ山頂に全員無事に到着した。南南西に延びる尾根の小ピーク2つ先に平な日白山が見える。間近だ。タカマタギは1529.2mの三角点峰である。三角点は厚い雪の下にあるのだろう。先行の方に集合写真を撮って頂いてまず落ち着いた。MUさんにAYリーダーから電話が届いた。山頂到着を報告しているのが聞こえた。
タカマタギからも360°の絶景が展望できる。日白山から平標山に至る尾根の先には平標山〜仙ノ倉山〜万太郎山〜谷川岳〜茂倉岳など、足拍子岳の背後に巻機山、その前には棒立山に登る稜線、魚沼の低い山々の連なりの遠く、米山の方向に白い山々、そして苗場山から佐武流山に至る山々があった。しかし棒立山で既に見た展望と同じようなためか感慨は幾分薄い。やはり日白山ならどうだろうという欲が湧く。
すでに13:00近いので今回のメンバーでは日白山に行って日没までに毛渡橋に帰り着くのは無理だろう。AYリーダーと約束した時刻までに棒立山に帰ることになった。タカマタギ山頂からクラストしかけた急斜面を下る。多数の人が壷足で登ってきたため至極歩き易くなっている。
SIさんはスノーシューで上手に急斜面を下っていた。斜面の状況を見て横向き、後ろ向き、前向きと素早く体を入れ替えている。なるほどと納得した。
幾分傾斜が緩み、尾根の左右に雪解け水が流れてシュルンドができている場所に帰って来た。突然、キャーという声を出してNKさんがシュルンドに胸まで嵌ってしまった。シュルンドの左(北東斜面側)に移れという指示に従ってそのまま溝に足を突っ込んだらしい。抜け出すのに苦労している。
雪山で滑落するより、雪に嵌ってしまうほうが数多い。埋まった膝、腰、胸と抜け出す訓練が必要だ。また、シュルンドに踏み込まないように歩を選ぶこと、すなわち雪を見ることを学ばねばならぬようだ。
NKさんにはさらに災難が続く。下り斜面で後続が滑ってクランポンの爪が腕を刺してしまった。雪山では滑って前後に衝突しないように適切な間隔をとるという心配りが特に必要である。
棒立山山頂にはAYリーダーと決めたタイムリミットより早く帰りつくことができた。AYリーダーも冗談が言えるくらいに体調が回復していた。一休みし、お茶を飲んでいよいよ棒立山から下ることになった。
急傾斜の尾根だが春の日差しのせいか新雪も適当な硬さに変わり、下り易い。先頭のMSさん、SIさんに少しばかり遅れるもののメンバーも快調に下っていった。いよいよブナ高木帯に入り、ジャンクション尾根のコルまで一休みもせずに下りついた。小休止したのち、ジャンクションピークまで駆け上がった。
10分ほど休憩して雪庇の崩し目から急斜面に降りた。AYさんとSIさんは雪庇を崩しながら雪庇下に飛び降りる。崩された雪庇も雪崩を起こすほどではなく、むしろ斜面に溜まって体の確保に役立ったようであった。雪質も斜度も適切な場所では各自シリセード、グリセードなどをして尾根を快調に楽しみながら下った。足拍子岳がだんだん高く見えるようになってきた。
高圧送電線鉄塔に着いてクランポンを脱ぐ。 まだ不安がのこるメンバーには登り口までクランポンあるいはスノーシュー装着との指示が出た。 
MSさんはクランポンにワカンを重ねて履いていた。 小生はこれまで先輩から教えてもらったように、ワカンの長い歯を使わないように裏返しにして、ワカンとクランポンを重ねて装着したことがある。ワカンの先端が下を向くので雪壁への蹴りこみが浅い感じがして1回で重ね履きを止めてしまった。MSさんはワカンを裏返ししないで装着して都合が良いと言う。次回の雪山で履き心地を試してみよう。
鉄塔の北側の尾根では好天でブナの根元の穴が広がって斜面に豹のような模様ができていた。南側の棒立沢でも新雪が融けてシュルンドが行く筋も現れ、小さな雪の崩落が始まっていた。
鉄塔から下って杉人工林を抜ける。最後の標高差20m急斜面では、順番に尻セードを楽しみながら尾根取り付きに着いた。後は夕日が差し込む杉人工林の明るさを愛でながら戻るだけだった。林道にはもう雪が融けて舗装面が出ているところもあった。
上越線鉄橋下を抜けて関越高速道の下でワカン、クランポンなどを収納し、毛渡橋には日没2時間前頃に帰着することができた。リーダーの計画通りだろう。理想的だ。荷物整理を行っているメンバーは全員取り立てて不調な様子もなかった。
先行者の方々と挨拶を交わして車に乗り込む。何時ものように、駒子の湯(料金\500/人 回数券¥3500/10人)では疲れを癒して、SIさん推薦の「とんかつ人参亭」では飢えを癒して今回のタカマタギ山行を無事に終えることができた。
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