糸魚川 鉾ケ岳
【2008年11月03日(月)】
【メンバー】 L:T/K、SL:T/I、他: H/T、M/I、H/U、H/N 計6名

【コース及びコースタイム(休憩・昼食を含む)】 (11月03日)島道鉱泉7:12→8:05溝尾合流点8:12→9:45金冠9:55→10:17大沢岳→10:30鉾ケ岳10:55→11:33トッケ峰11:38→12:13権現岳12:23→14:12柵口登山口14:20〜14:12〜柵口温泉権現荘〜能生IC〜東松山IC〜東松山【所要時間07:00】

【動機】鉾ケ岳は新潟の山々に登る際、予備の山として何度も計画したが天候不順でことごとく中止といままで相性がわるかった。K/Tさんの個人山行計画にやはり予備日の山として今回も鉾ケ岳が入ったので軽い気持ちで準備してこの日を待っていた。11月01日に上越地方が冬型の天気になり、積雪で焼山中途撤退、11月02日には海谷三山縦走を中止して焼山に再挑戦、11月03日は帰還日に当たるので歩程が長い海谷三山の縦走を諦めて、鉾ケ岳に登ることになった。

【山行記録】
(11月03日)曇のちポツポツ
島道鉱泉の奥さんの見送りを受けて建物西奥の登山口駐車場から出発した。今朝の空は曇で宿の主人は「午後は雨が来る」という。背の低い根曲がりブナ林についた登山路を急登する。20分も登ると標高400m辺りで用水路水平道に出会い、南西に金冠と岩壁、それから落下する滝、岩壁下には紅葉した木々が森になっている風景に出会う。5分位で分岐となり、道標には「溝尾コース(金冠・鉾ケ岳)/島道コース」と書いてある。溝尾コースを選んで固定ロープを掴んで登る。急登りで登山路に伸びた根曲り低木に頭を何回も叩かれた。林床には落葉の影にショウジョウバカマやカンアオイの群落が目に付く。溝尾合流点に到着して先頭とリーダーが左右分岐したコースと道標の案内の照合で議論が燃やす。島道鉱泉で貰ったパンフ地図で確認して右へ行くことに決定して小休止した。分岐からは湿った赤土の道が続く。雨のときは滑って難渋するだろうと思う。道の脇には「3/8ゆっくり歩こう」とか「めざせ!あれが金冠だ」などの面白い標柱が間隔を置いて建てられていた。3/8は鉾ケ岳まで5/8が残っていることだろう。登山路にはナナカマドの実の糞が幾つも落ちていた。熊の落し物だろうか。標高920mにある溝(雨裂)に新しいロープがぶら下がり「登山道」という標柱が立っていた。溝の左にも踏み跡がある。溝に水が流れている時の巻き道だろうが溝は越さなければならないので踏み跡の主はどうしたのだろうかと疑問が湧いた。「4/8金冠まで30分分岐点まで90分」という標柱を過ぎると直ぐに「登山道(シゲクラ尾根)」という標柱の立つ尾根に登りついた。右に曲がって幾分平坦な尾根を進む。木立越しに金冠が大きく見える地点には「金冠だ!」、金冠に近づくと「5/8 ロープ鎖につかまれ」という標柱が出てくる。お世話様と思うがなかなか面白い。潅木の生えた直立に近い岩尾根にはロープ・鎖がぶら下がって頂上まで続いていた。

広くはない金冠頂上には「金冠1140m 鉾ケ岳30分」と書いた山名標杭が立つ。曇天のせいか焼山火打方面に霞が懸かってそれ以遠は望めなかったが鉾が岳への稜線・谷間の紅葉は見事であった。山頂の一段下に石碑が立ち、なにやら彫ってあるが意図不明である。金冠を大沢岳の方へ下ると今度は短い蟻ノ渡がある。見ていると岩の上を立ったり、座ってロープを掴んで御尻で進んだり登山者の性格が出て面白かった。上り返すと「大沢岳1240m」という標柱が立った地点にきた。峰らしくない。地形図の1244点なのだろう。島道コースの分岐になっていた。これからは藪がち稜線の漫歩だ。「さあ最後のひと坂だ」に励まされて薮から鉾ヶ岳山頂に飛び出した。

鉾ヶ岳は標高1316.3m、一等三角点峰で、南と西の展望が素晴らしい。曇天であるが火打〜焼山、その前にも糸魚川の山々、雨飾山と海谷三山、目を凝らすと白馬などの北アルプスが白く、日本海まで続いているのが見えた。頂上の避難小屋の内部はよく整頓され、丁寧に使われていることが分かる。登山記帳ノートや展望できる山々の360°写真などを読んだり見たりするのも楽しい。コーヒーブレイクの後トッケ峰を目指して笹藪とブナ小木の林が続く尾根に下る。コルには「ミズバショウ」と書いた柱があり脇をみると来年の芽が幾つかあった。「あとひと坂イッキだ7分」とか「9/10登山道」と書いた柱がたっているが金冠コースに比べると面白みがないようだ。林を鳴らす風が尾根を吹き通るようになってきた。アップダウンを繰り返す。このあたりにはブナ/笹/オオイワカガミの組み合わせの植生が続く。11:30のチャイムが里から届く頃トッケ峰に着いた。狭い山道に「8/10トッケ峰1289m権現岳60分」という山頂標が立ち、古い柱が2本地面に横たわっていた。トッケ峰を最後に細岩尾根が始まる。この尾根の末端の電波柱があるピークが権現岳だろうからまだまだ遠い。時間が掛かりそうだ。固定ロープが続々出てくる。ばんざい岩とのぞかずの窓を過ぎるとさらに痩せた岩稜になった。「7/10登山道」の杭がまだ鉾ケ岳から3/10しか下っていないことを教えてくれる。里から再びチャイムが聞こえて正午になったことがわかった。五葉松や小さな針葉樹が尾根に茂っている。このあたりがサワラ山なのだろう。本日何度目かのナナカマド糞が道にあった。やはり熊も歩きやすい登山路を通ると見える。

ようやく権現岳に到着した。標高1104m、電波柱、山頂標、山名方位盤がある。立派な山名方位盤には富士山が3756mで権現岳が1008mと刻んである。冗談でしょ。電波柱の向こうに金冠〜鉾ケ岳、振り返ると東のスラブが光る谷の紅葉と谷間の集落が美しい。地形図のナダレ防止柵はどこかと探すが目に留まらない。火打山方面は雲の中隠れ、鉾ケ岳の頂上を流れていたを雲が下ってきて鉾ケ岳を覆い始めた。風が強くなり体が冷えてきたので休憩を切り上げて尾根を急降下する。ロープ・鎖・針金場が続き、下るのに予想以上の時間がかかる。白山権現の岩場から東の山腹を見ると雪で磨かれたスラブが白い。その麓には柵口集落だ。今度は天狗屋敷の岩場だ。それを下るとはさみ岩に胎内洞と背中のザックが邪魔になる岩場が続く。岩場ルートに「シャクナゲ群落地」という柱が立ち、地元の人たちが誇るホンシャクナゲが薮になっていた。花芽が少ないので来年は期待薄だなと独り言を言って見る。連続したロープ・鎖場下降に疲れてとうとう休憩となった。膝や太腿に疲れを感じるが久しぶりに腕や肩も痛くなりそうだ。「わらじぬき場」について言葉の由来を言い合ってみたが結論は二足目の草鞋を履いたということになった。白滝展望点について黄葉に囲まれた白滝の写真を撮る。曇り空で残念だ。ようやく木立の間から河川工事の重機と林道、三角屋根の小屋が見えるようになった。棚口登山口について迎えの車に向かう頃雨粒が体に当たるようになった。

道脇の貯水槽の蛇口で登山靴の泥を落して車に乗ってほっとした。今にも本格的な雨になりそうな鉛色の空だ。林道から広い舗装道路に出てすぐ近くの棚口温泉で今日一日の汗を流した。浴槽の中で「昔、あの標高800m辺りのスラブからいわぼう(表層雪崩)が起こり、権現荘周辺で多数の死傷者でた」と聞く。そんな話も納得する急降下続きの山だったとしみじみ思った。

【感想】 鉾ケ岳はついでの山と聞いていたが、金冠や権現岳の急傾斜部分に続くロープ・鎖・針金には、登りも下りも大変手強い思いをした。鉾が岳の頂上から見た白馬岳などの北アルプス、雨飾山、海谷三山、火打山、高妻山、焼山、戸隠西岳など展望が曇り空の下でも素晴らしかった。天気のよい時に又来てみたい。蛇足だが登山口の島道鉱泉の素朴でたっぷりとした山家料理は宣伝したくなるほどであった。(記:T/I )
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