期間 1969年07月27日〜07月28日
【記録:コースタイム】
7月27日(日) 曇り、ガス、夕立ち

    ●毛勝本峰→ウドの頭を過ぎた稜線上

    ○飯5:00→出発7:30→天国の坂道の間のルンゼ下8:40→西谷コル手前の右の稜線8:50・9:15→
    →西谷のコル10:30→西谷の頭10:30 ・10:45→平坑乗越12:20(昼食)13:20→ウドの頭15:05・15:25→
    →ウドの頭を過ぎた稜線17:30テント泊

    ○夜半に再び大雨がありテント内に浸水、嫌な感じである、 
    天幕からのぞくと視界の全く効かないガスにとまどい、少し時間待ちをし飯を1時間遅らし5時にする。
    天気図をとり検討するが、大きな台風が台湾付近にあり、本土にはまだ影響がないが、
    やってくる前にどうしても合宿を終わらせなけ れば・・・、又、千島列島から満州にかけて前線が走り,
    当分良い天気は望めそうにない。

    天幕地よりガスの中を、すぐ続く小さなピークに向かって急峻な下りの手前まで(昨日除いた地点)行き、 
    いよいよ「天国の坂道」に かかる、 
    初めは草の中のトレースのような所を左に行き、すぐ草付の急な下降となる。
    ザイルを出そうと思うが見た目よりは何と かなりそうな感じなので、全員ピッケルを突きつつ、
    又、根強そうな木やブッシュを掴みつつ下った。
     20分程下ってガスの中にぼんやり見えた右端の尾根にトラバースする、 
    この辺で急な草原は両側に小さな尾根をひかえた様にこの両方に挟まれた格好となっている
    (昨日の偵察で尾根の右側は小黒部谷に向かってスッパリと切れていた)。
    そこより、木やブッシュを伝わり、しばらく進むとガスの切れ目から西谷のコル方面が見え、
    ルートがだいたいはっきりしてきた。 そして、尾根を少し外れ左の草原の真ん中の、石があるルンゼを下る、
    この辺まで下ると、もう、大した下りではなく順調に進めた。
    ルンゼをどんどん下り、手前にある小さな尾根と同じ高さになった所で右の稜線(西谷のコルに続く)に取りつく、
    このトラバースは 10分程であるが、ヤブの中でトゲのあるの木などがあり痛くてしごかれる。
    ここより尾根の右側、石の下の右側の草付をまき、再び稜線に出て笹ヤブの中を下るというよりは
    笹の上に腰かけて滑りながら雪渓が 少し残った西谷のコルに出た。

    コルよりは尾根上の、ものすごいヤブの中を忠実にたどり20分で西谷の頭である、頭の鞍部は草原で天張り可。
    西谷の頭より、再びものすごいブッシュである、その上ガスがかかっており、
    どこを歩いて良いのかさっぱり分からず苦労するが、 尾根を忠実にたどると、
    西谷の頭より北北西の方角へ伸びている尾根へ入ってしまったらしい、
    すぐ気がつき、引き返してブッシュ の中の分岐点らしきところで立ち往生したが、ガスの少しの切れ目より、
    平坑乗越への方角が判り一気に下る。 相当急なヤブの下りで、下の方で広くなり方角が判らなくなるが、
    フィックスザイルを見つけ一安心、乗越し直前でトレースらしき ものに出て草のボウボウとした平坑乗越に出た 
    もういいいかげん嫌気がさし、全員どうにでもなれという気持になる。 乗越しからは、すぐ稜線上の登りである、
    背丈以上のヤブ漕ぎでたっぷりしごかれる。 50分程で大きな松の木の下に出る、
    右上に大岩峰がみえるところであるが、直登できないのでこの木の左を回り込み上に出た。
    ここから上半は松の密生した痩せた尾根になる、
    ゆっくりと高度を稼ぐと更に尾根は細くなり左がガレた10m程の急な登りとなるが、
    幸い右側は木が密生しているので、木をホールドにしてしっかり掴みながら登った。  
    左の毛勝谷の方からガスと一緒に時折涼風が 肌に感じられ、蒸し暑くてどうしようもない気持ちを
    いくらかでも和らげてくれた、 
    あとは木の下を潜り抜けたり、ヤブを漕いだり してウドの頭に出た(時々ナタ目あり)。(15:05)

    ウドの頭より緩い下りの木の中の稜線を順調に行く、30分程で尾根はがたっと落ちすごく急な下りとなる、
    所々にナタ目があるので、 それに従って下るも途中で左右ともスッパリ切れた状態になり、
    とても下れそうもなくなる。 蚊とブヨに始終追いかけられ、この頃 より、ものすごい夕立となり雨具をつけるが
    全身びしょ濡れである。木の下で待避するも、なかなか雨がやまないので急な下りを登り 返して
    緩い稜線上の木立を切り、葉を敷きつめてそこに天張った(17:30)
    水は雨のおかげで天幕に落ちた雨をゲロ八ですくい鍋一杯となり助かった、天幕内はビショビショ、
    どさくさに紛れたままカレーの 夕食であった。
    (しばらくすると雨が上がり、サンナビキ方面が見えだしたが、方角は先程通りで間違ってはいない)。
7月28日(月) 曇り時々雨   

    ●ウドの頭を過ぎた稜線上→サンナビキ直下・手前の草付の斜面   

    ○飯6:00→出発8:20→昼食13:45→コル→サンナビキの下の平らな稜線の端14:30→
    →サンナビキ直下・手前の草付の斜面14:50 テント   

    ○全員シュラフのなかで、しっとりと群れ蒸れながら朝を迎える、下にハイマツを敷いたのでなかなか暖かい。
    グショグショに濡れた靴下をはくのに大いに勇気を払い、朝の天気図をとって出発。    
    天気は曇り、やはりガスが毛勝谷方向から吹き上げてくる、何とかサンナビキ方面が見えるので方向を定め、
    昨日の方向より少し左寄 り(尾根の左)に下降する。 
    10分程下ると、いくつもの小さな尾根が派生して、どこを行って良いのか、さっぱり判らず、
    尾根の 側面をあっちに行ったり、こっちに行ったり右往左往し、時間を食う。
    昨日行った方向へトラバースするも急な斜面で、とても行けそうにもない、 
    なんとか見通しが利くので上からコル方面を覗くが、 どのようになっているのかさっぱり分からない、
    一応コルらしきものは右手前下にあり、それに続いてサンナビキの肩へ上がる尾根が あるが、
    とても痩せた急な登りである、左下に雪渓が見え、その方向にはっきりした尾根が出ていたので、
    その尾根を下ることに決め 下降した。 

    尾根は次第に細く急になり嫌な下りで、木の枝や根っこに掴り々下り、下部の急な草付に出た
    (この間、五万分の一の地図では全く分 らず)。 
    所々木があるので、それをたよりに更に下り、最後はザイルを出してコルより下りている沢の雪渓上に出た。
    コルより約100m程下の雪渓上で、すぐ目の上には横に尾根が有り、バットレスの岩肌がそそり立っている
    (ここで水を補給)、ここから前の尾根に上がりサンナビキ肩から西に出ている尾根を偵察、
    一方、コルまで15分程で上りフィックスザイルを見つけた。
    逆方向を見ると、地図通りウドの頭をきても、ここまで、どうやって来るのか判らないくらいに急で、又複雑である。 
    コルよりは急なブッシュに掴っての草付の登りで、やがて稜線となり15分程で岩の下に出た、
    この岩の下を左に巻き再びブッシュの 稜線を進み、小さな平たいピークらしきところを通り、下降となる(12:20)。
     時折、木の幹にアイゼンの跡あり、この頃から雨が降り始めたので待機するも全身びしょ濡れになる。
    昨日に引き続いてのドシャ降り に全く嫌気がさすが、どうにもしようがない、
    30分程で小雨になり止んできたのでその場で昼食とした、冷たいジュースで更に体が 硬くなる、 
    いつまで居ても仕方ないので昼食も早々にザックを背負う、 

    小さなコルを経ていよいよサンナビキの登りにかかった。
    踏み跡はウドの頭とのコルより、はっきりとついていたが、この辺でかすかなものとなった、 
    30分程木の中やブッシュを漕いで サンナビキ直下から水平に出ている尾根の末端に出た、 
    さらに10分程稜線のブッシュを踏み分けながら進むと、尾根の右側が傾斜 した草原になっていたので右に出、
    草付の緩斜面であるが久しぶりに歩きやすい所に出てほっと一息をつき、ガスの切れ目より見える
    サンナビキの頂きを目指して尾根の側面を登った。 

    昨日今日の雨とブッシュ漕ぎでだいぶ疲れが目立ち、尚もガスがかかる天気により今日はここまでとして、
    天幕地を探し、草付の斜面 にテントを張ったような所があったので、ピッケルで広げ草を敷いてテント地とした。
    水は少し右の谷に下ったところに(150m)少量流れていた。
【コメント】
【記録】のページ 「7月17日〜22日」 「23日〜25日」 「26日」  「29日〜30日」 「31日〜8月1日」
           「主ページに戻る」  
※ 山行インデックスのページに戻る
※サムネール写真をクリックすると拡大写真を表示します