剣北方稜線 僧ヶ岳から毛勝山
         第3日 5月8日(日)
薮と岩尾根の剣岳北方稜線を残雪期に縦走する
2001年5月08日(日)

5月8日(日) テント場04:54→07:56ウドの頭08:01→平杭乗越→09:57西谷ノ頭10:11→東又谷乗越→毛勝山肩→13:25毛勝山(北峰)→14:01南峰→大明神山へのルート偵察→14:39テント場
【コメント】
記録
   00:00頃から、雷鳴が轟き、雷光がなんどもテントの中を明るくする。木々を通り抜けた強風がテントを撓ませ、顔の上に雫を落とすので何度も目を覚ます。予定より早く2:30に起床して湿った寝具や荷物を整理し、ザックにパッキングした。深夜の強風は既に止み、雨雲も遠ざかったが流れる霧雲は速い。朝食を済ませて濡れた寝袋、シュラーフカバー、食器・食料袋などをパッキングし直して、外に出てテント撤収作業を始めた。雪が融けてペグが抜け、強風でフライが飛ばされてテントが濡れている。一番太い枝ペグに繋がった紐でフライはテント下にへばりついていた。なるほど水滴が滴って寝具や荷物が濡れたはずだ。今朝は確実にGPSロガーを作動させて記録取りを開始する。
   東尾根分岐テント場を04:54に出発して左(東)尾根沿いに急斜面をコルに下った。本日が今回の縦走の核心だと心に言い聞かせる。急斜面の上の空は薄曇だが日本海から雲が霧となって絶え間なく流れこんでいる。コルに下って今度は雪壁を登り、雪尾根を下る。アップダウンを繰り返す細尾根に入った。昨日、サンナビキ山から見て難所が幾つも見えたところだ。小ピークの上で大休止をとり、樹林の尾根を進むが雪が崩落した小ピークが出てきて、前進を阻む。悪場が始まったのだ。良く見ると樹林や薮に鉈目が多数着いている。薮を少し下ると緑の布が枝に下がっていた。布目印から樹林を巻いて尾根に戻り、崩れた雪庇でできた小雪洞を潜り抜ける。樹林の尾根に戻ると捨て縄が何本も木に懸かる崖の上にでた。崖は樹林に覆われて下が見えない。ここがウドノ頭北側の岩峰なのだろう。二人とも懸垂降下装備・ロープを持って来たがTKさんの判断で樹林の枝を伝って下ることにした。もちろん礒田も同意した。言葉どおり木の枝を頼りに岩峰を巻き気味に下ったが、米栂の枝に顔・頭を叩かれ帽子が落ちて何処かに行ってしまった。重いザックを背負って米栂の枝を掴んで下っているので無理ができない。米栂などの潅木林が切れると草付の岩場になった。ザレ気味だが岩場の先の潅木林に固定ロープが張ってある。ドキドキしながらどうにか草付の岩場を横断して固定ロープを掴みTKさんが待っているコルに着いた。振り返ると「よくもロープ無しで下ったものだ。こんな薮・草付崖を」と思うような岩峰が立っていた。コルから急傾斜細尾根を登り、小ピークを下ってコルに着く。ウドノ頭はもう1峰先だと一息入れ、気合を掛けて登る。ウドノ頭(1967m)着いて再び息を整えて急降下、薮、急降下、北の谷側を巻いて谷底に下り、底から尾根へ、そして急降下と繰り返してようやく平杭乗越(等高線1750m)に到着した。広いコルだが谷を通る風に雲が流されている。雪は風でクラストして強風時にテント泊するのには注意が必要と思われた。休憩して急な雪原を登り続けて西谷ノ頭(1922m)に着いた。雲が頭上を通るたびに霰が雨具を打ち、時々雷鳴も聞こえて不安になる。頂上からは毛勝山のコルが眼下に見えるが、その先の「天国の坂道」〜毛勝山の頂上は右(北東)から流れる雲で隠れていた。
   コルに向かって下り、休憩して気力を蓄えて、いよいよ「天国の坂道」に続く雪斜面の急登を始めた。雪の上には古い踏み跡があるが続きはほんの上の方で霧雲の中に消えてしまう。標高点2028mで休憩した後、「天国の坂道」に取り付く。霧でなにも見えない中、2300mまで休みなしにアイゼン、ピッケル、そして空いた片手も使って四つんばいで登った。左は雪庇、斜面は雪崩になりかけのクラックが多数、大きなクラックには上に雪壁、できるだけ低い場所を見つけては雪壁をクリアする。先行して登るTKさんのキックには大感謝であった。幾分緩やかな斜面で大休止、数分登った肩でも休憩をとって息を継いだ。再び霧の中をTKさんのGPSを頼りに毛勝山北峰へ雪の斜面を登る。一瞬、雲が切れたので振り返るが「天国の坂道」は足下の緩斜面の膨らみに隠されて見えなかった。
   GPSではここが毛勝山(北峰2414.4m)だとTKさんがいう。雪が厚く積もった上を足跡が歩き回っているようだ。三角点や薮・草が出ていた前回と全く様子が全く異なる。周りは雲の中で全く展望も無く、右(北西から)強い風も吹く。連休だというのに我々の他、誰もいない。すぐに南峰へ向かって出発した。雪の上にはトレース多数、靴よりワカン、スノーシューが目立つ。前山を過ぎ、コル(毛勝谷)についたが前回テント場にしたハイマツの薮も雪の下に隠れ、風でテントが飛ばされてしまうような様子であった。そのまま歩いて南峰の西尾根へ、大明神山の見通せる斜面に進んだ。急傾斜細尾根には薮が出ている。「ここから下、大明神山縦走をすると05/09日中に帰宅するのが難しくなる」と判断して縦走を諦め(TKさんは登頂済み)、毛勝谷を下ることになった。
   平坦な場所が無いので毛勝山南峰下に登り返し、緩斜面の雪をピッケル・雪靴で削り均してテントを設営した。 ザックをテントに入れ、荷物を整理してまずTKさんがラジオで地方放送の天気予報を聞き、好天を確認して夕食を開始した。食後、テントの外を覗くと、夕焼けで南峰、釜谷山〜猫又山へ至る尾根も染まっていた。夜半には眼下に富山湾沿岸の灯火、夜空には星が輝いて天気が好転したことを示していた。
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