【山行記録】 
2月12日

第4日: ブジュク(3962m) - エレナ(4430m)
 
 遅足の我々に配慮してアロージャスさん達ガイドはドイツ系グループより早めにブジュク ハットを出発するようにしてくれた。標準歩程が3~4時間と短く、とても寒いエレナ ハットで登山者は何もすることはないのでゆっくりと出発した方が良いなどとガイドには書いてある。天気も好転して青空の下を歩けるがブジュクからの登山路は尾根に取り付くまで一度ブジュク湖西岸を周り、ひどいボグを渡って行かねばならなかった。尾根下の斜面に着く頃にはもうドイツ系グループに追いつかれてしまった。
 
 尾根は麓から傾斜が急で、錐崖からグランドセル渓谷に入る。上から見下ろすと左に谷間にブジュク小屋が、その上にはスピーク山塊が万年雪と氷河を被って聳えている。ブジュク川渓谷の右にはスタンレー山塊のマルガレータとアレクサンドラが白い衣装を着けて聳えていた。急な斜面だが岩が出ているところには金属製の梯子なども設置されていて歩き良い。しかし岩がないところはやはりボグで難渋する。この谷は名前通りグランドセルすなわちジャイアント セネシオが密林のように覆っている。途中に展望台とでも言える様な大きな棚があり、トイレ小屋まで整備されていた。ここから見下ろすとブジュク湖が真下に、見上げると威嚇するように大きな尾根が続いているのが分かる。まわりにはジャイアント ロベリアが多数開花してサンバードが飛び交い、囀っている。
 
 展望台で休憩後、歩き始めるがまだまだボグがあった。岩も出てきてゴム長靴ではと心配になる頃、ガイドが「そろそろボグが終わる」という。ザレが出てきてなるほどと思うが今度は雪の残った岩場の巻き道になった。ジャイアント セネシオも短く、疎らになり、エバーラスティングフラワーの薮と岩の混じりになる。さらに高度を稼ぐと藪さえも薄くなり、残雪と蘚苔で覆われた岩の台地に出た。ポレポレ歩きながら麓からここまで急斜面を登ってきたので暫くの休憩になった。ここはスコットエリオット パスの近くらしい。このあたりから見えるというブジュク川渓谷を挟んだスタンレー山塊とベーカー山地が聳える姿は先ほどからの霧のため隠れてしまっていた。
 
 岩の上を注意しながら登っていくと霧が切れて目前に谷が出てきた。「エレナ ハットが見える」とガイドが言う。目を凝らすが分からない。「そこ、そこ、三角のハット」というので谷向の岩を右から左にチェックして行くと岩の上に緑の小屋の屋根が見えた。直ぐそこにあるのだが登山路は右に登って一枚岩の上に氷河が削った大きな沢を越さなければならない。残雪、ペルグラ状の氷、雪氷が溶けて流れる水、小雨や霧が降った水に加えて大小の岩、石などが沢道にあるのでゴム長靴が滑ったり、躓いたりするのでその度に肝を冷やし、ハットの脇に出てくるまで45 分もかかってしまった。
 ハットは平らな露岩の棚に引っ掛かっており、露岩の端は展望台なのかドイツ人が立って雲の切れ間を見下ろしている。見上げると雲の中から出入りする黒い岩場と白いエレナ氷河しかなかった。結局、麓から最後のエレナ小屋の直下まで登山靴は不適の泥濘、泥沼続きでハマリこまないようにガイドのステップの通りをゴム長靴で登ってしまった。ルエンゾリは世界でも稀なゴム長靴用山地であると思う。 ハットにポーターが運び上げた荷物を入れ、寝具を広げた後、水場まで歩いてみた。水場から見下ろすと扉が壊れたままのトイレ、キッチンとガイド・ポーターのハット、そして我々のハットがある。登山者用ハットは2分割され、我々のハットの床半分に直接、3枚のウレタンマットが敷いてあった。室温は6℃と予想より高い。
 
 明るいうちにガイド2人からカラビナ、更にハーネスの着け具合、重登山靴にクランポン(アイゼン)がピッタリ装着できるかのチェックを受けた。夕刻から雷鳴が轟き、強い風がハットを揺すぶり、明日のアタックは13日の金曜日だから駄目かなと心配になる。早めに冬装備に着替えてそのまま寝袋に入ったが壁の裏からは床を重登山靴で歩く足音が響いて度々目が覚めてしまった。

 
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Feb/11 : Feb/13