オホーツク海・太平洋分水嶺
  斜里岳1508m峰〜標高800m地点 
 【期  日】2012年4月27日(金)〜29日(日)
 【メンバー】 MS、会員外2名
 【コースタイム】
根北峠4:10発〜東斜里岳東尾根850m地点からパンケニワナイ沢に下りる6:30着 〜分水嶺上9:30着〜1508m峰9:50着〜分水嶺上標高800m地点14:45着 〜前日偵察最終地点15:30着〜根北峠18:35着
【コメント】
 今年2月、日本山岳会北海道支部から創立40周年記念事業として実施しているオホーツク海・太平洋分水嶺踏査への参加要請を受けた。分水嶺は知床半島の先端知床岬から三国峠までの350kmで既にその70%は踏査を終えている。今回の区間は距離こそ3km程度であるが、始点までのアプローチと終点からの下山の距離が合計15km以上に及ぶこと。分水嶺上は急峻な細い岩稜とハイマツ帯が続き、参考となる過去の記録もないことから、冒険的要素の強い魅力的な踏査である。メンバーは北海道支部の友人KN、TU、私の3名。

427日)根北峠に到着して間もなく霧雨となり明日の天気予報も午前中は雨。何はともあれ踏査の成功を祈り乾杯し就寝。

428日)夜通し車の屋根を打っていた雨音は夜明けまで続き、濃い霧が立ち込めており、今日の踏査は断念。踏査の所要時間は14時間以上と想定しているが、下山時刻が遅れても根北峠までたどり着けるよう、この日は下山ルートの偵察に切り替え、南斜里岳の裾を標高800m地点までを行き分水嶺を肉眼で確認した。

429日)午前3時起床、コーヒーとバナナで軽い朝食を済ませ4:10 出発。昨夜の冷え込みで雪面が固い。東斜里岳東尾根を1時間歩いて5分休憩のペースで登る。ハイマツの海を漕いで標高850m地点に達する。ルンゼの上部から雪渓が分水嶺まで続いているのを確認しパンケニワナイ沢に下りルンゼを詰めることとした。
 沢の途中でクレバス、シュルンド、雪崩の跡も確認できたが、すでに雪崩は落ち切った後で雪面はしっかりしている。ストックとキックステップで快調に高度を稼ぎ、9:30には1508m峰寄りの分水嶺上に達した。この位置は南斜里岳、斜里岳、東斜里岳の間にあり眺めが素晴らしい。ここから10分程度で1,508m峰に達し360度の展望を楽しむ。摩周湖の中島も屈斜路湖も見える。山頂付近には越冬したコケモモの実がたくさん残っていた。
 いよいよ分水嶺の下降であるが急峻な稜線は下が全く見通せない。ハイマツにつかまって下り更に下を確認すると足元から先はキレ落ちた岩といった具合である。ようやくハッキリした岩が出て来てホッとするが、小さなハイマツが岩場を隠しているため見通しが悪く、その先は靴幅よりも狭いナイフリッジが続いている。風があり身体が左右どちらかに振られると転落は避けられない。ハイマツに捨て縄を掛けMSがトップで懸垂下降。ロープがハイマツ等に引っ掛かると回収に時間を要するため、右手にロープの束を抱えながら約25m下る。続く5mの岩峰は真下に立ってみるとホールドもあり岩のフリクションが利きそうなことから、フリーで乗り越える。
 岩稜で緊張を強いられたのはここまでであったが、この後のハイマツ漕ぎは想像を絶するものだった。全員日高や知床でハイマツ帯を歩くことには慣れているが、幹の直径20cmという巨大ハイマツの幹から幹へと渡り歩く際に、乗った枝が反発し身体が跳ね上げられ、何度もハイマツの海に投げ出された。
 忠実に分水嶺を辿ってハイマツ帯を抜け出た時の解放感は言葉にならない。標高900m付近からは雪の分水嶺上を快適に辿り、前回踏査の到達地点にトレースがつながったのは1445分であった。ここから南斜里岳の裾を目指し1530分には昨日の偵察最終地点に達した。1835分まだ明るさの残る根北峠に帰着。雪の中で冷えていた缶ビールで祝杯をあげ、厳しくも楽しかった分水嶺の踏査を終えた。(MS記)

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