| 南アルプス 小日影山 |
| 難峰に登る |
| 【期日】 平成27年7月21日(火)ー23日(木) 【メンバー】 CL:(Qさん)、メンバー:TI (合計 2名) 【アクセス】 07/21 志木05:38→新宿→高速バスターミナル07:03→10:46松川IC→ →10:51ガソリンスタンド(KJレンタカー)11:17→12:29ゲート 07/22 ゲート15:54→16:38大河原 赤嶺館 07/23 大河原 赤嶺館→ガソリンスタンド(KJレンタカー)→松川IC10:44→14:18新宿→15:15志木 【コースタイム】 休憩時間等を含む 07/21 ゲート12:48→林道→13:03旧小渋温泉跡→14:08(偵察)→18:41旧小渋温泉跡(幕営) 07/22 旧小渋温泉跡04:33→07:43P2128m07:56→09:11前山→09:57小日影山10:38→ →11:04前山→12:03P2128m12:19→14:50旧小渋温泉跡15:26→林道→15:48ゲート |
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| 【コメント】 |
| 南アルプスの小河内岳と板屋岳の間に大日影山(2573m)がある。大日影山の西には北側崖表示が延々と続き、消えたあたりに小日影山(2505m)がある。 登山を再開して南アルプスをふたたび歩き始めたころ、縦走路から外れた支尾根に気になる山々があるのに気づいた。名前が独特で2500m以上の山である大日影山から小日影山を往復できないかと調べたことがある。転落事故があったという記録があったのでロープが必要、登りたいが一人では(IT単独では)無理ではないかと思っていた。 その後、南川金一著山頂渉猟を購入して転落遭難事故の話と小渋川から小日影山に登った1987年の記録を読んだ。それは実に迷いやすい難コースであると教えてくれた。 |
| Qさんが綿密な調査をして、今年初めに山行計画を立ててくださった。だから大喜びで、即、同行をお願いした |
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| 07/21 |
| 新宿朝発の高速バスで松川IC下車、バス停からは駐車場脇の一般道へ向かう。名古屋方面からの高速バスも到着して、鳥倉林道バスに乗る女性が降りてきた。一緒に松川IC〜鳥倉バス時刻を確認にバス停まで歩いた。確認後女性は強烈な日差しを避けるため引き返して「木陰でバス待ちする」と別れていった。Qさんの話では「塩見小屋工事中で、南アルプス南部に行くには鳥倉林道バスが最も便利」とのことである。ICに取り付く道路の並木には姫林檎の実がぶら下がり、路傍に植えた花が満開で美しい。だが道路の両脇にある果樹園の林檎はまだ実が小さくて青い。りんごを売る土産物店も全てまだ閉じたままだ。 昭シェルGSがKJレンタカーの受付であった。Qさんが受付の女性係員2名前に手続きを進めた。もう30年もペーパードライバーのTIが出る幕ではない。サービスのコーヒーを頂いてKJレンタカーを出発した。ナビにKJレンタカー、赤嶺館、赤石荘電話番号をインプットしてコースを設定した。廃業した釜沢の荒川荘の電話番号はすでにナビに登録されていない。ナビに従い進む。道々、大河原の赤嶺荘、鳥倉林道分岐、赤石荘分岐を確認する。道路は次第に狭くなる。廃業した荒川荘の看板がまだ残っていた。小渋川に沿う舗装道路には砂利運搬ダンプが何台も走ってくる。すれ違いながらさらに狭い砂利林道に入った。数台の車が停まっているゲートに到着(走行距離は車の距離計で30.9km)する。 ゲート前は木陰であるが暑い。昼食を終えた林業作業者の方々が横になって休憩中であった。ゲート直前に駐車しようとしたら、作業者の方が、「そこはゲート中から管理者の車がでてくるから、ゲートから離れたここに駐車するように」と指示助言をくださった。駐車をしてザックを下す。ゲート前には新しい大鹿村のルート案内、登山届ボックスがある。登山届を提出してゲートの中に入った。 |
| ゲート近くの木陰で昼食をとり、ザックを背負って出発した。快晴で目が痛くなりそうなほど明るい。日陰を辿って林道を進む。川下から吹く風は追い風だが暑い体を冷やしてくれた。ほどなく、林野庁の車が2台駐車している場所に着いた。なるほどゲート前に駐車しないよう助言を受けたわけだ。また山側斜面が伐採中であった。休憩中の方々は涼しい朝に作業されたに違いない。山側斜面を下る沢から押し出した石デブリが林道を覆っている。ここから先は車の通行が行われていないようだ。1999年版の昭文社の地図では小渋温泉までタクシーが入るとあったが・・・ 林道に立つ電柱に数字が書き込んである。数字を読みつつ、電線を辿って曲がり角に着く。山側の斜面に崩れかけた取り付き階段があった。階段は随分前に壊れたように見える。角を曲がると谷側にコンクリート建ての小屋があった。これが地形図にある旧小渋温泉跡なのだろう。宿泊施設にはみえないので泉源であったのかもしれない。とすると温泉はどこにあったのか? テント場探しに少し上流に進んでみた。曲がり角に「材木資源保存林」の看板が立つ。読んでみるとイヌブナと書いてあった。ブナではないのかと首を傾げた。看板脇から見た小渋川の奥には青空を背景に頂上に雲を被った赤石岳が聳えていた。ほんの少し進んだところにあるトンネルの入り口左右に滝が流れ落ちていた。飛沫がすごい。引き返して、やはり旧小渋温泉跡前にテントを設営することにしてザックを下ろした |
| テント設営後、合計7L分の水容器をアタックザックに入れて水汲みに出かけた。トンネル入り口の山側の滝は水量が多い上に足場が悪いので谷側の滝で水を汲もうとしたが飛沫でずぶ濡れになった。すぐに諦めてトンネル内壁にある湧水口を探してどうにか容器全てに水を詰めることができた |
| アタックザックに必需品を詰め込んで、偵察と目印付けにQさんを先頭にテントから出発した。登り口の壊れた木段(杭だけ)を登り、急傾斜の法面を人?や鹿の踏み跡を探してこれを頼りに巻気味に登る。上流側垂直法面の保護をしているネットフェンスを支えているワイヤーロープや、木の根、立ち木を掴んで滑落防止に励む。どうにか法面から尾根筋に出た。尾根筋は急斜面だが取り付きよりは楽で安心である。岩脈が右谷(東谷)から伸びて尾根筋と交叉している場所は良い目印になる。右谷には何段も滝があるのか沢音が轟いていた。板屋沢は右谷のさらに先である。 危険な登り口法面と急傾斜の尾根筋をすぎると木漏れ日・若葉・緑の回廊が続く。それでも30分おきに休憩をとりながら登る。境界を示すらしい赤杭や先行者が巻いたテープ目印が思いのほか多かった。いつものようにQさんが先行して行く。熊鈴の音だけが所在を告げているのでQさんが巻いたトイレットペーパーを目印に息を切らせ、汗を流して追いかけた。尾根が平坦になり右手から明確な尾根が合流する分岐に着いた。下りに、ここは厳重注意する必要がある。そろそろ時間切れだと判断して標高1960mの尾根分岐下に座り込んだ。TIの本日最高点になる。ここも2重山稜だ。標高2000m上まで登ったQさんが熊鈴を鳴らして下ってくる。鈴の音が向こうの尾根を下ってくるように聞こえて心配したが無事に頭上方向から聞こえるようになり、無事合流することができた。 高気温の中、身体中に蚋などに集られたから、痒い虫刺されも多いだろうなと思いつつ下る。「右尾根を下れ」と呪文のように唱えていると、今度は右谷(西谷)に派生している小尾根が「おいでおいで」をしている。Qさんはこんな個所にも白紙目印をつけた。尾根末端にある林野庁の三角点を確認して法面上に着いた。 TIの提案でネットフェンスを支えている何本ものワイヤロープを利用して階段まで下ることにした。何本かのワイヤーロープには先行者が結んだらしい固定ロープがあった。こちらのルートも中々面倒だ。結論を言えば、Qさんの好みではないようであった。林道に下り、テントに帰着して無事に偵察目印付けを終えたが標高2000mの先はどんなになっているのだろうか。尾根に密薮はあるのだろうか |
| 夜半に起きてテントを出ると、小渋川の谷の上は満天星空、下流に北斗七星、見たのは久しぶりであった |
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| 07/22 |
| 朝食を済ませて真っ暗な中、出発準備をしているとゲートの方からちらちらしたヘッドランプの光が登ってきた。話し声も聞こえる。若い男性グループが猛スピードで登ってきた。小渋川を登るとのこと、早々に歩み去っていった |
| 夜明け前だが足下がはっきりしてきたのでテント場を出た。登り口法面は偵察登りルートの巻道を登った。もちろんワイヤーロープ、木の根、立ち木を掴み、土壌に指を差し込んで確保しつつ進んだ。尾根筋に着いて、帰りは西谷側斜面の巻道を試すことになった。急斜面の尾根を登り、赤杭が立っている平坦な肩で息を継いだ。昨日の風向きは西から、今日は北東から湿っぽい風が吹いている。尾根に右谷からの岩脈が交叉しているのを確認して再び尾根を急登りした。尾根をふさぐ大岩が出てきたがこれは巻けばよい。だがハリモミが踏み跡を塞ぐ3個所があり、枝を払う度に手をちくちくと刺す。ハリモミの落ち葉さえも急斜面に突いた指先を刺す。ようやく尾根の平坦部に登りついて休憩をとった。体中から湯気が昇っている。喉に渇きを覚えたら、嗽い程度の水を、また糖分切れにならないように餡パン1/2個を休憩ごとにとることにした。岳樺の美林に着いて小休憩し、ついで岩場を東谷に巻く。次第に、昨日Qさんが巻いた目印白紙が役に立ってくるようになった。 下りに注意を払わなければならない尾根大分岐、ついで二重山稜に、またして尾根分岐(等高線1790m)、その次の尾根大分岐(等高線1820m)、最後の分岐(等高線1950m)を要所毎に休憩をとりつつ登っていった。この区間が道迷いをしやすいところなんだろう。 標高点1979mを通り過ぎて偵察最高点から上には、Qさんは目印を念のため要所要所に巻きながら登る。樹林帯を抜けて草付斜面にようやく着いた。除山分岐は直ぐ上のはずだ |
| 除山分岐の小日影山側に到着した。目の下で草付が切れシラベの中木に覆われた展望がない場所だ。分岐から小日影山側に登ると少々広いピークがある。樹林帯のなかでここも展望がない。コルに下って細尾根に入る。予想はしていたがコメツガ幼木・ハクサンシャクナゲの薮になった。 ところどころに五葉松も混じる。岩混じりの薮が薄い場所に出ると、唯一、南ア主稜線の展望がきく。すこし進んだ薮からは正面に前山、その左奥に小日影山の頂上だと思える峰が見えた。コメツガ小木と下薮が密になり前を歩くQさんの肩や頭を隠す。密薮だがそれほどの抵抗はなかった。肩までの薮の正面に白い枯れ木が立つ。枯れ木を過ぎてコメツガ薮に入ると細尾根の南斜面の樹林をくぐる踏み跡が見えた。巻道は細枝が顔を叩き、腕や足を引っ掻くが薮尾根より随分歩きよい。 急傾斜斜面下について見上げるとシラベ・コメツガの高木が覆い、下薮は濃くない。斜面に踏み跡が所構わず着いているが、赤テープは斜面の北側を巻き、登っている。目印を追いながらよじ登って北尾根に着いた。前山南面の岸壁が右手にそそり立つ。北尾根から主尾根に、主尾根にはハクサンシャクナゲが開花し、湿った場所にはミズゴケ(なんと)、セリバシオガマ、所々にゴゼンタチバナが白い花をつけていた。ついで前山への急斜面に取り付いて木の根をを掴みよじ登ると緩やかな尾根に出た |
| 前山の頂上は遠くから見た姿と異なり平坦で、高木林に覆われ、下薮もそこそこ濃い。しかし小日影山山頂に続く尾根の上の踏み跡ははっきりしており、樹林も明るいので歩きやすかった。 |
| 樹林に囲まれた小日影山山頂はまるで和名倉山のようだ。平坦だが狭い空間には小さな三角点がある。探せば低木に手作り山名板がぶら下がっていた。またここまでお世話になった赤符の主だろうか、同じ材質のテープに名前が書いてある小石が置いてあった。南アルプス深部らしいシダと針葉樹林もある。ところで期待した大日影山への踏み跡、目印は見当たらない。密な樹林(シラベが主要)の張り出した横枝、濃い下薮と厚い落ち葉が平坦な尾根筋を埋めているようだった |
| 日差しがなくなったので小日影山頂上から踏み跡と目印を確認しながら下る。余裕ができたのか小さな草にも目が走る。季節はずれのイチヨウランが咲いているのを見つけた。盛りを過ぎているようだが儲けものをした気がした。 北東の風、南アルプス主稜線を覆う雲、谷を下る霧雲と気にはかかっていたがなんとこちらの尾根も霧が覆い始めた。すでに霧雨が続いているのか除山分岐へ下る尾根の木々は葉だけでなく幹も根も濡れていた。どうにか2つの急斜面を足を滑らさずに下り、再び細尾根の薮に突入した。濡れた葉からシャツ・ズボンに水が移ってびっしょりになる。 コメツガ・シラベ小木の生えた細尾根に遠い昔に残置したワイヤーロープが赤く錆びていた。大々的に伐採した時代があったに違いない。不思議なことに除山分岐に近づくにつれ霧雨が薄くなり、林が乾いてきた。 |
| P2128mを下って除山分岐で休む。テント設営に適切な場所があるのかと歩いて見たら立木の枝に刺した古い一升瓶が見つかった。伐採が行われていたころ、ここには作業小屋があったのだろう。しかしそこにも、草付に向かう斜面にもテントを張る無傾斜地がない。ついでに除山へ向かう尾根に踏み跡を探してみた。下枝が交差したシラベ中木林が続いており、落ち葉も厚く積もっている。藪漕ぎ2時間往復はつらいと思われる上に、本日午後になれば霧か雨かが降るに違いないだろうから除山挑戦は中止にして下ることになった。 草付から除山分岐にはどこからでも登ることができる。だから除山分岐からピンポイントで登り尾根に下るには要所に目印が必要だ。Qさんが巻いた目印白紙が役に立った。 まず標高点1979mを過ぎ、尾根分岐を目印に従って砕けた石が重なる稜線に乗る。尾根大分岐に出くわすと、「左に行きたいけど右(西)に下れ」と呪文を唱えて次の目印を見つけた。同様に分岐、大分岐を無事に通ることができた。岩場に来ると見下ろす岩の上にコバノギボウシが開花していた。登りと下りは視線が違う。大岩からは落ち葉が堆積した急な尾根を注意して下る。お世話になった境界標杭に出会った。尾根末端(肩かな)には必ず杭や標石がある。といっても肩の数は少ない。何種類もの球果が固まって落ちていた。球果は松科の特徴で樅属のトドマツ、シラベ、トウヒ属のトウヒ、エゾ松、赤エゾ松、栂属のコメツガが高山に育つ。この辺りは高山と低山の間だから松科の木々も混淆林となっているのかもしれない。ブナ・カエデ・ミズナラにシラベ、コメツガが混じる若緑が映える場所で休憩をとった。南川氏が板屋沢へ迷い込んだのは標高1600m辺りというからこのあたりかもしれない。突然、雨がバラバラと降ってきた。雨具上下をつけて下り始めると薄日が射した。蒸し暑いのですぐに雨具を脱いで下る。急傾斜になるとQさんは斜面を電光状に走り下る。膝を曲げ気味に、山側の要所に片手を突いて注意しながら、年若いTIより遥かに早く下っていく。そのバランス感覚とピッチ走法にに感嘆! 最難関の林道法面の上に着いた。西側谷に着いた踏み跡を巻いて見たが、結局、朝登ってきた巻道に繋がった。ワイヤーロープを活用するか木の根を掴むかの選択しかないようである。登り口上で先行するQさんが踏んだ浮き石が林道へガラガラ音を立てて落下していった。クワバラクワバラ!ゆっくり慎重に下り、どうにか林道に下りつくことができた。旧小渋温泉前のテントに帰着してみると、予想外の雨に予想以上に濡れたテントが立っていた。ザックと同様に小屋の中に収納しておけば濡れなかったのにと唇を咬んだ。雨は上がっているが山と谷には一面に白い霧がかかっていた |
| テントを畳んで林道を下る。途中に赤石岳広河原への道標が立ち、広河原へは10km5時間と書いてあった。今朝の若者たちは雨に合わずに赤石岳まで無事に登れたであろうか。伐採作業も終わってしまったのかゲート内の林道に車がない。無事にゲートに到着してゲート外の駐車スペースをみたら我々の車1台しかなかった。 |
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| 本当に危険な個所の写真は残念ながら撮影できませんでした。お許しください |
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