【山行記録】 
2月15日
 
第7日:キタンダラ(4023m) - ガイユーマン(3505m)
 
 目が覚める度に痛みが出ないように左足の位置を変え、向きを変えして夜が明けた。鎮痛剤が効いてきたのか痛みが薄らいで爪先と踵で動けば痛みが無い。室温1℃と快適なキタンダラ ハットで過ごしたお陰と感謝する。
 
 アロージャスさんに「足は直っているよ」と言ってキタンダラ ハットを08:00に出発した。小屋裏の細道からフレッシュフィールドパス(峠)(4282m)に着くまで急な斜面を直登する。ジャイアント セネシオの倒木が道を塞ぐ最初こそ土踏まずに力が入ると痛みを感じたがジャイアント ロベリアが増えてくるに従い、歩きよくなった。とは言え、直登は息が切れる、足が重い。視界が開けると直下にロウアー キタンダラー湖が快晴の青空を移して紺色を増していた。
 
 尾根について平坦な道に変わったが80分もかかってフレッシュフィールド パスについた。看板の後はジャイアント セネシオとジャイアント ロベリアが斜面を埋めてベーカー山地の山頂まで繋がっている。ジャイアント セネシオの後ろから出たマウンテン ハイラックスが隣のジャイアント セネシオの陰に消え、踏み跡にはダイカの糞が散らばっている。ルエンゾリの宝ともいえる小動物が内戦、ゲリラ、密猟で生きながらえたのが判った。フレッシュフィールド パスからは美しい苔の原が所々に、背後にはコンゴ盆地、右手(南?)にはルイジドサボイア山地の稜線が続き、稜線漫歩を楽しめた。ガイドは穏やかな(ゼントル)登山路と言ったがなかなか強かな泥道のアップダウンの繰り返しだ。
 
 ようやくコンゴに分かれてムブク川渓谷への下りが始まる。ベーカー山地の山腹にはジャイアント ロベリアとジャイアント セネシオが溢れ、谷間遠くには光るマホマ湖が、その先にはカセセからフォートポータルに至る平野(農園やサバンナ)、そこにはヒマのセメント工場の煙が見えた。下り始めの電光道には蘚苔に覆われた変成岩(雪のように光り輝く白雲母片麻岩?)の露頭が岩場になって何箇所も出てくる。苔が生えていない岩脈を踏んで下るとゴム長靴でも摩擦が効いて歩きやすい。電光道はボグに覆われたムブク川渓谷の棚に下る。上から見ると追い抜いて行ったポーターはボグを抜け、棚の端に伸びている沢を通り過ぎようとしている。道に慣れてない我々は一歩一歩確かめて歩くのでどんどん遅れてしまう。スゲの株を頼りにボグを通り、沢でゴム長靴に着いた泥を落としてほっとした。
 
 棚の端からは急傾斜の谷に代わる。小さな沢が左右から入り組んでいる変成岩の岩場では滑滝の岩で滑るかボグの泥濘に足を取られるかという、厳しい降下になった。大きな滑滝は巻き、ボグの後は谷の左岸の大きな崖の下を通る。崖はカサキ ドル(常時乾いた岩場)とブジョン ドルの2箇所があった。落石があるからといってカサキ ドルを通過して延々と沢、岩場、泥濘を急降下してブジョン ドルで昼食休憩した。アブルッツイ公爵が峰々の探検をした時にどちらの岩場をテント場として使ったのだろうか。いまでもベーカー山地に入るときのテント場として使われているとガイドが教えてくれた。
 
 崖から開けた谷にでてようやくムブク川の広い緑の草地にあるガイヨーマン ハットが見えた。ヘザー林に囲まれた急な岩場を下ってムブク川の河原に降りつく。午後の強い日差しでエレナ ハットそのままの行動装備だととても暑い。日影に入るとほっとする。登山路が河原から外れるとボグがあり、もう出てくるのは止めてくれと思ってしまう。カバンカ(ガイドの発音のまま)の滝を過ぎ、乾いた草地の先にガイヨーマン ハットが大きく見えた時は「これで今日は終わり」と小躍りしたい気持ちだった。
 
 ガイヨーマン ハットに着くと、キッチンやポーター用のハットの周りにガイドやポーターの濡れ物が干してある。既に運び込んであったポーター預け荷物から濡れ物を引っ張り出し、我々も登山者用ハットの周りの日向にそれらを並べて乾かした。室温が18℃もある。見るとポーターが集まって右岸(南)側に山の斜面を見つめている。MYさんがポーターの一人に聞くと「あそこにモンキー」と言う。双眼鏡を出して眺めても何処にいるか分からない。MYさんが、「左からあのヘザーの木に」と教えてくれて始めて、黒いブルーモンキーが崖を横切っているのが判った。何匹もいるらしい。ポーターは「サルは今木の上で寝はじめた」という。毎度ながら現地の人の視力には降参してしまった。
 
 ロバーツさんに蝋燭を貰いにキッチンに出かけたら、コック助手が「アロージャスさんとあっちに出かけた」と崖の方を指す。二人は携帯電話が通じる崖の上に出かけ、ジョエルさんと色々話したらしい。帰ってきて「ジョエルさんの上司が彼に9泊10日と伝えなかったので7泊8日で準備することになった。後の宿泊はマルガレータ ホテルで」と教えてくれた。7泊8日ということはエレナ ハットに二泊したからニャビタバ ハットに泊らずにニャカレンギジャに下山してマルガレータに二泊するという計算になる。マルガレータ二泊分が一万円で納まるなら安全下山を前提に受け入れようとMYさんと話し合う。夕食後、コックとガイド2人がやってきてチップの打診要求を始めた。MYさんが「ポーターは何人?金額はこちらで相談してゲートで渡す」と言うと「2人途中で下ったから総計12人」と言ってひとまず帰っていった。懸案が片付いていないので金額をどうするか、考えどころだ。HTさんからはチップ、宿泊について意見はなかった。ガイユーマン ハットは草原とムブク川の向こう(北)に、ヘザー林のベーカー山地が雲の上に聳える景色の良い場所だ。何も案ずることなくキャンプを楽しみかったのに・・・。やはり夕方から雨が降り出した。
 
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Feb/14 : Feb/16