青森県 白神山地 尾太岳(1083m)・高倉森(829m)    

 【期日】2017年04月26日(水)〜29日(土)

 【メンバー】CL (Qさん)、TI (2名)

 【コースタイム】
 《04/27》砕石場先ゲート10:31→10:43尾太鉱山跡→12:55薬師森(995)→13:36尾太岳 →16:20

 尾太鉱山跡→16:34砕石場先ゲート 

 《04/28》アクアグリ−ンビレッジ09:10→12:16高倉森(829m)→14:29アクアグリ−ンビレッジ

 【コメント】
 いうまでもなく白神山地は青森県南西部〜秋田県北西部にある標高1,000m級の山地である(ウィキペディア)。1993年にユネスコ世界遺産(自然遺産)に登録された。世界遺産核心地域付近に無許可で入ることができる白神岳、大峰岳、太夫峰、天狗岳、高倉森、櫛石山、小岳、真瀬岳、二ツ森などや、登録地域外にも藤里駒ヶ岳、田代岳、崩山、尾太岳など、魅力的な山々がある。
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 五能線の白神岳登山口駅からの白神岳には新座山の会のYIさん夫妻と、白神ライン((青森県道28号岩崎西目屋弘前線、青森県西津軽郡深浦町岩崎〜中津軽郡西目屋村〜弘前)から天狗岳には新ハイキングJKさんグループと、羽州街道(国道7号線)からアプローチした小岳、田代岳もJKさんグループと、降雨で2度も登れなかった藤里駒ケ岳は新座山の会のYIさん夫妻と 登ってきた。2004年夏と秋、2010年秋のことである
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 今回は残雪期に西側の白神岳、東側(西目屋村)の尾太岳と高倉森を登る計画をQさんが立てた。残念なことに04/25〜26に気圧の谷と寒冷前線が白神山地を通過するとの天気予報で西側の白神岳をあきらめて04/26に弘前で一泊、04/27と04/28に西目屋村の尾太岳と高倉森を登ることになった
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04/26 弘前公園
 昨日からの雨はまだ止まず、傘をさして弘前さくらまつり(04/22〜05/07)で混雑する弘前城の桜を鑑賞した。ソメイヨシノは九分咲で、城から見る岩手山は雨雲で覆われていた。
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04/27 尾太岳(おっぷだけ)
 ウィキペデイアによると、尾太岳は西目屋村の津軽白神湖(地形図では美山湖)から南に8kmにあり、三等三角点「尾太」(標高1083.52)が設けられている。鋭峰であることから「白神山地のマッターホルン」と称される。南に青森と秋田と東西県境となっている稜線があり、尾太岳はそこから北へ分かれて伸びる稜線上にある。稜線上のピークには南から尾太岳(1083m)、薬師森(995m)、弁天森(980m)などと名がついている。稜線の東の陣岳(1049m)との間に湯の沢川、西に大沢川がある。
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 山体はおおむね凝灰岩で、ところどころに安山岩や流紋岩の貫入がある。この貫入のまわりには鉱脈が分布しており、湯ノ沢川の谷底に尾太鉱山の入口がある。奈良時代〜津軽藩政時代までは銅を産出、1952年〜78年閉山まで三菱金属が銅のほか鉛、亜鉛、金、銀を採掘し、最盛期(1960年)には、西目屋村の人口5346人うち1500人(あおもり110山・村上義千代著・東奥日報社1999より)(ヤマレコ)を尾太鉱山で占めていたという。しかし鉱山の採掘廃水によって川が汚染され、裾野を流れる湯の沢川は生物が死滅し、影響は下流の岩木川まで及んだ。閉山になった今でも青森県が廃水処理を続けている
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 登山には、尾太鉱山の作業道を通る必要がある。入山には管理事務所の許可、下山時には報告をする必要がある。整備された登山道はなく、急斜面の尾根や崩壊地形を通るルートは容易ではない
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 アクセス

 県道28号線を砂子瀬橋西で左折して湯の沢川に沿いの県道317号(釣瓶落峠を経て秋田県藤里町へ)に入る。次第に谷が深くなり、デブリ跡もあったが砕石場や廃水処理場の関係者のためにか、砂利道に変わっても道幅いっぱいに除雪されていた。
砕石場のすぐ先に車両止めのゲートがあり、関係者以外の車はそこから先には進めない。湯の沢川側に2〜3台止められる場所があった
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 ゲートから廃水処理場までは徒歩十数分であった。人気がないように見えたが奥の処理池脇の事務所から所員の方が出ていらしてQさんに登山届の記帳を要請された。廃水処理場から尾太岳に登るにはMustである。もちろん下山時もその旨報告しなければならない
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 廃水処理場から尾太岳頂上へは2ルート(写真参照)ある。

 ・処理場背後の階段を上る薬師森経由は取り付きが急だが尾根筋の南側を薮の小木を掴みながら登れば残雪が出てくる。クランポンやピッケルを利かせてがんばれば平坦な薬師森から尾太岳に至る尾根に出る。急峻だが肝を冷やすような箇所はなかった。

 ・処理場から湯の沢川沿いに南へ、小沢を越えて作業道を尾根に詰めるコースには赤テープが点々とある。赤テープの中にはこれから立ち上がるコメツガなど小木密薮の中にあるものがあった。くぐるのは困難だった。こんな密薮を避けたため標高差50mの雪壁を2か所もクライムダウンせざるを得なかった。先行したQさんに大感謝(Qさんは疲れて夕食後ばったり)。Qさんの観察では「雪壁に先行者がキックした跡があった、登りに使ったのだろう」とのことである。こんな危険なことをしないためには、このコースを登りに使い、薬師森経由コースを下る(Qさんの当初計画)のが幾分賢明だ
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 とはいえ、薬師森〜尾太岳まで続いた足跡の主はどこから登ってどこにくだったのだろうか?
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展望 
北に岩木山、西に白神岳、真瀬岳、二ツ森、南に小岳、真下に釣瓶峠街道が見える
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04/28 高倉森
 高倉森にはマタギの神様「ジョウトク様」にまつわる伝説がある。
 弘前市東目屋中畑のマタギだったジョウトクは、きちんと身なりを整え白神に入った。これを不審に思った妻が後をつけて女人禁制の白神に入った。山の神は怒り、ジョウトクは獲物が捕れなくなった。悲観したジョウトクは常徳沢に飛び、神になって高倉森に、さらに白神岳に移ったという。
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 世界自然遺産緩衝地域の中で登山道が整備されている津軽峠〜高倉森コースは一般登山者が入山できる出来る数少ないルートである。このルートにある樹齢400年を超えるブナの大木はマザーツリーと呼ばれ、津軽峠から約10分で行けるので白神山地屈指の観光スポットとなっているそうである
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 県道28号線(川原平〜アクアグリーンビレッジANMON間)は平成29年4月25日12:00に開通したが17:00〜9:00は夜間通行止めで、アクアグリーンビレッジANMON〜津軽峠間は5月30日12:00に開通予定、津軽峠〜深浦町岩崎間は冬期閉鎖中と道路情報にあった。本格的な観光シーズンは6月から始まるようである。
 平成29年4月25日〜5月30日の間はアクアグリーンビレッジANMON〜柴倉ケ岳〜高倉森コース(高倉森自然観察歩道 遊歩道コース)を利用するしかない
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 ところで高倉森自然観察歩道 遊歩道コースはまず登山口がはっきりしない。暗門橋とアクアグリーンビレッジの間、津軽峠へのゲート手前の高倉森自然観察歩道看板が目印である。急斜面にジグザグの踏み跡があったが不鮮明である。尾根に登ると稜線沿いに標高点439mの小ピークまで迷うことなく進むことができる。
 無雪期なら徒歩道も道標もはっきりしているのだろうが、広くて平坦な個所でいくつもの小尾根や小谷が錯綜としていた。雪が残っていたので踏み跡や道標も見えず、目印テープもなく柴倉ケ岳から下ってくる徒歩道尾根にたどり着くまでが難関であった。地図読み・コンパスだけでは迷う可能性がある。GPSを活用することを勧める。
 柴倉ケ岳の直下は急傾斜の細尾根で固定ロープがあるもののナイフリッジの雪堤を歩むのでそれなりの装備(ピッケルなど)を活用したら安心だ
 高倉森自然観察歩道と名付けられているくらいだから春の花も小鳥も我々を迎えてくれた。雪が消えるころにはもっと華やかになるに違いない。なお迷いやすい平坦箇所の谷の斜面にはミズナラやブナの大木が残っていた。これらを見つけるのも楽しみである
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展望 
ブナなどの囲まれて頂上からはない
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記録
04/27 尾太岳(おっぷだけ) 
 三上砕石場先のゲートに到着して駐車、準備していたら砕石場から重機がでてきて所員の方が注意にみえた。ゲート脇にはまだ残雪があり、ここは雪捨て場らしい。湯ノ沢川には雪解け水が轟々と流れていた。ゲートには「5月30日まで車両通行止め」との掲示があった。雲が出てきたが予報と違い風は弱い。ゲート脇を抜けて除雪された県道を進むと約10分で尾太鉱山跡廃水処理施設が見えてきた。
 橋の袂には「尾太岳登山者は新福舟社に届けが必要」との看板が立っていた。橋を渡って廃水処理施設の背後を見上げると残雪の上にロープがぶら下がる急な階段が見えた。湯ノ沢川上流には小沢があり、廃水を導入するのか太い黒管プラと金属被覆管が山腹から下ってきていた。
 ネットで調べた記事にはこの急な階段を登るとあったので躊躇なく取りついた。ただしQさんの計画では下山路だったのだが気が付いたのは後の祭りであった。数段登って振り返ると無人と見えた廃水処理場から新福舟社の方が突然現れてQさんに登山届記入を要請されていた。階段上に上って久さんを待つ。とても急な階段だ。上は鉱山跡らしく石垣や錆びた鉄管、割れた碍子などがある。しかし徒歩道を示す目印など見当たらずとにかく薮尾根に取りついた。急斜面にはカタクリが蕾をつけている。太陽が顔を出せば大きく開くに違いない。見上げればブナやミズナラなどの広葉樹が急な尾根を覆い、アオキ等の常緑樹やアオモジなどの落葉樹の薄い薮が落ち葉の上に伸びていた。左右は谷で尾根の端から落ち込んでいる。傾斜の緩い筋を探してカモシカなどが歩いた跡や水が流れた跡をたどった。斜度が幾分小さくなってくると斜面に残雪が張り付いてきた。ほぼ階段から1時間になる。クランポン装着して残雪斜面をQさんを追いかけた。高度を稼いだおかげで青空が広がり南のブナの木越しの尾太岳か姿の良い峰が見えてきた。さらに青空に向かって残雪斜面を登る。等高線750mになると傾斜がゆるみ、北に聳える岩木山が見えてきた。
 薬師ケ森頂上でQさんに追いつく。今朝の天気予報を見て心配した尾根越強風はなかった。むしろ無風で日が当たると暑く風がほしいくらいであった。白く輝く残雪の上に新しい足跡が尾太岳の方に向かっていた。前方を見つめても人影は認められなかった。。残雪のブナ林を抜けると尾太岳に続く平坦な尾根の湯ノ沢川側を歩むことになる。すでに雪庇も落ちていた。薬師ケ森から次第に細尾根になる。雪堤も細くなるが展望はよい。東を望むと陣岳が、その北には岩木山がどっしりと腰を据えっていた
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 雪堤脇に特徴ある岩が顔を出す。尾太岳に近づくにつれ、尾太岳の山頂は薮が巻いているのがはっきりしてきた。薮下の湯ノ沢川側は残雪の急斜面で滑落の恐れがあると判断して結局コメツガの低木林がある大沢川側から回り込むことにした。見ればQさんの足跡とその脇に例の足跡が同じように西側から尾太岳山頂に向かって登っていた。西側から眺めれば日本海から登ってきた雲が白神岳の方向の峰々の山頂部を隠しているのがわかった。コメツガ低木林はすぐになくなり低い薮が平坦な山頂部を覆っていた。先行者が踏んだ跡らしい箇所を探して進んでいると薮の先からQさんが「薮の中に三角点があるよ」との声がかかった。少し左に歩むと小さな刈払い場所に三角点と割れた山名板があった。ここが尾太岳の山頂である。Qさんは三角点先の薮を越えたところにある平坦な残雪の上でメモを取っていた。
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 北東の岩木山を背に、また北西を背に尾太岳登頂の記録写真をQさんに撮影していただいた。北には美山湖や高倉森がある。残雪の上を見まわしたが先行者の足跡はひとつも見つからなかった。コメツガ低木林からどこに行かれたのだろうか。
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 尾太岳からは往路を帰るものと思い込んでいたらQさんは頂上から北東の尾根へ下るという。見下ろせば残雪の下り急斜面が迫ってきた。急斜面の先には黒い針葉樹の林が見える。「尾太岳の8合目から9合目にかけてコメツガやキタゴヨウマツからなる針葉樹林帯になっているのが、植生上の大きな特徴である。白神山地はブナに代表される落葉広葉樹林帯であり、白神山地のなかで尾太岳だけがこのような針葉樹林をもっている」そうだ。

 まず残雪急斜面を慎重に下って幾分緩やかな尾根について一安心した。雪の上に熊の足跡が続く。爪痕が溶けているので二三日前に通ったのだろう。尾根に並行して下り、二度ほど尾根を横断していた。尾根に針葉樹低木の密薮が出てきた。かなり下まで続いている。雪で寝ている低木密薮の中に赤テープがあるのを見つけた。雪解けが進んで低木が起きている時に通った方が付けたに違いない。現状ではどうにもこの長い密薮を抜けられそうにない。左右(南北)斜面を偵察していたQさんが尾根の密薮を避けて北側の雪壁をピッケルを打ち込みクランポンの爪先を蹴りこんで四つん這いクライムダウンを始めた。TIもQさんの動きを股の間から見つつ、Qさんのトラックを使わせてもらいながら慎重に下った。雪壁を掴む左手が冷たくなってしばらく下るとどうにか一休みできる小さな棚についた。そこから雪壁を見上げるがおり始めた場所は遥かに上で壁の影に隠れていた。QさんのGPSでは50mの壁だったそうだ。これで終わりと10分も下ったらまた密薮がが出てきてもう一回標高差50mの雪壁を四つん這いクライムダウンをせざるを得なかった。こんな危険な下降はしない方が良い。Qさんによると雪壁にはトラックがあったとか、残雪期のルートには違いないが下りより登りに使いたい。
 標高850mを過ぎると広葉樹林帯に入る。点々と赤テープが出て心が安らいだ。雪の上に綺麗に割られた胡桃殻が集まっていた。リスの仕業だろうか。尾根の端にでて休憩を取っていると採石場から作業音が何度も聞こえてきた。赤テープに従って下ると太いブナに古い落書きがあった。昔が偲ばれる。下って行くとこれも古い石柱があった。「尾太鉱山、明治との記念」の碑だろうが字が薄れているので読み切れなかった。石垣や錆びた鉄管、割れた碍子などがあるがこの先の踏み跡がわからない。道さがしをしてようやく作業道にでた。模造丸太階段が続き、眼下に廃水処理場が見えてきた。階段を下ると湯ノ沢川の岸に着く。そこには杉の木の下、鞘堂の中に地蔵尊が立っていた。岸沿い下流に歩むともう一体地蔵尊石像があった。この鞘堂有無の差は何かと悩みつつ湯ノ沢川岸を廃水処理場へ向かう。最後の難関は小堤の上を水ほとばしる小沢である。靴を濡らして廃水処理場への道を登った。廃水設備脇にはフキノトウが林立していた
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 廃水処理場の事務所にもう出て所員の方に下山を報告した。一般車と思われる2台を追いかけてゲートの駐車場に帰還した。Qさんは雪壁2x50m先行クライムダウンで疲れていらっしゃる。急傾斜・雪壁上り下りで、いつも遅れるTIのせいだと思うと慚愧に絶えない。
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 Qさんの運転で西目屋村グリ−ンパーク もりのいずみ(電話番号 0172-85-3113 \8350/人・二食(6畳2人,))に到着して温泉で汗を落とし、びっくり豪華な夕食を終えた。疲れたQさんは食後ばったり、TIは深く感謝
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04/28 高倉森
 県道が5:00〜17:00に開くと思い込んでいたので「もりのいずみ」の朝食をゆっくりと楽しみ、隣の鹿嶋神宮に参拝して出発した。ところがなんと砂子瀬橋から先は9時まで閉鎖、関係者の大型車も停車して開門をを待っていた。そこで時間待ちに今日も湯ノ沢川へ少し入る。と白青のアズマイチゲにピンクのカタクリなど春の花が斜面に咲き誇りっていた。昨日とは大かわりである。ダム湖を見下ろすとヤマセミが特徴ある飛翔で湖畔の木にとまったのが見えた。
 スプリングエフェメラルを楽しんで時間待ちに津軽白神湖ダム管理棟・展望所に回った。2016年に名づけられた津軽白神湖は前身と美山湖を踏襲し、美山湖はその名を最上流に残していた。
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 9:00ちょうどにゲートが開き アクアグリーンビレッジに向かうことができた。途中での雪崩防止柵修理工事か片側規制があった。なるほど。 細いくねくね道で前から大型車が来たら万歳だ。
 暗門川に暗門橋を渡りアクアグリーンビレッジの駐車場には何台も駐車している車があった。営業はしていないアクアグリーンビレッジ、津軽峠への県道閉鎖、当然 バスはない。なんでこんなに多数の車が駐車しているのか、悩んでしまう
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 津軽峠への道路は閉鎖中、とすればここから高倉森に歩くしかないない。高倉森自然観察歩道案内図があるが歩道入口はもちろん徒歩道踏み跡が見えなかった。好天の駐車場で身なりを整えた
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 高倉森自然観察歩道の看板から踏み跡は急斜面にジグザグに登っていた。踏み跡は落ち葉と泥斜面、倒木のせいで滑りやすい。標高340mの尾根に登りつくとイワウチワの花の行列迎えてくれた。明るいブナ尾根をイワウチワの行列を愛でながら枯葉を踏んで進む。これが夏道だ。等高線425mで残雪の斜面にかわった。出会った道標は雪害対策に方向指示板が外されて立杭に結ばれていた。
 細尾根が広がって残雪に覆われた平坦なブナ尾根となる。尾根末端のP439mの直下の谷には柴倉ケ岳の方から右尾根、左谷、その先の左尾根のいずこに行けばよいのか迷う。残雪がないなら夏道が見えるのだろうが・・・。右尾根末端の雪からトラロープがわずかに表に出ていた。尾根に入るなという意味と解釈して左谷に少し進んだ。雪の埋もれた道標を見つけて判断が正しかったと安心したが今度は杭の前、左右のどちらが良いのか迷う。笹薮を見上げると雪形が夏道を示していた。低い尾根に登って谷斜面に下る。谷間で右(東)に歩むと等高線470mの平坦地に出た。「ここに湿原がある」とは久さん情報である。今は雪ノ下、左右に尾根、間に谷と錯綜としているが目印になるブナやミズナラ大木が立っていた。QさんのGPSウェイポイントで現在地と進行方向を確認した。間に深い谷がある。この谷を越して向かいの尾根に渡らねばさねばならない。できる限り谷からの登り返しがないポイントまで登って谷を越した。尾根まで残雪急斜面を登って広葉樹林の薮尾根に落ち葉が積もっている踏み跡に出会った。なお地形図等高線間隔は緩やかな傾斜を示唆していたが期待に反してなかなかの急斜面だったという感想だ。ここまでが道迷いで悩むポイントと思われる。
 すぐに踏み跡は残雪の下に隠れた。尾根幅が狭まり左右は崖になる。細尾根を狭い雪堤が覆う。柔らかい腐雪であるが先を登るQさんの踏み跡を使わせていただき、ピッケルを活用して雪堤を登った。周りの尾根より高い地点に出てみると今日も岩木山が青空に聳えていた。尾根を見上げると狭い尾根に急傾斜、固定ロープが繋がっていた。こんども地形図では緩やかな尾根のぼりのはずだが・・・。ロープ脇の細い雪堤を注意しながら登る。下りの方が心配だ。柴倉ケ岳への最後の登りは急傾斜の残雪斜面であった。
 柴倉ケ岳で待つQさんと合流してブナの木の根本の乾いた落ち葉の上で休憩をして疲れを取った。 柴倉ケ岳から高倉森に続くブナ尾根を眺め、ついで登ってきた細尾根を見下ろした。尾根の向こうの山々の先でとがっているのは昨日登った尾太岳に違いない。頂上尾根はなだらかなアップダウンで歩きやすそうであった。
 ひと休みの後で高倉森に向かって頂上尾根を進む。ブナ林が続き、枯れ木の近くには「この先に危険木」とポスターもある。6月になれば津軽峠からのハイキングが盛んになるのだろう。高倉森と思われる高みの右に岩木山が見えた。ブナ林であるので葉が広がると展望がなくなるかもしれない。
 高倉森に着いた。ブナに囲まれた広くて平らな山頂は残雪で覆われ、三角点も山頂を示すという杭も雪の下であった。たぶんこの辺りが最高点と雪を踏みしめて高倉森登頂とした。
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 高倉森から頂上尾根を引き返して下山する。津軽峠から10分のところにあるブナのマザーツリーの子孫だからであろうか尾根の左右のブナ林は落ち着いてみると立派であった。柴倉ケ岳に着くころから頭上の雲が黒くなってきた。麓や標高の低い山々には日がさして明るいところもあった。下れば雨に降られることもなかろうとロープを伝って急傾斜の細尾根を下る。もちろん細い雪堤には細心の注意をしてではある。緩やかになった尾根を下り少々行き過ぎて左斜面に曲がった。往路の踏み跡に出会い、残雪の谷を渡る。ブナやミズナラの大木を見て尾根斜面から谷へ下り、右にP439を見ながら北を巻いて迷いやすかった箇所を通過した。登り返して出てきていた夏道の上で小休止した後、イワウチワの行列に再会してほんのしばらくすると木の間からアクアグリーンパークが見えてきた。急斜面の滑りやすい電光道を下る途中にオオバキスミレの群落が黄金に輝く花を我々に向け咲き誇っていた。
 高倉森自然観察歩道の看板に迎えられてアクアグリ−ンビレッジの駐車場で荷物を整理した。その後は白神ラインを畳平に向かい、「 もりのいずみ」でゆっくりと温泉につかり疲れを癒すことができた(入浴料金\350)
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