剣北方稜線 僧ヶ岳から毛勝山
        第2日 5月7日(土)
薮と岩尾根の剣岳北方稜線を残雪期に縦走する
2001年5月07日(土)
【コースタイム(休憩を含む)】

5月7日(土) テント場(P1775m付近)04:57→05:43僧ヶ岳05:54→06:59北駒ヶ岳(1914)07:10→08:02駒ヶ岳08:17→13:07サンナビキ→14:29滝倉山14:39→15:30テント場(東・南へ向かう尾根分岐に)
【コメント】
記録
   雪が軟らかくなる前に、できるだけ進んでおきたい。日の出は04:30頃だから遅くとも05:00に出発するとして起床は03:00と寝る前にTKさんと打ち合わせた。その通り、2:47に起床して寝具整理、小用を足してパッキングをし直した。空は薄曇、気圧は昨夜と変わりなく817hpで、暖かい。調理道具・食器を準備し、湯を沸かして常食のラーメン/雑炊を食べ、緑茶をたっぷり飲んで朝食を終えた。テントを撤収してザックをパッキングし直し、足回りを整えて出発準備を終えた。
   GPSロガーのスィッチをオンにして4:57に出発した。夜半吹いていた強い風は止んだが右(西)から雨具上下で凌げる程度の風が吹き続いている。曇天の下、広い雪稜を踏んで僧ケ岳へ向かう。昨日もそうだったがTKさんにどんどん置いていかれる。舗装林道では追い越すのに躊躇したのだが雪の上でこの差がでるのはなぜだろうか?振り返ると昨日登ってきたルートが、前を見ると雲を被る毛勝山がある。今朝は雪崩の音が何度も轟く。「気温がまだ低いのに」と心配になった。前山を越えて下り、斜面を登って平坦な僧ケ岳頂上(2002.5m)に着いた。テント場から約45分歩いたことになる。昨日のあのバテバテ、あの軟雪ではきっと日没後に到着したであろうとTKさんの判断に感心した。見るとGPSロガーがトラックを記録していないではないか。急いでボタンを押して記録を開始した。僧ケ岳から展望すると雲の下に、南西から片貝から登ってくる予定であった伊折山〜成谷山の尾根、南東にこれから目指す駒ケ岳〜毛勝山の尾根が見え、青空の下に富山湾と黒部川河口先の日本海が見えた。北西から天気が良くなるのではないかと期待した。
   僧ケ岳から東へ下リ、細尾根のアップダウンに入る。尾根を巻いている夏道は崩れた雪の下に隠れ、歩む尾根の上には薮が出て、細い木、笹がなんどもアイゼンの爪に引っ掛かって歩きにくい。雪堤が細くても出てくるとほっとする。薮の上にそそり立つ小岩峰に出くわした時には薮無し夏道が出ていて小躍りした。が、狭くて小さい岩の間を重いザックを背負って固定ロープを掴んでアイゼンをガチガチ鳴らせて通るのは難儀だ。苦労をしながら宇奈月温泉から直接駒ケ岳を目指す地形図上の登山路の合流点を過ぎるとまたして細尾根が出てきた。地形図通りと舌打ちをする。薮に「至る駒ケ岳」との道標があった。「2007年にも見たような」と一休み中に疲れた頭で思い出す。
   ようやく国有林借用標杭が立つ北駒ケ岳(P1914)についた。コルに下り、急登して巻道に入り、アイゼンで歩くには難渋する薮の上を巻いて、またしてアップダウンの中、固定ロープで登る岩場を息継ぎ休みしながら登ってようやく駒ケ岳(2002.5m)に到着した。2007年には僧ケ岳・烏帽子山登山口からここまで楽々来て復路はここから平和の像駐車場まで1日で往復したのだ。無雪期の経験だけに頼ってはならないとつくづく感じ、反省した。
   駒ケ岳を8:17に出発する。ここから毛勝山北峰までは未踏コースになる。さらに今回の山行の核心部に当たるのだ。サンナビキ山と滝倉山が毛勝山の間に見え、崩落した雪庇や薮・低木樹林帯が目に入る。P1867mを過ぎるといやな細尾根のアップダウンが始まる。難渋しながら進むが遅れ気味の礒田は先行するTKさんの足跡を辿るのでルートファインディングに苦労しなくても済む。TKさんに再感謝。最低コルを過ぎ、薮と落ちた雪堤の向こうに毛勝山を望む。アップダウンの登り下り、薮漕ぎ、P1769近くの岩場で礒田1回転倒、コルを過ぎて薮漕ぎする中、TKさんが2回も転倒した。二人とも怪我は無い。コルに下って登り返すと雪壁が何度も出迎える。時には雪壁と下の急斜面との境を注意しながら巻くこともあった。小ピークの南側は必ず雪が切れて薮を抜けるしかない。その度に大ザック、アイゼン、帽子、ピッケルなどが木々に引かれ、足元の木々を踏み越えるのに全身の筋肉を使わねばならない。雪があっても踏むとたびたび腰まで抜けた。南〜東〜南に屈曲した細尾根の頂上でようやく昼食休憩になる。
   コルから登り返したP1753には嬉しくも雪が残っていた。頂上から先の尾根筋をみると薮の出た峰々が次々と出ている。サンナビキ山、すぐ先が滝倉山で、その先が悪場のウドノ頭だろう。標高差数十mのアップダウンを繰り返してP1801mで休憩した。下ってコルから東へ細尾根の雪上を歩く。こんな雪の上を歩ける幸せと思っていたら崩落した残雪の壁をよじ登ることになった。雪が切れて薮と格闘する。今度はどこを抜けようか、小柄なTKさんのようにはスルリと行けないので薮が薄くて雪が残っている場所を探しては米栂などの枝を押し分けて進む。南東へ、またして薮が出た細尾根を登り、平坦な峰を越えて13:48にサンナビキ山に到着した。南へ下ってコルに、小ピークを終え、登り返して滝倉山(2029m)に14:29に着いた。頂上からウドノ頭〜毛勝山方面を二人で熟視する。
   ウドノ頭先の平杭乗越手前斜面に格好のテント場跡があったと資料に書いてあったので天気予報、雪の状態、時刻から判断してテント場を探しながら細尾根を下ることになった。尾根が南西と東とに分かれる場所に着いた。針葉樹が風除けになる平坦な雪面があったのでこの辺りをテント場とする事になった。まずザックを下ろしてウドノ頭へ下る急傾斜の南西尾根ルートを探した。TKさんが見つけた針葉樹の間の降り口から、東よりの斜面を尾根に沿ってコルまで下ることになった。
   東へ向く尾根の付け根にテントを張り、ザックをテントに入れて落ち着いた。GPSロガーを取り出して状況を確認するとなぜか記録モードになっていない。下山してカシミール3Dで記録を取り出したところP1753の北、標高20m下でGPSLなぜか記録が途絶えていた。記録オフスィッチを押してしまったのだろうか?心当たりが無い。夕食を食べ終えて荷物を整理して早々と寝袋に入る。寝付かれず、今朝からのコースを思い出してみる。「すでに駒ケ岳の北から雪堤が崩れたり、切れて薮や岩が出ていたりしていた。アップダウンが多かったが峰の南側は必ず薮や潅木が出ていたし、曇り空とは言え、日が上るに連れて雪も軟らかくアイゼンを履いた靴が滑り、めり込むようになっていた。雪庇が崩れているところでは雪壁となり、上り下りにアイゼンを蹴り込み、ピッケルと手を使わなくてはならなかった。何度もあったな」と、楽々とは歩けなかったことばかり頭に浮かぶ。風が吹いてきたのでテントから首を出すと一面の霧が夕日で染まっていた。19:00頃からその霧が霰に変り、フライを何度もパラパラと叩いては流れていった。
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