期間 1969年07月31日〜08月01日
【記録:コースタイム】
7月31日(木)  雨   

    ●小さなピークの草地→駒ケ岳手前(仮テント)→駒ケ岳山頂   

    ○出発6:10→小休止7:10→小休止8:20→小休止9:20→仮テント9:30・17:50→駒ケ岳山頂21:00 テント泊   

    ○夜半にものすごい雨があり、再びシュラフがグショ濡れである。
    天気図によると東北地方から日本海にかけて前線が停滞しており、台湾から中国大陸に上陸した台風5号が、
    この前線を刺激しはじめ、 大雨洪水注意報がでている。 
    
    昨日の行動中は曇りで大助かりであったが、今日はテント撤収と同時に雨が降り出し、
    しばらく歩き だすと昨日来の風とで台風並みの暴風雨となってきた。

    テント地より3ピッチ、駒ケ岳への肩へ出る急な登りにかかるところで、既に全員グッショリで、冷たくて、
    寒くて、震えながら歩い ている状態で、なんとか駒ケ岳は通過したいと思っていたが、
    とりあえずブッシュを切りはらい木を切って稜線上に仮のテントを張り、 一息入れた。 

    風邪をひかないよう、スベアをたき暖かくして暑いスープを飲む。(10:00)
    13時ころ、雨が止み、風だけとなる。

    4時の天気予報で、小さな高気圧が低気圧と前線の間にひょっこり現れ、日本海から北陸あたりに
    進んできたとの報があり、ひょっと したら、このわずかなチャンスを生かせるかも、否、充分に生かすべきだ
    として、夕飯を早々にたいらげ夕方の5時50分頃出発した。

    また、ガスが少しかかり始めたが、しばらく稜線の木をかき分けかき分け進み、急な草付に出る,
    ここから途中に草がついた嫌な岩を 登ったりして、右側からどんどん上がって距離を稼ぎ、
    やがて急に切れているあたりで再び左の稜線に取りつく、トレースがあり時々 ナタ目もあった。 

    やがて、左手から正面にかけての駄々っ広いブッシュ帯に出る、この辺りから、あたりは暗くなり始めた。
    ともかく、上へ上へと進めば頂上に達すると思い、左の高い方へブッシュを掻き分けて前進、
    膝くらいまでの笹ヤブの原に出た。 先はガスで見えないが、頂上まで続くことを確信して先を急ぐが、
    すぐブッシュが深くなり、次のピークよりさらに先がぼんやり見え だしがっかりする。 

    地図を見ても全く判らず、既に暗くなっているため、ますます、どこを歩いているか、
    どの辺の地点にいるもの かさっぱり判らない。ただ上へといけば、高い所へ進めば、
    やがては頂上に着くだろうということだけである。

    ヤブは一層深くなり、さらに木登りも強いられる。 
    稜線らしきところに出ると、向こう側はスッパリ切れているので、稜線沿いに 高い方へ進む。

    途中で懐電を出す頃、ガスが切れ、星が見え始め、少しの不安を取り除く。
    やがて頂上らしきところに到着、これ以上歩くのは困難と 判断し天幕地を探す、
    少し高い所に登り見まわすと平坦な笹ヤブの中にベニヤ板でできた台があり、思わず頂上だと叫び、
    「ヤッター」 とばかり仲間と握手を交わす。 
    遠く富山の灯もキラキラ輝いて、なんとも充実感にあふれた感激の瞬間であった。

    すぐ天幕を広げ頂上に天張った(21:00)。
8月1日(金)  雨   

    ●駒ケ岳山頂→宇奈月  合宿終了   

    ○飯4:00→(雨で時間待ち)→出発8:00→北駒ケ岳とのコル9:20→北又乗越11:30・12:00→(雨待ち)→
    →僧が岳のトラバース道12:40・(昼食)13:50→福平への道との分岐点14:50→
    →避難小屋15:45・17:30→宇奈月19:15   

    ○雨が降っているので、時間待ち、8時に駒ケ岳頂上より、ガスの中、磁石で方向を定め北西に進路をとる。    

    相変わらずガスがかかっているのと、トレースはあるがヤブの中に入ると不明になるのとで、その都度、
    地図と磁石で方向を定め確か めながら進む、 初めは緩い斜面の尾根でどんどん進み、
    やがて尾根がいくつも派生しているところに出、北西に進路をとる、
    やや急 な下りである、更に下り赤旗がある岩の右側を巻き、真下に下りて右に出て、
    あとは緩い稜線を行くとコルに到着した。 両側はかなり細くなっているが、トレースはハッキリしてきた。 

    ここから先は、さらに道がはっきりし通常の山歩きとなった。
    僧が岳の頂上へは行かずトラバースの道を選び宇奈月へ到着、合宿終了 となった(19:15)。  

    想像以上の過酷な剣北方稜線の縦走であった。  
【コメント】
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