南会津 稲子山ー窓明山ー倉淵山
 【期日】    04/08〜10

 【メンバー】  CL (Qさん)、 メンバー TI

 【交通機関】 
         往路:北朝霞06:50→07:14南越谷/新越谷07:22→07:40東武動物公園07:49 →09:03下今市09:11→
         →09:42新藤原 ≪直通≫09:44→10:21会津高原尾瀬口10:30タクシー→小立岩バス停
         復路:小立岩バス停13:58⇒15:05会津高原尾瀬口15:06⇒会津高原尾瀬口発15:21-16:57新藤原→
         →区間快速(乗り換えてみて新越谷に停車しないことが分かる)16:02-16:10鬼怒川温泉16:17→
         →下今市(駅弁・缶ビ―ル)16:41→東武動物公園18:35→新越谷(往路乗車料金清算)/南越谷19:09→
         →19:31北朝霞

 【コースタイム】 休憩時間を含む
 04/06   小立岩バス停(650m)11:03→11:51ブナ沢出合→16:11三本ブナ峠(1436m)16:18→17:00小沢山(1467m)
        17:07→17:17ブナ大木 (幕営)
 04/07   幕営地5:58→6:22コル(1322m)→7:55稲子山(1607V)8:05→8:35コル(1450m)→8:42P1467→
        コル(1410m)→P1497→コル(1410m)→11:30坪入山(1774V)→12:12コル(1612m)→13:04P1775→13:28
        窓明山(1842V)→コル(1410m)→15:48家向山(1526m) (幕営)
 04/08   幕営地7:36→9:41倉淵山(1244V)→12:17小立岩バス停
 
 【コメント】
地域
只見線の南、会津鉄道・会津鬼怒川線の西、本州主分水嶺の北、只見川の東に囲まれる福島県の南会津地方、白神山地を凌ぐと思われるブナ美林が見どころ。登山路を外れると下薮が濃いので残雪期が最高と言われている秘境。
動機
Qさんの登山計画に共鳴
秋に三岩岳〜窓明山を歩いて往復したことがある。雪が積もっている時はどんな風景なのだろうか?
*
04/06
     北朝霞を出た時は小雨、 東武日光線は下今市あたりから小雪、窓の外は真っ白の雪景色、みれば満開の桜に白雪が積もっている。電車内はガラガラ、下車する前に足を伸ばして雨具上下・雪スパッツを装着した。小雪が降る会津高原尾瀬口駅から会津交通のタクシー(運転手 星さん(荒海山の方とは違う、尾瀬寄りの集落ではほとんどが星姓とのこと))に乗ってR352 沼田街道に、関川橋三叉路を過ぎてどんどん行くと会津交通小立岩バス停(650m)に到着する。路線バスと電車の接続が思わしくなくタクシー利用をせざるをえないとはお膳立てをしたQさん(CL)のお話だった。
     小雪の降る小立岩バス停(650m)を出発した。除雪の雪堤を越え、下山口になる鳥居を左手に見て、下る予定の急斜面、岩場も見て心配になる。ともかく安越又川沿いの右岸林道を進む。林道も新雪で化粧しているが先行者の足跡があるとQさんがいう。順調に歩んで安越又川を跨ぐ橋に到着した。Qさんが心配していた橋の流失はなかったが雪解け水がごうごうと橋の下を流れ下っていた。小雪の舞う橋を渡って右岸から左岸に着いた。尾根を挟む沢分岐(東に山毛欅沢)で即ちブナ沢出合で休憩して行動食を摂った。
     ブナ沢出合(744m地点)から尾根に取り付く。 尾根筋は分かりやすいが、踏み跡、テープなどはない。法面から尾根へ登るにはピッケル、クランポンが大活躍、とはいえ昨年の只見の山よりは楽である。地形図通りの急登、広い尾根から等高線950mあたりで細尾根を登る。急登・急降下が得意なQさんがいつものように先行した。先行者の足跡が新雪の下に続いているとQさんがいう。ようやく雪が止んで山毛欅沢を挟む尾根筋を望むことができた。一休みした後、1150m当たりの急傾斜尾根を再び登る。等高線1170mの2重山稜の谷に先行者のブロック積みがあった。これまでの踏み跡はやはり昨日のものか。ここまでなら新座山の会の会員とテント泊装備を担いで・・・と思う。
     標高1200mからの緩傾斜尾根を登る。標高点1236m付近で筋攣りが次々と両足に起きた。Qさんからツムラ・化学懐炉を頂戴して、美しい二重山稜の尾根で人生初めての筋攣り休憩をとることになった。折しも雪雲が切れて青空がのぞき、薄日が射して来た。三本ブナ峠から南北へ続く稜線が初めて顔をだした。足を労わりつつ樹氷で化粧したブナ林をゆっくり登る。
     頭上の峠から話し声と笑い声が届く。急登ではピッチ歩行のQさんとストライド歩行のTIではやはり疲労に差が出るのだ。喘ぎながらよろよろと最後の標高差20mを登る。
     ようやく三本ブナ峠(1436m)に到着した。そこには奈良から来た写真愛好家がブロック切りをしてテントを設営、Qさんと情報交換中であった。峠は一寸した雪原で左右に伸びる尾根筋も先まで展望できるがまだ鉛色の雪雲が峰に掛っていた。息を整えるため休憩させてもらう。会津朝日岳〜丸山岳〜山毛欅沢山〜三本ブナ峠に至る主稜線を見て、Qさんは丸山まで峠からピストンしたそうだ。そんな手もあるか・・。新座山の会の会員と往復できるのではないか?
     南会津の山々はどれもよく似ているようでQさんの解説を聞いても確定しづらかった。
     休憩後、三本ブナ峠から尾根を西へ小沢山の方向へ進む。遠くに聳えるのは窓明山か。雪堤が途切れると北側の樹林帯に入り、樹氷が光るブナなどの小木をくぐる。雪堤に出て三本ブナ峠方向をふり返る。再び樹氷のブナ林に道をとる。枝に着いたエビの尻尾も鋭く長い。先ほどまでの雪雲と風の創作だ。時々雲が切れて西から太陽が覗くが霧氷が輝くことはなかった
     小沢山(1467m)に到着した。谷を見下ろすと深緑の山肌に白い高畑山スキー場のゲレンデが望める。
     小沢山から尾根沿いに西南西に楽々歩きを続け、等高線1400m平坦尾根分岐を西北西に進み、本日のテント場を探しながら歩む。ブナ大木の西に適地を見つけてテントを設営し、ようやく足を伸ばすことができた
     雪雲も取れて夜半は月明かりでテント内も明るかった。
*
04/07
     今朝は快晴、無風、見下ろす谷間には雲海がある。月が霧明山の上に、安越又川を挟む稜線にはまだ雲が掛っていた。テントを撤収して尾根筋に歩み出る。クランポンが心地よく利く。暫く歩むと朝日に輝く稲子山が樹間に見えた。
     コル手前の天場当初候補地に着いた。昨夜の天場と比べると、傾斜、日影、景色など、どうかなと思ってしまう。約50分歩いたので糖分補給の休憩をとった。ここからは雪尾根向こうに城郭朝日岳も見える。漫歩してきた稜線をふり返ってみた。雪庇が落ちてできた雪堤が長く続いて美しい。日本の雪山だな〜、こんな風景は欧米・南米・アフリカにもなかった。いよいよ急斜面を登ることになる。いつものように新雪の上に残る久さんの足跡を追う。ピッケル、クランポンとさらに雪に突っ込んだ指で身体を確保しつつ、四つん這いになって急傾斜の雪面を登った。顔を上げて先行しているQさんの動きを注視する。Qさんは尾根から被さる雪庇の左右を偵察している。どう登るのか?雪庇の直下を稲子山の方へトラバースして曲がり角から姿が消えた。
     踏み跡を辿りながら雪庇下をトラバース、さらに雪庇が低くなっている場所まで斜面を少しひやひやしながらトラバースしてどうにか稲子山肩の分岐に着いた。急斜面といい、雪庇下のトラバースといい緊張が強いられる本日のクライマックスであった。なるほど、事前の山行で遠くから雪の具合を観察したQさんが今山行を今日まで延期した理由が分かった。発達したままの雪庇を越えるなど到底無理だったに違い無い
     息継ぎをした後、先着していたQさんのザックデポの隣に大ザックを置き、身軽になって北の尾根に向かった。ようやく山座同定中のQさんに追いついて勧めに従い越後三山方向の稜線に足を延ばし、Qさんに峰々を同定してもらいつつ越後三山の雪姿を堪能した。そして稲子山に向かった。
     縦走路から外れているが稲子山(1605.5m)は絶好の展望台である。窓明山〜尾瀬方向、丸山岳・高幽山・会津朝日岳、それに城郭朝日岳方向の峰々、幾筋もの尾根と谷が重なっている。まだまだ登りたくなる山々が見えた(歩いてみたいな)。心残りはあるがまだ残りの歩程も長いので尾根を南へ帰らなくてはならない。朝日も高くなり木々に着いていた海老の尻尾もとけて水が滴る。細い氷柱に変わり始めた。稲子山肩に帰りつき、デポしていた大ザックをエイヤと担いで南西へ、次の坪入山に向かった
     アップダウンのある尾根を下る。歩く人が少ないせいか獣の気配が濃い。残雪の上には逃げていったカモシカの足跡が続き、ウサギやテンの新しい足跡もある。先程通ったブナには熊棚もあった。期待したブナ美林は思い通りである
     P1467m、P1447mを過ぎ、コル1430mで休憩して行動食をとる。登り返したP1420mからは窓明山が目前に見える。下って谷を登り帰せばすぐに窓明山の頂上に着くことができるように見える。樹林の向こうに浅く見える谷も本当は極めて深いに違いない。尾根を登って1496m点の肩に着いた。一休みして等高線1570m地点から坪入山の急斜面を見上げた。滑落しないように四つん這い登りをまた繰り返して・・と、先行するQさんの姿を追う。標高1600m辺りで坪入山頂上尾根に向かう急斜面に取り付く。途中で小休止して息を整え、汗をぬぐい、再び斜面を登る。ようやく頂上尾根によじ登り南西へ坪入山山頂に向かった。
     坪入山(1774.2m)の頂上ではQさんの勧めもあって写真タイム、目の前の窓明山、樹間には昨年登った村杉岳の方向、見回すと 越後三山も遠望でき、さらに尾瀬〜平が岳が目に入る。眼下には、白銀の残雪にブナの林が美しい。もちろん登ってきた往路を振り返って足跡を確かめられるのもうれしかった。
     坪入山から南東へ曲がって次の窓明山へ向かう。尾根は広く、コル(1612m)に向かって下る。コルから東南東に登り返してP1735mへ登る。頂上で小休憩した後、コルに下ってまたP1775mにまたまた登り返し、また南へ下り、細尾根を通って、最後は窓明山に登り返した。せわしくアップダウンが続き、その上、昼の太陽に照らされた残雪が重くなってきて休んでも疲れが次第にとれなくなってきた。
     窓明山(1842.3mV)の山頂について先行したQさんに三ツ岩岳をバックに撮影してもらう。窓明山の白冠の向こうに三ツ岩岳を入れて撮影してみたが、秋に三ツ岩岳〜窓明山を駆け足で往復した時の印象と全く違う。違う山に来た感じさえした。
     窓明山は分岐になる。我々は尾根を東に向かい、急斜面を下る。急斜面で横を向くと地平線が斜めに見える。冷静ならば当たり前のことだが疲れた頭には斜面と地平線が錯綜としてしまう・・・らしい。急斜面を下り終わり1770m辺りで平坦な尾根分岐を東北東へ向かう。ふり返ると窓明山山頂下の雪庇と急斜面が威圧するように見えた。午後の太陽も天頂から下り、ブナの木影が随分長くなった。東へ曲がり、腐れ雪を踏んで歩む。日差しが強く、暑い。飲んだ水がすべて汗となって流れる。疲れた。コルから家向山へ登り返す。1436mの尾根分岐東へ下り、家向山西尾根に登る。ふり返ると三ツ岩岳と窓明山が見え、窓明山の斜面に我々の踏み跡が筋になってくっきりと見えた。
     ようやくブナの木の樹林がある家向山の山頂(1526m)に着いた。既にQさんが平坦な残雪の上に絶好のテント場を見つけてザックを下ろして休んでいた。
*
04/08
     テントから出て家向山から見上げる三ツ岩岳も朝日に染まらず曇り空を背に灰色にくすぶっている。テントを撤収して雲に隠れてぼんやりと見えている朝日に向かって家向山を下った。
     東に進み平坦な尾根分岐(1510m)を北東の細い尾根へ歩む。ホワイトアウトなら迷うかもしれないと尾根が見通せる天気に感謝した。ブナの枯れ木が立つ。目印に最適だ。緩やかな傾斜の尾根が続き、朝の残雪にクランポンの歯が心地よく食い込む。木立が切れる場所からは右手に高畑山から田代山方向が見える。次第に高畑山スキー場ゲレンデが真下に近づいてきた。左手には稲子山が聳えるが、どの尾根を登ったのかとQさんと話し合う。見えている尾根の裏側ではないのだろうか。谷間出口に集落が見えてきた。その近くにはスキー場の施設があった。 P1493mを登り返して左手を見あげると初日に登った尾根の上端に三本ブナ峠があった。広い雪尾根を北東へ下り、次いで尾根分岐(1420m)を東に下った。
     尾根肩分岐(標高1380m)を北東へ下って倉淵山へ向かう。ブナ巨木に感嘆して足を進めたが小さな雪庇でQさんが逡巡していた。追い付いて覗くと雪庇の下に細尾根、その左右は切れてはるかな谷底まで雪崖であった。空荷で尾根の上にオーバーハングしている雪庇を崩して降りてもその先数mのナイフエッジを大ザックを荷下ろしして渡るのはリスクが高い。無雪期であればなんということのないこんな場所が危ない。
     結局、左(北)の派生尾根を下って急な傾斜の谷を巻くことになった。トラバースが得意なQさんはスタスタと腐れ雪の急斜面を横切るが、TIはQさんの踏み跡をトレースしつつ、腐れ雪を崩さぬよう雪庇を見上げ、重いザックがに体を振られ内容に注意してようやく斜面を巻き終わった。
     Qさんが待つ尾根で一休みした後細尾根を東北東へ一緒に下る。コルを過ぎて倉淵山の登りを見る。
     登り返しで頭上にカモシカの食み跡を見つけた。豪雪の証拠、とは言え新雪期の粉雪にカモシカはどう対処しているのだろか。麓に下っても、バスストップの残雪があの状態では・・・
     倉淵山(1243.6mV)に着いた。倉淵山山頂から左(北)前方を見上げてブナ沢から三本ブナ峠への尾根を探す。似たような尾根が重なりどが登り尾根か判別できない。
     休憩して再び尾根を東北東へ下る。この標高になるとブナは芽が立ち始めていた。尾根分岐を北東へ下る。標高1113mの三分岐尾根に到達した。QさんのGPSで現在位置を確認して地形図と風景を見比べて最も左の東北東尾根に下る。このあたりは尾根が複雑で、次の三本指尾根分岐では二人で声を掛けつつ一番北の尾根を選んで下った。ブナの幹に古い目印(落書き?)を見つけてこの尾根が昔の作業道であったことを確認してひとまず安心した。今では登る人もないのか雪の上にブナの皮を食べた後の小枝が散らばっていた
     標高1000mの尾根分岐を東に下り、広い雪尾根を歩んで北東へ向かった。広葉樹の混淆林が針葉樹林に代わり尾根が狭くなる
     疲れた足を労わって小休止した後、人工林に囲まれた細尾根をコルに下った。所々残雪が切れて腐れ雪の階段となる。段差の度に腐れ雪の上に着いたQさんの足跡を見ながら足を運ぶ。Qさんより体重が10Kg以上重いのでQさんが軽々と歩んだ踏み跡に足を重ねても雪を踏み抜いてしまうのはこれまでと同じだ。麓に近いほど注意が必要である。
     目論んだ沢への下り仕事道はなく、細尾根を下って境界標柱を見つけた。雪が解けた跡のイワウチワの群落をできるだけ踏まないように下り、石祠についた。小立岩集落はすぐ下に見えるが雪がなくなった参道をクランポンを履いたままで下るのは難渋した。薮漕ぎが得意なQさんはすでに降り着いているらしい。どうにか杉林を下って集落北の林道にある下山口の鳥居に着いた。クランポン・スパッツ・雨具パンツ脱ぎ、泥や水を切ってまずそれぞれをレジ袋に入れ、次いでザックに収納した。無事縦走を完遂できたという満足感が次第に広がってきた
     小立岩バス停前に移動する。国道を除雪中の作業員の方に食堂・コンビニ・よろずや・昼食提供の民宿などなどがあるか聞いてみたが「何もない」とのこと、バスが到着するまで長い時間を行動食をつまんで過ごした。三本ブナ峠で会った奈良のカメラマンもBSに降りて、20mは離れて休んでいた。登山をする人たちの習慣か、下界に降りたら会話が全くない。これは日本独特だね。バスの発時刻にはまだ1時間以上あった
     小立岩バス停にバスは予定時刻の5分前に到着し、即発車した。これはローカル公共交通機関を利用す登山者が心得なくてはならないポイントだ。会津高原尾瀬口についてもQさんの声掛けで桧枝岐行きバスの時刻表を確認する。始発は11:00だ。なるほどQさんがタクシーを予約した訳だし、奈良のカメラマンがテント場を尾根の途中に設けた理由だ。これに合わせて次の仮想山行計画を立てなくてはならない(いつになるか?)。
     電車の車窓から見ると新藤原で桜、山吹、辛夷、李が満開であった。区間快速に乗り換えてみて新越谷に停車しないことが分かった。同じ東武電鉄でも東上線と違って快速は特急のことなのだ。鬼怒川温泉でQさんは特急スペーシアに乗った。これが正解。とは言え下今市で駅弁・缶ビールを購入、これから先には駅弁の販売はない。ソメイヨシノも満開で往路の雪も融けて、歩いた縦走路とは大違い、山男と里人の春の違いを十二分に味わった
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